魔法少女と得られる力
「ぐぇっ」
わたしは伶さんのお母さんを庇うように背中から地面に落ちる。ただし痛みに嘆く時間はない。
「──伶さん!」
急いで伶さんの方を見ると支えられている伶さんのお父さん、それと彼女の足元に2つの塊が落ちているのが見える。悪意の芽だ。
「よし!2人からシャドウの気配は無くなっとる!問題なしや!急いで元の世界に戻すで!」
「うん!」
キンの言葉と共に開かれたゲートに伶さんのお母さんを入れる。向こうではコンが開いたゲートに入れていた。
「これで後は──」
「マリス、貴方だけよ」
言い終わる前に伶さんはすでにマリスの前にいた。マリスは両手をあげて降参のようなポーズをとっている。
「あの悪意の芽、片方が切り落とされた瞬間にもう片方が即座に爆発するようにしてたのになぁ」
チラと悪意の芽にマリスは目を向ける。地に落ちた2つの悪意の芽は同時に塵となり消えていく。
「──完全にラグのない切断、これはもうアタイのまけだね」
「そう、それじゃあ降参ついでに聞くけれど、他の仲間はどこにいるのかしら?」
「なんで教えなきゃいけないのさ」
「……答えた方が身のためよ」
スッと伶さんは剣をマリスの体の中心に構える。すると、マリスの顔が一瞬こわばり、かと思えばすぐに睨みつけるように伶さんをみる。
「いつから、いや、今気づいたのか?」
「先に質問しているのは私なのだけれど……まぁいいわ。そうよ、正確にはもう少し前だけど。リミット4になってコンの感知能力も上がったみたい」
「えーと、どういうこと?」
2人は何かわかっているようだがわたしには何のことかさっぱりだ。そんな疑問に伶さんはマリスから目を離さずに答える。
「彼女、マリスは人じゃないわ。ゴーレムと一緒で魔力の核が体内にあるの」
「!」
「ゴーレム?あんなのと一緒にしないで欲しいけどね、アタイの方が凄いんだから」
マリスの言葉を無視して伶さんはまた質問する。
「それで、教授、及びDr.MADはどこにいるのかしら?」
「教えてあげないよ」
「……警告はしたわよ」
冷たい声と共に剣を振り上げる。それを見て、マリスは気にも留めずに吐き捨てる。
「核の破壊なんて、もう遅いんだよ」
「?一体何を──」
言い切る前に何処からか轟音が響いた。
「え、何!?」
「これは──!?」
「まさか、」
困惑しているわたし達を尻目に段々と音は大きくなって。そしてその正体に気づいた。
「でっかい手だぁ!?」
右手、左手。巨大な両手がすごい勢いで接近してきたと思えばわたしと伶さんを虫を叩くかのように挟み込んできた。
「うわぁ!」
「なっ!?」
突然の事に動揺する。押さえ込まれるのはこの前の教授のロボットの時以来で──。
「伶さん!これこの前のロボット!」
「そうね……!確か名前はMAGE……マリスを助けに来たみたいね」
「伶さん!」
「任せなさい!」
わたしは全力で手を押し返す。とはいえ空いたのはほんの少しの隙間。だが、それだけあれば、
「ハァ!」
一瞬でロボットの手がバラバラに裂かれる。やはり、リミット4の力を得た伶さんは止まらない。
そのままマリスの前に躍り出て剣をマリスに突き刺
「貴方──!?」
剣を突き刺す直前、伶さんは驚愕の声と共に動きを止める。一体何が、そう思いわたしもリリスをよく見ると。
「だから言ったじゃん、もう遅いって」
先程とは打って変わって彼女がするのはわたし達のよく知る普段の生意気そうな態度。そこは変わりないが問題はそれ以外にある。
──リリスの体が、透けている。




