魔法少女の素顔
「ふんぬぬぬ……」
『そうや!もっと自分の力を解放するイメージを持つんや!』
夜、住宅街の隙間にひっそりと佇む人気のない公園でひかりは訓練をしていた。彼女は手を合わせ力を入れている。
「ぬぬぬぬぬ……!」
『もうちょい!もうちょいで……来たで!』
ひかりの合わせた手の内から光が漏れ出す。
「おおお!……お?」
『《Force上限、現在は1.5まで使用可能です。》……そんなことあるんか!?』
キンは驚愕の声を上げている。
「はぁ……」
ある日ひかりは自分の部屋でため息をついていた。もう1人の名前も知らない魔法少女と出会ってもう2週間が経とうとしていた。その間幾度か狭間の世界に向かうことがあり、あの謎の化物と闘うことがあった。のだが。
「あの嬢ちゃん、滅茶苦茶に強いなぁ……」
机の上でクマの姿のキンがゴロゴロしながら呟く。
「うん……毎回私達が着く前に終わってるもんね……」
そうなのだ。ひかり達が狭間の世界に入り、化物に会うまでの間に先にもう1人の少女が敵をなぎ倒しているのだ。
ついこの前に至ってはとうとうその姿を見ることなく戦闘の跡だけが残る現場を見るだけになってしまったのだった。
「これって私のリミットってやつが原因なの?」
転がっているキンを上から押さえつけて質問する。
「んー。多少はそれもあるかもしれへんな?リミットは今の所3まで確認されていてな、多分あの嬢ちゃんのリミットは2や。リミットが2になれば武器も出せるようになる。更にリミットが上がるほど全体的に能力は高くなるからなー」
「……よし!私もリミット2になる!」
「まぁ訓練次第でリミット2まではいけるもんや、って今から行くのんか!?」
そうしてやってきたのがこの公園だ。かれこれ数日の訓練の末、ようやくリミット1からは脱却したひかりであったが。
「見てみてキン!これなんて武器かな?」
ひかりはウキウキで手のひらにある武器を見せる。
『うーん、これはメリケンサックやな。拳にはめて殴るやつや、しかも右手用一つだけ』
「え、全然魔法少女感がないよ……それに1.5ってさっき聞こえたし、まだ2までいってないってことだよね……」
ショックを受けるひかりをキンは最大限フォローしようとする。
『ま、まぁ元気出しいや!未だひかりのクラスはレンジャー、これは1番応用があるクラスやからここからリミット2になれば新しいクラスになって武器も杖とかになるんちゃうかな?』
「本当!?」
『うん、まあな……』
キンはリミット1.5などという数字を見たことがないことを黙っていた。もしかしたらこれ以上上がる可能性がないかもしれないということも。
と、そこで急にキンが震えだした。
『!ひかり!狭間の世界の侵入者を探知したで!このまま出撃や!』
「任せて!今度こそあの子より先につこうね!」
気合と共に出来た穴にひかりは飛び込んだ。