魔法少女と魔道の友?
「流石ですわお姉様!」
「うそでしょ……」
伶さんの戦闘場所まで着いてでた第一声はそれだった。
伶さんは比較的背の高いアパート群に陣取っていた。
そして、
「──はぁ!」
「ギ!」
たった今最後のシャドウを切り裂いた。
『なるほどなぁ、背の高い建物の間で壁を蹴って動き続けるようにして飛行型をシバいてるんやなって、とんでもない事やっとるやんけ!』
キンが凄く驚いている。でもそれもしょうがないと思う。
簡単に言えばアクションゲームのように壁を使ったジャンプを繰り返し、その延長線上にいた敵を斬っただけだ。なんだけども……現実では敵の位置や蹴る力、どこに着地するかも全部考えないといけない。じゃないとさっきのわたしみたいに大変なことになってしまう。
「というかなんで伶さんは普通に壁ジャンプ出来てるの?」
わたしが知らないだけで伶さんの家は忍者の家系なんだろうか。
「ふう……あら、貴方達も終わったみたいね。今日はもうシャドウの反応も無さそうだし帰りましょうか」
「はい!お疲れ様ですお姉様!コンさん!」
『お疲れ様ですわ』
「じゃあまたね」
そう言うと伶さんはさっさとゲートに入っていった。
──帰り際にチラリとこちらを見ながら。
「……さてと」
伶さんがこちらを見たのは意味がある。──今回の作戦にはもう一つ役割があったのだ。それはわたしとルナちゃんの親睦を深めるための役割。2人で行動して互いに仲良くなり、ルナちゃんの秘密を(キンが)探る。2人きりの時間を増やす為に伶さんは別れて戦ったし素早く帰ったのだ。
という訳で後はわたしの仕事、とりあえず勝負の結果の話からして世間話でもしようかな?
「わたしが3体、ルナちゃんが4体でわたしの負けだね。これでルナちゃんが伶さんの右腕ポジションって事で──」
「いいえ、今回は私の負けです」
「え?」
「最後のシャドウ、ひかりさんが居なければどうなっていたか……まだまだ私が未熟だと思い知らされました。なので私の負けです」
これは嫌な感じがするぞ?
「そんな事ないよ、倒したのはルナちゃ」
「ですが!次は負けません!リベンジマッチを申し込むのでまたよろしくお願いします!ホール展開!」
開いた穴に飛び込む前に、ペコリと一礼してルナちゃんは帰っていった。
「……キン、何か分かった事ある?」
「特にないで……」
まあそうだよね。
「帰ろっか……」
深いため息と共にわたしは足元にゲートを展開する。
「──あれ?」
「どうしたんや?さっさと帰るで」
「あ、うん、ごめん」
キンに促されゲートに飛び込んだ。
ひかりが帰り、狭間の世界は大人しくなる。
先ほどまであったゲートは無くなり、そこに残されたのは瓦礫の山、静寂、そして。
──小さな小さな瓶が転がっていた。




