魔法少女の出会い
次の日、ひかりはキンと出会った道にまた訪れていた。
『準備はいいな?ひかり』
「う、うん。……リリース!」
腕についた時計に手を当て、声を上げる。するとひかりの服装は瞬く間に変わり。また前日と同じレザーアーマーを装着していた。『……やっぱりリミ1やな。まあしゃあない。それじゃあ"狭間の世界"に入るで!」
その声と共にひかりの足元に穴が空く。
「うわぁあ!」
ストンと穴に落ち、気がつけばひかりは空にいた。
『ひかり!焦らず着地してくれな、魔法少女である以上着地に問題はあらへん!」
「わかった!けど、これどうやってバランス取ればぐへぇ!」
ひかりは顔面から地面に着地した。
『平気かひかり?』
「う、うん。なんとか」
高高度から落ちて怪我が1つもないのはやはり魔法少女だからである。
『ならよかった。アイツの大体の居場所も探知した。案内するで』
「で、キン。ここに昨日のやつがいるんだよね?」
『ああ、そうや。ひかり達の世界に来るとき、アイツらはまずこの狭間の世界に足止めを食らうんや。これはひかり達の世界の防衛機能やな』
ひかりは辺りを歩き回る。見た目は自分の知ってる夢見町だ。しかし所々に破損した場所や壊れた建物が見えた。
『ただ、防衛機能は完璧ではない。このままアイツを放置すればいずれこの狭間の世界は破られてひかり達の町に現れる事になるやろうな』
「あんなのが町に出てきたら……」
想像するだけで恐ろしい事態だ。
『安心しいや、その為の魔法少女や!それにいい知らせもある。どうやらもう1人の魔法少女もここにいるみたいや』
「本当に!?頼もしいなぁ!仲良くなれるかな!」
そういった矢先、遠くから轟音が響いてきた。
『どうやらアイツがいるみたいやな。まだ魔法少女の位置は掴めてないけど、とりあえずそれは後回しや!まずはアイツの相手をするで!行くで!』
「了解!」
そして、
「…………貴女がもう1人の魔法少女ね?」
「ぐぁ……ぅぅ……」
人型の化け物はチリとなって消えていく。昨日の化け物だろう。
ひかりは目の前にいる騎士に目を奪われていた。きれいな装飾の施された細身の剣。全身を青い甲冑に覆われている。兜の隙間からこちらを見ていることがわかった。
魔法少女、貴女も。ここから推測するに彼女もまた魔法少女らしい。
「あ、えと、はい!私、昨日から魔法少女になった──」
「先に言っておくわ、貴女、魔法少女向いてないから辞めた方がいいわね」
「え?」
「それじゃあ」
「ちょっと待って!なんで──」
ひかりの声を最後まで聞かず騎士は自身の足元に開いた穴に落ちていった。
「……いっちゃった」
『そうやな……とりあえず帰るか?』
「そうだね……帰ろうか」
2人の足元にも穴が空き狭間の世界から帰っていった。
「………………MAD様に連絡をしなければ」
そんな魔法少女2人を見ていた1つの影に、誰も気づくことはなかった。