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魔法少女
町が崩壊していた。道路は荒れ、家は壊れ、そこかしこから火が出ていた。しかし、町は静かであった。
そしてそんな町を走る影が1つあった。
「次の角を右!そしたらしばらく道なりに進むんや!」
「わかったよキン!」
それは少女だった。動きやすそうなレザーアーマーを身に纏った少女。短髪でどちらかと言えば少年の様な印象も受ける。彼女はどこからか聞こえる声と行動を共にしていた。
「よし!もう目の前や!そこを曲がったら到着やで、ひかり!」
「そこだね!よっと!よし、とうちゃ……」
ひかりと呼ばれた少女は言葉を失った。目の前には──。
「…………」
動かなくなった黒い物体と、
「…………貴女がもう1人の魔法少女ね?」
全身甲冑を纏った騎士がいた。
『……MAD様、魔法界の犬が揃った様です。ハイ、……ハイ、了解しました。では、MAD様のお召しのままに……』
そして、物語が幕を上げる。