魔法少女と剣と拳
「「はああぁ!」」
2人はゴーレムに連携して攻撃を加える。ひかりの拳、伶の剣。2人は絶妙なタイミングで攻撃の手を切り替える。ひかりを狙えば攻撃が届く前に剣で弾かれる。伶を狙えば彼女よりも至近距離にいるひかりの拳による連撃を許してしまう。2人のチームワークは完成していた。
「…………!!」
斬撃が、打撃が、ゴーレムを襲う。どんどんと攻めることよりも守ることに力を割いていく。
そして、やがて守る事も不可能になった時。
「……おつかれ、ひかり。後は私がやるわ」
「…………っ」
ひかりの拳は下がった。俯いて震えるひかりの頭をポンと抑え、伶はゴーレムの方へ歩き出す。
ゴーレムは動かなくなった。構えは下りず、されど目は虚空を見ている。魔法少女2人の本気を一身に受けた体はもう機能を停止していた。
だが、まだ完全な停止ではない。
「コン、彼を止めるには?」
『……魔法力精製炉がゴーレムの左胸にありますわ、それを破壊すればゴーレムの魔力は補給されず、やがて完全に』
「そう、ありがとうね。コン」
最後まで聞かずに伶は剣を握る。剣は細く、1突きで精製炉を貫けるようにする。その剣先は少し、震えて──。
ギャキン。
鋭い音と共に、ゴーレムの左胸に剣が突き刺さった。
ゴーレムは自身の胸に突き立てられた剣をみて、口を開く。
「……いやはや、2人には迷惑をおかけしてしまいましたね」
「!」
「ゴー君!」
目に宿った光は正常なものになっており、それに気づいたひかりはすぐそばに駆け寄ってくる。
「どうやら精製炉に何かされたみたいですね。だから炉が壊れた今だけ、私の意識が戻っているのでしょう」
さて、とゴーレムは伶とひかりを交互に見る。
「おめでとうございます、伶。ひかり。貴方達は2人の力で私を倒すことができました。これ程のチームワークを発揮できるようになったのならこれから先もきっと問題なく戦うことができます」
と、ゴーレムは自身の手を見る。腕はだらんと垂れ、力が抜けた様子だった。
「どうやら魔力が後少しのようで。出来れば2人の頭を撫でてあげたかったのですが、残念です」
「ゴー君……」
「……」
「泣かないでください、ひかり。私はあなたに感謝しています。私の好きな街を守ってくれて、ありがとう。もう立派な魔法少女ですよ」
泣き止まないひかりに優しい声でゴーレムは話す。ひかりが落ち着くのを見てから彼は伶の方にも目を向ける。
「伶、後はよろしくお願いします。貴女は偶に1人で頑張りすぎる時があるので、ひかりと一緒に支え合ってくださいね」
「……言われなくても分かってるわ」
伶はぶっきらぼうに答える。それでも彼には伶の思いは伝わっていた。
「──これで全部、言いたい事は言えました」
満足そうな笑みを浮かべるゴーレムは静かに目を閉じる。そして──、
『……彼の停止を確認しましたわ』
『シャドウの反応も消滅したで。……今までありがとう、よく眠りぃな、ゴーレム』
完全停止したゴーレムの前で、2人の魔法少女が立ち尽くしていた。




