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魔法少女 LIMIT FORCE  作者: 竹炭
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魔法少女と秘匿性

何が起きたか分からなかった。最初に訪れたのは困惑。次に背中の衝撃、それに伴って肺から無理やり空気が押し出される苦痛。

「ヒュッ」

口から漏れるか細い息がまるで他人事のように聞こえた。

『──かり、……ひかり!大丈夫か!?』

少し遠いところから聞こえるキンの声がわたしの意識を引き戻す。

「ゼヒュッ、フゥー……ごめん、何とか」

『本当にすまん、ひかり。あのシャドウ達、どうやらまだ消滅してなかったみたいや……』

キンの謝罪を聞きながら、わたしは状況を整理する。

どうやらシャドウはわたしを掴んで反対側の壁に投げたようだ。正面にシャドウがいて、その背後は先ほどゲートを開いた行き止まりの壁が見える。

『どうやら消滅寸前に2体のシャドウはお互いに合体したみたいや。それで消滅せずに形を保ってる、大きさは大型までとは言わなくても、殆どそれに近い』

「OK、まあでもやる事は変わらないよ、ね……!」

無理やり体を起こそうとするが、壁に叩きつけられた体は悲鳴を上げているようだ。思うように体が動かない。

(魔法少女の治癒力でもまだ間に合ってない……!)

シャドウはこっちに近づいてくる。

(──まあ、2人を助けられたからよしとしようかな……)

動かない体でそう思った。

ゲートはすぐには閉じずゆっくりと塞がっていく。ラグを考慮して2人がここから出るには十分な時間があった。私はどうなってもいいけど、2人が助けられたならそれで充分。

そして、


「おい!こっちを向け!!」

「最初はウチら狙ってたんだろうが!」

「──え?」

シャドウは踵を返し自身の背後を見る。

「よしこっち向いた!」

「すぐ助けにいくからまってて!」

何故かフミとユウはゲートを通らずここに残っていた。



「ウガァァ!」

「避けろー!」

「ウオワァッ!」

2人は飛びかかるシャドウの左右をすり抜けるように通り行き止まりから抜け出す。

「ガガゥ!?」

「あいつウチよりバカだからウチらのどっち狙うか悩んだ挙句取り逃がしてんよ!流石フミ!頭脳派!」

「言ってる場合か!さっきの人助けて、すぐこの場から去るぞ!」


2人がひかりにむかって走ってくる。が、所詮人間の少女の速度。

「ガァ!」

シャドウは瞬く間に2人の頭上を飛び越えてゆく手を塞ぐ。

「クソ!まるでユウみたいなフィジカルだな!」

「フミこそそんなこと言ってる場合じゃないでしょうが!もう!」

「グァァ!」

2人の抵抗はここまでだった。できたのはほんの少しの時間稼ぎだけだった。


「くぅ……情けない、2人を助けるどころか助けられちゃってるよ」

フミとユウが優しい事は知っていたがここまでとは。自分なんかよりよっぽど頼もしい。

悔しがりながらひかりは体を持ち上げる。

ほんの少しの時間稼ぎが功を成した。

魔法少女の治癒力によって先ほどよりはマシになった、それでも痛みが走る体に無理矢理鞭を打ち立ち上がる。

「2人が危ない……」


──まともに戦えるかもわからない、普段共にいる伶もまだ到着してない。体の痛みはまだ引かない。復活したシャドウなんて初めてだ。倒してもまた復活するのか。自分1人で勝てるのだろうか。2人を守り切れるのか。もう諦めて動かない方が──。


ジャリ。大地を踏み締め1歩前に足を動かす。


恐れる気持ちを振り払い。脚に力をこめて一歩歩く。まだ体は容赦なく痛む。

ジャリ。それでもひかりは歩き出した。友を守るために。

「あ……」

そしてひかりは思いだした。


「グゥゥゥ……」

復活したシャドウはひかりの方を向く。先ほど痛め付けられ、痛め付けた相手がコチラに向かってくる。


「2人とも、助けてくれてありがとう。それで、忘れてたよ。本当に少し前の事だったのに。他の事考えてて。──わたし、決めてたんだった」

これはひかりの独り言だ。この声は2人には届かない。ただ、自分のための言葉だ。


シャドウの意識は完全にひかりだけに向かう。彼女の腕時計から溢れる輝きが、シャドウの目を離さずにいた。


「わたしは約束したんだ、強くなるって、立派になったって胸を張って言えるようにって、だから、こんなところで止まっちゃだめなんだ」

また1歩歩みを進める。腕時計の輝きは最高潮を迎えた。

ひかりは目の前のシャドウの先、親友2人を見据える。

「絶対に2人を守る!」

──突如、ひかりの装備に光が灯る。

レザーアーマーには細かな刺繍がなされた。

ブーツはより頑強なものへと。

ガントレットは両腕とも、先ほどよりも力強く輝いている。

それらは今までひかりが意識しなければ起きなかった事。力の配分を変えた時だけにできた事だ。それが今は力の配分を変えなくとも、全身に纏うことができている。それはつまり──、

『Limit2に到達』

リミットの上昇に他ならなかった。

『クラスの変更を承認』

シャドウはより強い警戒と威嚇を繰り返す。しかしひかりはそれを恐れる事はなかった。ひかりは新しい装備に身を包み、戦闘の構えをとる。


『適正クラス確認!Fighter Release!』


腕時計からそんな声が聞こえてきた。

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