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魔法少女 LIMIT FORCE  作者: 竹炭
37/111

魔法少女と秘匿性

「なんだこれ!なんだこれぇ!黒いユーレイ!?」

「とにかく走るぞ!……」


走り抜けていった声、姿にひかりは見覚えしかなかった。ひかりの親友のユウとフミだ。

『……よしひかり、降りていいで」

「早く助けにいかなきゃ!」

『いやちょっと待てひかり!』

木から降りてすぐに追いかけようとするひかりをキンは止める。

「でもこのままじゃ!」

『わかっとる!だけどこのまますぐ行くわけにはいかへん、さっき言ったやろ?狭間の世界との紐付けの話』

「紐付けって、確か……!」

『気づいたな、そうや。狭間の世界でワイらとあんまり話したりするとワイらとソイツで関係性が発生する。そうすると狭間の世界との関係の構築、即ち紐付けが行われてまたここに迷い込みやすくなってしまう』

つまりや、キンは続ける。

『ひかりとあの娘たちは元から友達やろ?そうしたら顔がバレてしまった瞬間完璧に紐付けが行われてしまう確率が高いんや。そうなれば彼女達が何度も狭間の世界に来てしまって、何度も危険に晒される事になる』

「だからって、このまま無視なんて出来ないよ!どうしたらいいの!?」

ひかりは声を荒げる。

『安心せぇひかり、ワイにいい考えがあるんや、ちょい耳貸してみ?』

「うん……」

藁にもすがる思いでひかりはキンの"作戦"を聞くために腕時計に耳を当てた。


「だめだフミ、行き止まり!」

「私も限界だ……」

路地裏の1角で足を止める2人、ユウは行き止まりの壁を見上げ、少し遅れてきたフミは息を切らしている。

「どうする、といっても来た道を戻るしか──」

言い切る前に背後から迫る振動に息を詰まらせた。

「できれば夢ならいいんだけどなぁ」

「私もそう思う」

2人を追いかけていたシャドウ達はゆっくりと現れる。2体のシャドウは獲物を追い詰めた事に気づいたのか、逃さない様にジリジリと距離を詰める。

目の前まできたシャドウになす術のない2人は恐怖から逃げる様に目をつぶった。

ズドン!

振動と風圧。

「ゲギャ!」「シャアアァ!」

何かの叫び声が聞こえる。


一気に静かになる。

暫くして、先にユウが目を開けた。

「……え?」

ユウが眼を丸くする。

先ほど自分達を追いかけ回していた黒い生き物は地に伏せていた。それだけでも驚いていたのにさらに目の前に誰かがいる。明らかに黒い生き物より小さい誰かだ。多分それは少女だ、自分達より少し幼いか、それとも同い年か。それはこちらに背を向けていた。

少しオレンジがかったレザーアーマー。両手にはシンプルなガントレットを着用。急いでやってきたのか肩で息をしている。

やがて、呼吸が整ったのかゆっくりとこちらに少女が振り向いた。

ユウは驚いた。

「………………」シュコーシュコー

そのファンタジーな服装からは想像もできないほど異質な黒いガスマスクが、顔を覆い主張していのだ。



「え、あの、」

「──どうしたユウ?急に静かになったんだが、もしかしてここは天国か?」

「シュコー」

「うわぁ!」

遅れて目を開けたフミは驚愕する。そんな2人をよそにガスマスクをつけた謎の人物──まあそれはひかりなのだが──は2人の合間を抜け、行き止まりの壁の前に立ち、ゲートを開く。


「シュコーシュコー」

「……あ、ここを通れって?」

「シュコ」

ひかりは頷き、早く通って、とジェスチャーを行う

「えっと、その、ありがとう?」

「……助かりました」

「シュコ!」

お礼を言ってゲートを通ろうとする2人。

(正直こんなので何とかなるとは思ってなかったよ)

(何言ってんねん。完璧やったやないか)

ひかりとキンは2人がゲートを通るまでを見守りながらこっそりと話す。



(こんなの絶対バレるって!)(いーやいける。案外バレへんもんやで)(うぅ……)



あまりにもゴリ押しな方法で正味不安しかなかった記憶が蘇る。

(まあともあれこれで2人がまた巻き込まれることは無くなったんだよね。よかったぁ)

これで一件落着。そう油断していたひかりだったが。

「──!」

「あ!」

2人の驚いた顔が視界に移った。どうしたんだろうと思った次の瞬間。

ひかりの見ていた景色はメチャクチャに揺さぶられた。

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