魔法少女と応用
場所は校庭。どこから現れたのか、3mはあるであろう人型の黒い化け物がいた。
「一条さん、なんかあいつ手に持ってない?」
「そうね。多分あれは、棒高跳びの棒、かしら?」
今回の化け物は今までと違って手に何かを持っていた。化け物の背丈と同じ程の長さの棒。それを乱雑に振り回している。
「どうやら1体だけみたいね。速く倒さないと」
「グァ?ガァァ!」
「わわ、こっちにくるよ!」
こちらに気づいたらしい黒い化け物は棒を振り回しながら走ってくる。
「ひかりさんはそこで待ってて。私がやるわ」
「えっ?一条さん待ってよ!」
ひかりの声を待たず伶は地を蹴る。一息で化け物の前まで躍り出るとその勢いのまま剣を振り下ろす。
「っ!」
「グァァァ!」
高い金属音が周囲に響く。渾身の一振りは化け物に防がれた。
「こいつ、今までの奴と違う……!」
防がれた後、更に連撃を続けるがその悉くが防がれていた。少し前の巨大な化け物は攻撃を受けても気に留めずに暴れ回るタイプだった。
今まで戦った中でしっかりとした防御の挙動をとったのはこの相手が初めてだった。
「グッ、ギッ、アァァ!」
「ぐぅっ!」
伶の剣を防いでいた化け物は一際大きい叫びから反撃に転じ、伶に蹴りを放った。まともにくらった伶は吹き飛ばされる。
「一条さん!大丈夫!?」
校舎の壁に叩きつけられる寸前の所でひかりが伶を受け止めていた。
「……このくらいは平気よ」
立ち上がり化け物の方を睨む。化け物は棒を構えている。
「もう1度!」
伶はまた剣を振り下ろす。防がれる。
(このままじゃラチが開かない……。どうしたら……)
考えている隙を狙ったのか、化け物は棒を一瞬引く。
「なっ……」
「ゲアアアァァ!」
バランスを崩した伶に向かい化け物は拳を振り下ろす。
(まずい、けれど、避けられない──!)
もはやどうしようもできない。伶は来る衝撃に備えて身構えることしかできなかった。




