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魔法少女 LIMIT FORCE  作者: 竹炭
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魔法少女と最初の決着

「はぁ……はぁ……はぁ……」

伶は肩で息をしながら力の配分を元に戻す。殴り飛ばしたウォルフは近くの建物にぶつかり──。

「……ひかり!大丈夫!?」

と、そこで気付いた。伶はひかり諸共ウォルフを吹き飛ばしていた。伶は慌てて周囲を捜索する。と、

「れいさーん、起こしてくださーい」

ふと瓦礫の中から声がした、見ると瓦礫に埋もれて動けなくなっているひかりがいた。



「いやー伶さん凄すぎるよ、まさかわたしごと吹き飛ばしちゃんなんて」

撤去された瓦礫の中からポリポリと頬をかきながらひかりが出てきた。

「ごめんなさい、ひかり」

「いやいや、魔法少女の防御力のおかげで無事だったしそんな謝らないで」

『うんうん、ひかりは元々頑丈そうだし気にせんでええとワイは思うで』

「キン、何て失礼なんだ!」

何故かひかりの想像以上に落ち込んでいた伶を慰める。

「あのー、それで、ウォルフは?」

「!そうね、あっちよ」

2人は崩れた建物の方へ向かっていく。




「……んぁ?」

「あ、起きた」

「おはよう。随分のんびりとした目覚めね」

「……チッ。負けちまったみてぇだな、情けねぇ」

ウォルフは簀巻きのようにされていた。現在の状況をすぐに把握したウォルフは特に抵抗もなく大人しくしていた。

『後はワイらに任せてくれな。ワイらの世界につなぐ穴を今から作るで』

『伶様、ひかり様、手を合わしてもらっても宜しいですか?』

「うん」

「わかったわ」

2人が手を合わせると腕時計からバチバチと音が鳴り始める。やがて、2人の前には何やら普段とは毛色の違う穴が空いていた。

「何かいつもと違う感じだね?」

『これはワイらの世界までのホールや!ここにウォルフをぶち込んで強制送還させるってわけやな』

「へー、じゃあここ入ったらわたしもキン達の世界に行けるの?」

『いや、そんな簡単にはいかへん、魔法界とこの世界が繋がるのは数ヶ月に1度、それまでこの中で待っとらんといけんのや』

「えぇ!?数ヶ月って、お腹空いてしんじゃうよ!?」

『慌てなさんな、そのために色々な仕掛けがあるんやが……まあひかりに言っても分からんと思うしその辺は流しておくで』

やれやれと言わんばかりの口調に少しひかりはムッとした。

「わかるし。めちゃくちゃわかるし。ちょっと説明してみてよキン!」


ギャアギャアと騒ぐ2人を尻目に伶はウォルフの方を向く。

「そういえば聞きたい方があるのだけど」

「なんだよ?」

「確かあなた大将がどうとか言ってた気がするのだけど、一体どんな奴なの?」

「んー、ホントは教えちゃいけないんだが、今の俺は負け犬だ。答えてやる。俺達の雇い主は──」

名前を言おうと口を開く瞬間に。

ピシュン。

「──え?」

「──あ?」

「──!!」

ウォルフの胸を何かが貫いた。


「ガァッ、グゥ」

「ウォルフ!」

ウォルフは口から血を吐き出す。ひかりと伶はすぐさまウォルフに近づく。

《おや、即死を確信していたのですが、流石のしぶとさだ》

「この声!!」

「一体どこから……!」

どこからともなく聞こえてくる声。それは初めて聞く声であったが確実にひかり達に敵意を持っていることを感じられた。

『伶様!ひかり様!早くウォルフをこの穴の中に入れて下さい!』

「でも!この怪我じゃ……!」

『この穴に入れてる間はコールドスリープに近い状況になる様に仕組んである!向こうにつけば後はあっちでなんとかできるはずや!急いでくれ!」

「くっ!」

伶は即座にウルフの体を持つと穴の中に投げ入れた。穴に入るその瞬間──

「────!」

「「!」」


『閉じるで!ええなコン!』

『言われなくても!』

ウォルフは穴に飲み込まれ、穴は一瞬で閉じた。

《おやおや残念。上手く逃げられてしまった》

未だどこからか聞こえる声に2人は周囲を警戒する。

「でてこい!」

「貴方達、仲間に手をかけるなんて……」

《そんな不安そうな顔をしないでください、そんな

ボロボロな状態の貴方達、私の敵では無いのですが。我らが主はまだ貴方達を泳がす判断をとりました。私の仕事ももう終わったので今日は帰らせてもらいます。では──》

声が途切れる。2人は怪しい影がないか周囲を警戒していたが。



「さよなら」


「「!!」」

一瞬だけ、2人の耳元でクッキリと声が聞こえた。しかし振り向いてもそこには誰もいなかった。

「……今の、そこにいた……?」

「えぇ、確実に、ウォルフより強い」

それから2人は喋らなかった。


『おいおい何暗い顔してんねん!まずは1人!』

『めでたい事ですわ!まだまだ先がありそうですが、少なくともこれでお2人は1回、この世界を救っているのですのよ!』

『そうやそうや!ま、ワイの的確な指示のおかげやな!』

『あら?貴方何かされてましたかしら?』

『おう?いきなり喧嘩売ってくるとはいい度胸やのう?』

いつもの喧嘩が始まった。


それを聞きながらふと前も向けば、伶と目があった。

「……ふふ」

「……あっはっは!」

確かに先は長そうだ。敵の規模も分からなければ強さも全然足りて無い。けれど──、

「わたしたちの勝ちだ!」

「そうね、世界を救ったわ……!」

ひかりと伶はハイタッチを交わした。

──けれど、この瞬間だけは勝利を噛み締めていた。

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