魔法少女と得られる力
横薙ぎ、袈裟斬り、斬り返し、横薙ぎ。
よく知っているその太刀筋を受ける、弾く、避けてまた受ける。
「…………!」
私がする事は目の前の障害を退け、お母様の悪意の芽を取り除く事。ひかりの方も気にはなるが余裕はない。
目の前の相手から目を離すことはできない。それほどの腕なのは昔から知っている。持ち前の技量と悪意の芽による強化が上手くかけ合わさった結果さらに脅威が増している。
魔法少女の身体能力をフルに使用して漸く同等の勝負に持ち込めている。
いや、同等になっている原因は他にも──。
「……ぐっ!」
危ない、少し余計なことを考えただけで押し負けそうになる。そうだ、原因など他にない。
「ふっ!」
金属音が響く。私が振るう剣筋も当然止められる。相手も私のことをよく知っているから。
(──さすが私の娘、将来が楽しみだ)
「ならば相手の知らない技で……」
(──ほら見ろ、あの鯉はお前よりも年上なんだぞ、すごいだろ?)
「っコン!ひかりの位置は!」
『ええ、直線上に!』
それを聞き剣を構える。相手もまた構え直した。ここが一つの山場だと気付いたのだろう。
「はああぁ!」
剣と刀、両者がぶつかる前、勢いが乗った瞬間に私は剣に力を込める。
「退いてもらうわ!」
──力の配分の変更により剣は大剣に姿を変え、突如増した質量に対応するのは容易ではない。相手も咄嗟に受け止めはしたものの勢いを殺すことは出来なかったようだ。
「……はぁ!」
私はそのまま相手を弾き飛ばした。多分すぐに体勢を持ち直しこちらに来るだろう。だが、その少しの時間は確かにある!
「今しかない!」
前を見据える。そこには戦っているひかりと自分の母親が見えた。
「…………!」
全力で走る。ひかりを助けるため。
(──あ、安心しろ娘よ。お、オバケはいないさ。なあ母さん!?今日は3人で布団ひとつで寝ないか!?)
武器の形状を変える。自分が1番切断に長けてると思う形に。
(──すまない、ただ、お前が仲良くできてるか心配で……)
武器を振り上げる。母親を救うために。そして──。
(──おお、おかえり。お友達は明日来るんだったな。今日の夕飯を見てくれ!母さんが楽しみすぎて大変な量になってるぞ!父さんと協力して食べつくすのを手伝ってくれ!伶!)
「……ふふ」
笑うしかなかった。自分の覚悟の甘さに。
振り上げた武器の切先が震えているのを見てそう感じ、そして、
──それでも刀は振り下ろされた。




