魔法少女と魔道の友と
「キン、シャドウの場所は?」
「あっちや。ただ、もう戦闘が始まってるで……!」
今日は怜さんが来れない、となると戦っているのは他に1人しかいない。
「嬢ちゃんにはワイやコンのようにシャドウを探知する術がないはずや、となると目の前のシャドウにしか気付いてない可能性があるで。今回の本命は別におる!」
告げられたキンの言葉に嫌な汗が流れる。
「急ごう、早くしないとルナちゃんが危ない!」
キンの示した方向へ走り出す。どうか無事でいてくれますように……!
(数が多いですね……!)
「魔弾!」
ルナは迫り来るシャドウの眉間に照準を合わせる。
「発射!」
放たれた弾はシャドウを貫き消滅させる。が、
「ガウ!」「ギャア!」
消えたシャドウの後ろから幾数体ものシャドウが飛び出す。
「…………」
ダンダンダンダン。止め処なく弾を発射する。それでも明らかに物量に対して処理が追いついていない。両者の距離は少しづつ縮まっていく。
「くっ、魔弾、散弾──」
(やった事ないけどやるしかない!)
「──両腕に展開!」
ルナの言葉に呼応するように指輪からの光は両腕を覆う。
「ぐぅぅっ」
纏わりつく光が増え、ルナは苦悶の表情を浮かべる。普段行わない行為による代償は分かりやすく体に負担をかけている。
「弾数、可能な限り!」
歯を食いしばりながら弾の展開を続ける。
(まだ、まだ引きつけて……!)
「発射ぁ!」
両手を前に突き出し展開した弾を全て放出した。
無数の弾が放たれる轟音、それが終わり訪れた一瞬の静寂の後ルナは膝から崩れ落ち、その場に手をつく。
「はぁ、はぁ、これで全部──」
言い終わる前に言葉を詰まらせる。
確かに小型のシャドウは全滅している。
ただし、後1体。遠目からみても巨大なシャドウが残っていた。
「フゴッフゴッ」
荒い鼻息。見た目はまるでイノシシのような、4足歩行のシャドウだ。
(まだいたなんて、しかも大きい……!)
「…………魔砲、展開。発射!」
力なく手を向け、それでも残った力を振り絞りルナは魔砲を撃つ。弾はシャドウにしっかりと当たり爆発する。
「やはり、倒れませんね」
爆風が晴れた先には怪我ひとつないシャドウがいる。流石に魔力が不十分な状態の魔砲では威力は激減している。
(となれば後は、)
ルナは懐から小瓶を取り出す。中には紅い液体が入っている。
「これしかないですけれど。問題はそんな隙を向こうがくれるかどうか……」
ルナはシャドウから目を離さない。少しでも目を離せば即座に襲いかかってくる。溢れでる敵意でそれを感じていた。
(イノシシの様な見た目からして攻撃方法は突進のはず。それならば1度シャドウの攻撃を避けてから──)
「とーう!」
「フゴ!?」
「!?」
「こら!暴れるな!うおわぁぁ!?」
考えがまとまる前に飛び出てきた黒い影はシャドウの背中に乗るとそのままシャドウを殴り始める。明らかに見覚えのあるシルエットに思わず大きな声が出た。
「ひかりさん!?」
「ルナちゃああん!?」
背中に乗られ嫌がれ暴れるシャドウにはちゃめちゃにシェイクされている魔法少女。当然のことながらひかりであった。




