魔法少女と魔道少女
「それでは、失礼しますわ」
深くお辞儀をしてルナちゃんは生徒会室から出て行った。
「…………」
「あの、伶さん、なんていうか、元気出して?」
「ええ、大丈夫よ、大丈夫……」
呟きながら机に突っ伏す伶さんは珍しく普段の力強さを失っていた。
彼女はその日のことを大事に思い出しながら語っていた。
「あの日私は急に違う世界に放り込まれました。見慣れた景色、見慣れた道。それなのに、何か違和感のある世界」
「多分それって」
「狭間の世界ね」
過去に彼女は狭間の世界に来たことがある。それは確かに私たちとの接点になり得る。
でも、それだけなら彼女は私達の前には居ないはずだ。狭間の世界での出来事は普通の人間は忘れてしまう。それなりの縁がある人間どうしが話したりすると狭間の世界との関係性が出来てしまい記憶が少し残ったりして良くないとは言われていたけれど、伶さんに限ってそんなヘマは──、
「────あぁ」
「伶さん!?」
ちらりと伶さんを見て見ると机と同化するんじゃないかというほどに顔を埋めている伶さんの姿があった。
「伶さんもしかして思い当たる節が?」
「そうね、多分あなたもあるわ。──1度だけあった、何人も狭間の世界に迷い込んできたあの日よ」
そういえば。2ヶ月前とルナちゃんも言っていた。あの時伶さんはとんでもない速さでわたしが守りきれなかった人を助けていた。
もしその中にルナちゃんもいたとしたら、確かに時期は一致している。
「あれ?でもどうして?わたしもフミちゃんユウちゃんと会ってはいたけど2人は忘れてたよ?」
「そう、そこなの。私はひかりに合流するまでの間一切の会話を行ってないわ。なんならルナが助けた中にいた事すら気づかなかった」
そうなのだ。関係性が確定するには相手が確信を持った時、だからこそ会話等が発生するまではまだ平気なはずなのに。
「ふふふ、私がお姉様のことを気付けないとでも?兜をしていようと溢れる気品というものは隠しきれませんのよ」
「うそやろ、この子当人の気合いだけで関係性の接続まで持っていきよったんや……」
キンは少し、いや結構引いていた。




