魔法少女と得られる力
「や、やっと収まった……?」
光が弱くなりようやく目を開くことができた。眩しさが最高潮になる瞬間聞こえた声。その中心にいた人物。そこから総合してわたしは一つの確信に辿り着く。
「伶さん、リミットが」
「──そうね、上がったみたい」
伶さんの服装は、あまり変わってなかった。騎士のような鎧は形はそのままに、少し装飾が増えたような気もする。
ただ、違うのは──その威圧感。
明らかに今までと違う。爆発しそうなエネルギーが身体の中に押し込まれているのがわたしでもわかった。
『これが、limit4』
「…………」
呆気に取られたようなキンの声。それに返事はできなかった。
『……様、伶様!』
何処からかコンの声が聞こえる。
『──よかった!繋がりましたわ!』
「コン」
『リミットが上がると1度繋がりを見直さないといけないが少し不便ですわね』
まあでもすぐに済むからいいですけど、とコンはいう。
「……コン、ところでさっきのもの、みたかしら?」
『さっきの、とは?』
「いえ、だったらいいわ、後でまた話すから。今は」
伶さんはある一点に向きなおる。
「2人を助けるのが先よ」
視線の先はマリスが待っているであろう伶さんの家があった。
「アハハハ!狙いどうり!後はー?」
マリスは自らの手を望遠鏡に見立て伶とひかりの方面を見る。
「うん、うん!完ぺき!アタイの作戦通り!」
満足げな笑みを浮かべるマリス。ただ、その頬には冷や汗が一滴ながれていた。
「……ちょーっとヤバいかな?でもこれで、アタイの役目も大体終わり」
片手を空に当てる。そこには小さく穴が開く。それを見てつまらなそうにため息を吐く。
「…………もう少し遊びたかったかな?」
何処かに向けた声は誰にも聞こえないまま消えた。
「──おかえり、5分とちょっと過ぎてるよ?迎えに行こうかと思ったけど、ちょっと我慢したかいがあったってところ!」
マリスは元気そうに跳ねている。
「それで?どっちを見捨てて、どっちを助けるの?答えが決まった?今なら直ぐに差し出してあげるよ?」
マリスの前に2人はいる。指示があるまで動かないみたいで、項垂れたままその場で待機している。
「そうね、決めたわ」
伶さんは大剣を構える。私もそれに合わせて臨戦態勢をとる。
「お、マジで!?どっち?どっち!?」
それを聞いて上機嫌になるマリス。多分ここから不機嫌になるだろうなとわたしは思った。
「どっちもよ」
「……あ?」
「どっちも見捨てない。両方救うって言ったのよ」
それを聞いたマリスは無駄に飛んだり跳ねたりするのをやめた。深いため息。その後、本当につまらなそうな顔をこちらに見せる。
「あのさ、アタイ最初に言ったよ?片方切ったら片方が暴走するって。この3本の管。2人ともについてるこれを切った方だけ助かるんだって──」
「それは貴女の決めたルールでしょう?私達はそれに従う必要はないのよ」
ひかり、と名前を呼ばれわたしは一歩前に出る。相対するのはまた、伶さんのお母さんだ。
「そう、じゃあ頑張ってみなよ」
マリスのその声と共に2人が向かってくる。
「ひかり、頼むわよ」
「分かったけど……伶さんの方は大丈夫なの?」
「平気よ。今なら予定通りに行ける」
そう言うと伶さんは大剣を掲げ、力を込めて──。
「フッ!」
短い掛け声と共にパキィンと。甲高い音と共に大剣は縦に裂けた。
「私達ならできる。確信があるわ」
大剣はそのまま2対の片刃の剣となり、伶さんの両手に収まった。




