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魔法少女 LIMIT FORCE  作者: 竹炭
31/111

魔法少女とゴーレム

ガキン!


ピッとひかりの首元に剣先が添えられる。

「……参りました」

「よろしい」

伶が剣を引くと同時にひかりはドタッと背中から身を投げだした。

『お疲れさまやな、ひかり』

「伶さん強すぎるよー!」

『あらあら?でもひかり様も大分強くなっていますわよ?』

「そうね、私も万に一つも気を抜く事はなかったわ。そんな事したら負けるもの」

2人はゴーレムの家に入り模擬戦を行っていた。そしてその場にゴーレムはいない。

「どこ行ったんだろう、ゴー君」

「……もう3日ね」

ゴーレムは姿を眩ましていた。連絡は取れず、キンとコンの探知にも引っ掛からない。

そうなると可能性はもはや一つだけだった。彼はもう敵の手によって。

『こんなこと言いたかないねんけど、もしかしたらゴーレムはもう……』

と、言い切る直前。

『……!伶様!ひかり様!シャドウの反応ですわ!』

「わかったわ。すぐにゲートを開いて頂戴」

『…………シャドウもやけど、この反応は、』

『キン!貴方も早く』

『っ!分かっとるわい!』

キンとコンは一斉にゲートを開く。

「行くわよ、ひかり」

「うん!任せて!」


「「──リリース!」」

掛け声と共に2人はゲートの中に飛び込んでいった。


「反応はここね」

「また学校の校庭だね」

2人はあたりを見渡す。するとそこには何者かが立ち尽くしていた。

「あれは──」

「もしかして──?」



「ゴー君」



校庭にポツンと1人。その目の先は校舎の方に向いている。

「ゴー君!こんな所に!おーい!」

喜びで近づこうとしたひかり。しかし、即座にその足は止まる。

『……オイオイ、なぁコン。ワイ思うんやがこれは思いつく限り』

『ええ、そうですわね。──最悪の状況ですわ』

ひかりを見るその目は、どす黒い赤い光に染まっていた。


「ひかり、多分だけどゴーレムは」

「……嘘、わたし信じないよ」

明らかに震えている声を聞き、溜め息と共に伶はひかりの前に一歩踏み出す。

「だったらそこで待ってなさい。貴女には荷が重たいわ」

ひかりの返事を待たずに伶は剣を構え、ゴーレムへと近づく。

『伶様、ひかり様にはああ言ってましたけど伶様も本当は──』

「コン。余計な詮索はしないで」

『っ、申し訳ないですわ』


ゴーレムは構える事もせず近づいてきた伶をじっと見つめている。ジリジリと、ゆっくりと、間合いを詰め──。

『伶様っ!」

「──っ!」

即座に伶は体を逸らした。


ヒュボッ。空気を切り裂く音が聞こえた。先程まで伶の頭部があった場所にゴーレムの拳がある。もしも避けていなかったら、嫌な考えが脳裏に浮かび冷や汗が浮かんだ。

「……ふん、何が『戦闘データをフル稼働させてる』よ。まだまだ隠してるみたいじゃない、の!」


伶は勢いよく剣を振るう。

(剣は長剣に固定。残る力の配分は身体の強化へ──。拳相手に必要なのは一撃の威力よりも速度、手数!)

ガキン。易々と受け止められる自身の剣を気にも止めず、何度も斬りつける。ゴーレムには反撃の隙を与えない、それでいて自分は間合いをしっかりと把握し、少しでも得意な距離から攻撃する。それが伶の定めた戦術だった。



伶とゴーレムが一瞬ぶつかり合う度に幾度の攻防を示す剣戟の音が聞こえる。

『ひかり!聞こえとるかひかり!』

「…………」

『伶だけじゃダメや!あのゴーレムはひかりと伶の2対1を想定して造られとる!タイマンだとどうしても伶が不利なんや!』

キンの声が聞こえる。ひかりは返事をしない。

目前の先頭から目を背ける様に俯いている。

信じたくなかった。ゴーレムと伶の戦闘、今までの練習ではなくて、本気の戦いを。そして何より

「……なんで」

ひかりの呟きは、激しい衝撃音に掻き消された。

ハッとして見ると、伶が吹き飛ばされていた。

何とか立ち上がろうとするも、激しく打ち付けられた体は上手く言うことを聞かない。

ゴーレムは近づいている。ゴーレムの拳を今受ければ、伶は間違いなく──。

『ひかり!』

「っ」

キンの声が聞こえる。ひかりは返事をしなかった。

その代わり、呆然とするのをやめて走り出し。

「あぁ──」



「…………!」

「──わぁぁぁ!」

「ひかり!」

ゴーレムの拳を受け止め、思いっきり投げ飛ばした。



「伶さん、遅れてごめんなさい。大丈夫?」

「えぇ、平気よ。……それよりも貴女の方が大丈夫なの?」

それは、ゴーレムと戦えるのかと暗に聞いているのがわかった。ひかりがゴーレムに懐いているのは伶ももちろん知っている。そして、この戦いで自分達が勝つ条件は1つしかない。

「うーん、どうだろう」

力ない返事だったが。でもね、とひかりは続ける。

「伶さんを1人にしたくないって言ったのはわたしだから。その気持ちはほんとうだから、わたしは伶さんと一緒に戦うよ」

「──そう。信じるわよ?」

「うん、任せてよ」

戦いたくない気持ち、倒したくない気持ち。それでも伶を1人にはさせたくない想い。それが今のひかりをこの場に立たせている理由だった。


ゴーレムは立ち上がり、2人になった敵を静かに見つめる。その目は変わりなく、赤黒い光を放つ。

「ここからが本番よ、ひかり!」

「うん!」

2人はゴーレムに向かい駆け出した。

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