魔法少女と得られる力
「伶さん!」
「…………」
ようやく追いついた時には伶さんはもうシャドウと対峙していた。
「コン、もう1度聞くけど、シャドウの反応はそこでいいのね?」
『……はい。その通りです』
コンの緊張したような声が聞こえる。それもそのはずだ。わたしと伶さんの視線の先にいたのは。
「──伶さんのお母さん、お父さん」
2人は糸の切れた人形のように動かない。先程のコンの言葉からもシャドウの反応はこの2人を示しているようだ。
『趣味の悪い模倣って訳でもなさそうや、シャドウの反応と同時に伶のおとんおかんの反応もちゃんと存在しとる……!』
キンが呟く。キンの言葉から怒りの感情が籠っているのが伝わる。
「まったく!まだ話が終わってないのに先に行くんじゃ無いよ!」
「マリス!」
マリスが現れる。ブツブツと文句を言っているがそれだころではない。
「何かしら、言い訳ならすぐに聞いてあげるわ、そこで待ってなさい」
伶さんの声は今までで1番冷たく感じた。
「おーこわ、でもアタイの話聞いた方がいいよ?その人達を助ける方法なんだからさ」
「え!?」
「待ちなさいひかり。そんな事教える意味がわからないわ。嘘に決まってる」
マリスの言葉をピシャリと跳ね除けた伶さんにマリスは憤慨する。
「アタイが仲直りの提案してあげたんだからちゃんと方法あるに決まってるじゃん!そんなに言うと教えてあげないよ?」
──正直なところ伶さんと同意見だ。信用はできない、けど、何も情報がないのも良いとは言えないだろう。
「伶さん、聞くだけ聞いてみよう?」
『せや、ああいうタイプは下手に機嫌を損ねさせたら何するかわからん』
「……早く話しなさい」
渋々了承した伶さんは構えを下さずにそう言った。マリスは途端に機嫌が良くなる。
「よーしそれじゃあ教えてあげよう!まず説明するのはコレ!みんな知ってるね?」
そう言って見せてきたのはわたし達が散々見てきたモノ──。
「……悪意の芽?」
「大当たり!みんな大好き悪意の芽だ!そして今回は初の試みが行われたよ!普段はシャドウにこれを付けてるわけだけどー?」
そう言ってマリスは2人をくるりと回す。その背中には先程見せたのと同じモノが張り付き、脈動している。まさかこれは──。
「そう、初めての人間へ芽の植え付け!これには色んなドラマがあったんだけど……そんな怖い顔されたらアタイ困るよー。それじゃあドラマの説明は無しね、後は巻でいきます」
こちらの視線に気づいたのかつまらなそうに喋る。
「じゃあ簡潔に言うけど、コレを切除すれば良いよ。ほら、無理矢理つけたから管3本でついてるの……ただし!」
話を聞いて動こうとしたわたし達を牽制するように声を上げる。
「これは貴女の為の仲直り応援イベントだから、切断以外は受け付けてないよ。無理矢理剥がそうとすれば身ごといっちゃうかもね。後はね」
少し考え思い出した様に、どうでもいいことの様に放った言葉。
「──そうそうコレ、片方が切除されたらもう片方が暴走するから。多分死んじゃうんじゃないかな?」
それはこちらの思考をフリーズさせるのに充分な言葉だった。
「……な、」
「じゃあがんばってね!」
マリスが消え、それと同時に2人が動き出した。




