魔法少女と得られる力
「──思ったより良くないわね」
「そうなんだ」
「えぇ」
伶さんは両手を上に上げてそう言った。珍しくわたしの勝ちだ。
「なんというか、力の配分が難しいのよね」
両手には2振りの剣。
「しかも利き手じゃ無い方で剣を振ることがほとんどないから振り回されてしまうわ。だからといってそっちを軽くしようと配分を変えたら今度はリーチが左右で違って使いにくいし……」
どうやら結構不満点があるらしい。よく見れば確かに片方の剣は少しリーチが短い。
結局伶さんは剣を1本に戻してまた構えた。
「2刀流カッコいいのに」
「かっこいいだけで慣れるまでの手間考えたら1本でいいわよ。ひかりもリミット3になったら分かるわ」
そう言って伶さんは笑みを浮かべた。
ひかりは伶との会話を思い出していた
(2刀流は難しい。そう伶さんは言ってたはず……)
2刀を持つ伶を見ながら過去に模擬戦を行った時の感想を思い出す。
(でも、今の状況を打開するにはこれしか……)
──伶とひかりは解決策を見つけていた。伶の両親を助け、尚且つマリスにも有効打を与えられる可能性のある策を。ただし、それにはこの土壇場で伶に普段と違う戦闘方法を取ってもらうしかなかった。
そんなひかりの思考はマリスによって遮られる。
「はーあ、それじゃあ2人とも好きに戦って、好きに死んでよ」
マリスの声と共にわたし達は動き出した。
ひかりには強がってみせたがやはり2刀は慣れない。伶は剣戟の最中そう思っていた。
「!」
振り下ろされる刀を受ける。
──慣れない、が受けることはできる。更に言えば──。
「はぁ!」
同時に左右の剣を叩きつける。一瞬の間に2つの金属音。それを受け止めた伶の父親はそのまま後ろに跳ね除けられる。
「……力も充分に足りてる。速度もいい。これがリミット4」
後1つ、心配事は。
「はっ!」
「……!」
「そうなるわね……!」
右手の剣を振り下ろす。簡単に受け止められると同時に斬り返される。もう1対の剣でギリギリ受け止める。すぐ様後退し、追撃の一太刀を躱す。
『伶様!』
「ええ、大丈夫よ」
コンの声に返事をする。やはり、というべきではあるが技量の差だけは埋まらない。力も速度もこちらが上、その上で伶は有利とは言えない状況に立たされている。
(当然だけど、1番警戒すべきはこの技量……!)
伶は目の前の相手をもう一度見据える。先程のように我を忘れず、助ける相手を認識する。そうして己を奮い立たせる。
「──やった事は無いけど無理やり手数で抑え込ましてもらうわ、お父様」
勿論口で言うより簡単では無いことはわかっている。自分よりも強い相手の技に手数で挑もうなど。だが、これに賭けるしか無い。
「頼んだわよ、ひかり」
伶は二刀を構え直し、また剣を振り下ろした。




