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Bright Black!! ただの変質者//

「女湯を覗きたい!」


––– 男なら、誰もがこう思う事だろう。

然しその願望は往々にして叶わないものだ。


何処から仕入れてきた、もとい漏れたか定かではないその計略は事前に女衆へ知れ渡ることになり、桃源郷を臨む侵犯の場は現場にアホヅラ晒してやって来た男どもへの審判を下す場へと変わる。

替え玉を用いた精神的ショック作戦、行手を拒む悪辣なトラップ使用、屈強なボディガードなどの徴用、水着着用など……馬鹿な連中に仕置する手段もいまや枚挙に暇がなく。

そんな太古から変わらぬ普遍的な情動に対し女達はありとあらゆる手段を用い覗きに徹底対抗して、そこで数多の男達が散っていったのだった。



「覗き?んなものフィクションだよ。そんなものよりオラ混浴に行くだ」


そして、ずる賢いスケベニンゲンから合理的だと思われる合法的手段に逃げ、そこに希望を見出す。


然し、希望とは無残に散り行くものだ。

ささやかな願いと幸せを夢見た年末の宝くじが如く、もしもの未来を皮算用しながら明日を待ち望んだ男達が目撃したものはまさに国境であった。


一つの浴槽の中で自分から棲み分けられに行く男女たち。左壁際と右壁際のあいだで飛び交うイヤラシの視線と軽蔑の目線。それから両国間の不仲など知ったことかとばかりに国境付近で乳繰り合うアベック共へ向けた嫉妬の目線。そう、まるで歪に切り分けられたミルフィーユのよう。

嗚呼、世界平和などこれから先も絶対に叶わない…などと思わされるような、人間の卑しさと他人への不信感とほんの少し残された、されど届かない願い達。


そして、誰かは言った。


「オラこんな湯はイヤだ、オラこんな湯はイヤだ。ソープさ出て行くだ」


然し其れもカネだけの一時的な関係。まさに混浴の有様が如く。


つまりはカネを取るからいけない。誰かが暗黙のルールを作り、其れに従わざるを得ない雰囲気を作るからいけない。ならばそうか、自分で創ればよいのだと。即ち、自分だけの温泉を。


そしてその誰かは創った、創ってしまったのだ。

山奥の何処からか湧き出る源泉を使った、知られざる秘湯を。

誰かは思った。この秘湯があれば星にも手が届くかもしれない、と。

やがて知られざる秘湯は知る人ぞ知る名湯へと変わり、設立者たる誰かさんにとっての格好の覗き場へと生まれ変わる筈だと。


この物語はそんな下賎な動機から生まれた温泉が作られるまでの、くだらない茶番を綴ったお話である。







人類は遂に仮想的な現実空間の構築をものにして、ヴァーチャルリアリティの世界で生活できる夢のようなゲームが誕生した。


なんでも出来ると、始まる前からすでに聞き飽きるぐらいこの手のゲームを題材にした小説には有り触れたキャッチフレーズを現実に掲げ、いざ新たなる世界の始まりを拝まんと大勢のプレイヤーが参加した"創世online"なる少し怪しげなゲーム。



まずはキャラクターエディットから始まったそのゲーム。

それによりプレイヤーはゲーム上での自身の姿を自由に設定可能……しかし自由とはなんだっただろう?仮に無限の選択肢を与えられても、全ての可能性を確認して遊ぶ時間は何処から湧いてくるのだろう?なぜゲームを始める前に紙粘土の塊をこねながら人体のつくりを再現した模型を作るところから始めないといけないのか?

どうしてプリセットキャラクターを用意してくれなかったのか。

まるで白紙にペンで月の裏側の地形図を正確に書けと言わんばかりの投げっぱなしなキャラクターエディットは、不定形なイメージを一つまとめ上げるのに多大なる労力を要した。


誰しもが理想の人物像を持っている。

憧れの主人公が幾つも頭をよぎり一つに纏まらない。特殊な性癖は偏重され不変のキャラクターイメージとなって現出してしまう。おっさんの筋肉ががが。そもそも人間の体ってどんな作りしてたんだっけ?腹筋が物理的に崩壊で絶倒中。

悠二、竜児、キンジ、シンジ、ケイジ、カイジ……日常系か非日常系か悩ましい所だし性格ガッツリ系かやれやれ系か熱血系か決めあぐねて考え纏まらず。むしろヒロインたち中の人被りすぎ問題で釘宮病とかの重篤化が心配。

ツンデレ、クーデレ、ヤンデレ、ダルデレ、デレデレでわんわんお。四半期ごとに変わる嫁の姿がチラついて前に進めない。

おっぱい星人なら何処までも膨れ上がる妄想のおっぱいに意識を乗っ取られ星の大きさのおっぱいと化したソレの重力崩壊でポロリもあるよを期待しておっぱいのゲシュタルト崩壊を目の当たりにすることだろう。

貧乳スキーなら究極のぺったんこバランスに拘りすぎて事象の地平線を探す旅に出かけることになるだろう。

拘ればこだわる程にドツボにハマり、しかし具体性のない適当なイメージは生物としての破綻を意味してしまう。なんやこのエイリアンは?

自分は何者で、何が好きだったのだろう?

ああロミオ、どうしてあなたはロミオなの。 そんな哲学的な問いかけに長い時間をかけて解を導き出しようやっとキャラクターメイキングが終わると真っ裸で広野に放り出された。やっと終わった。ここから俺の冒険が始まるんだ!



そして数分後……。

俺は、死んだ。

一晩中かけて作り上げた俺のキャラクターデータはゲーム内にいる狼的な肉食動物の養分として役目を終えた。ガッデム!

恐らく、いや間違いなく大多数の人間がこの時点で既にゲームを投げていた事だろう。そもそもまともにキャラクターを作れた奴がどれだけいることか。

しかし、俺は死の間際に希望を感じたんだ。無駄な時間と労力の消費で唯一得られた素晴らしい体験に。

そう、一緒に身を寄せ死んだ人が美人でとても色っぽく良い脚線をしていたことを肌で感じる事が出来たこのゲームの未来を想像してな。マッパとはけしからんですなぁ。ぐふふ。


だが、あとあと気がついたのだがその人物の傍にはおいなりさんが在わしたのだ。左脇腹の右斜め下あたりに祀られてる立派なお方ががが、もういい忘れよう。



不貞腐れて眠った後は再度ゲームをやり直す。

あの野郎、オトメンの純情を踏みにじりやがって!いまに見てろよ。

……つまり、自分の体なら自由に触りたい放題なのでは?

よーし、今度は私になって頑張るぞー!


その十数時間後……。

私はまだ生きてます!

数秒先は分からないけど。


多くのクリーチャーに囲われて身動きが取れなくなった私は、邪神モッコスにお祈りを捧げてこの場を切り抜ける知恵と勇気を授かった。


「キャラクリ上手いなどうやったの?」

「俺を美少女にしてくれ〜!」


「おお、かみよ!」


わおーん。私は鳴き真似をして狼の群れを呼び寄せた。僕が考えた最強の勇者もとい宇宙人の見本市をどうか壊滅してください。


「ケモ耳少女萌え〜」


私たちプレイヤーは狼に血肉を提供して全滅したのだった。




ふぇぇ……あいつら前衛的過ぎるよぉ〜。力が、力で全員お帰りいただきたいのぉぉ……。

ええい、次だ。次!



僕はオーくん。何処にでもいる普通のオーガの子。オークじゃないよ!オーガだよ!

好みの肉はニンゲンの肉。

しかし、どうやらこの世界にはまだ人間が居ないようだ。


二次元から三次元に飛び出してきたペーパーマン達を千切っては投げて、なんちゅー糞ゲーだコレ。


まだまだキャラクターエディットは鬼門らしく、ヒトの姿をした化け物が何処からともなく現れては、すわモンスターか! と偶々遭遇した同じプレイヤー同士で勘違いして殺しあう事例が多数目撃されている。

きっと誰しもが同じ事を思っていた事だろう。


チクショー、このゲームにヒロインはいねぇのかよ!


居た。

化け物連中に囲まれてる人間らしい造形した生き物をようやく確認できた。ヒャッホーウ。


「ねぇ君可愛いねぇ。どうやって作ったの?レシピおせーてぶえばぁ!?」

「せめてドロワーズさえあればばバッ?!」


おらー、オーガ様のお通りじゃぁ!

十把一からげの塵芥風情が美少女様にお近づきになろうとは片腹痛いわ!

幾星霜過ぎようともお前ら全員キャラクリからやり直してこいや!

モンスターハウスに隠されたひとつの宝物を護った俺は力尽きた。殺し合いなら今の所無敵だが筋骨隆々マッシブ系オーガくんの消費カロリーは半端なかったので飢えて動けなくなったのだ。無念、無念なりぃ……。


「あわわ…だ、大丈夫ですか?」

「ぁぁ…お嬢さん。僕の事、怖くないのか?」

「そんな、やっとまともな人型っぽいプレイヤーと出会えたのに、何故?」


お嬢さんは僕の胸の上でわんわん泣いてた。おっぱいの感触ががが!彼女、よほど邪神どもに囲われたのが堪えたのだろか?気持ちはよく分かる。が、彼らもきっと悪気があっての事ではないと思うのだ。すべてはこの糞ゲームがプライベートな部分へ必要以上に切り込んでくる某小説サイトのアンケートが如く執拗に「ポテトの長さ太さは何ミリでカット方法はレギュラーかシューストリングかウェッジかスパイラルクリンクルラティステイスティテーターカーネリングハッシュドトルネードとありますが皮付きもいかがでしょうか?揚げ加減味付け他に油の種類ジャガイモの種類盛り付け方はお決まりですか?他には……」と設問に設問を重ねてデリバリーまで漕ぎ着けられないドライブスルーで拘りの渋滞から抜け出せなくなったようなドツボに嵌らせた運営の仕業なので。つまりプリセットさえあればきっとこんな酷いことにはならなかった筈だ。

逆を言えば、おすすめのメニュー的なお任せ注文を許さなかった運営がいたからこそ、こうして自分だけが美女と触れ合うことが出来たのだと思えば、「キャラクリが下手くそなやつざまぁwww」と竹林を生やさざるを得ない。


このまま美女と野獣の物語に突入かな?

そんな雰囲気を感じていた僕たちは、餓死寸前の我々の前に現れた狼の群れに美味しくいただかれたのでした。南無三ッ!




つまり、リアルな美少女とナマで触れ合えるこの神ゲームはやはり糞ゲーと見せかけて実はネ申だったのでは?そう思ったミーはスレンダーマンとなって森神の一人として貴重な美少女の保護に努める事をここに誓うのであった。


スレンダーマンとは全身白タイツにビッシリスーツを着込んでる、ちょっと怪しげなあしながおじさんの事である。背中からは触手を生やすことが出来て、森や林に遊びに来た少年少女達に「ここで遊ぶのは危険です」とクネクネしながら警告を促すことで獰猛なクマやイノシシなどの獣害から身を守ってあげる優しい側面を持っているンだ。そんなぶきっちょだけど憎めないおじさんの光源氏計画を始めようじゃありませんか。

てな訳で未来のお嫁さん探しに出会ったエイリアン達は恐れ戦いて逃げ出すし、うっかり気がつかずに近寄ってきた連中を触手に絡め取るとぶくぶく泡吹いて気絶させたりしてんだけどね。少年少女は置いとくとしてやっとこさ人間らしい生き物になってきたじゃ無いの、君たち。


しかし自分完全にヤバい奴やんけ。いやらしく伸びた触手をうねらせて我ながら恐ろしいものを作ってしまったと戦慄を覚えた。


ところでキリンさんは高血圧というポスターを病院で見かけたことは無いだろうか?血圧が高いということは血管及び心臓に無理な負担が掛かるということで、元から血圧が高いキリンはともかくとしてサル目ヒト科の個体が健康診断で極めて悪い値をはじき出せば身体的によろしく無いということは自明の理というか当然の帰着でしてね。


つまり、無駄に手足の長いヒトは短命になると統計結果が出ている以上、ナマケモノがひと月かけて消化を行うが如く、ミーは立ってるので割と精一杯だったりする。同じ触手持ちとしてはタコさんの心臓3つ、脳9つを見習いたいものだね。



さて、あしながおじさんは優しいから、紳士的に狼たちに餌を提供してこの場を抑えて貰えないかと顔色を伺うかね?


かくして不気味なスレンダーさんは狼さん達から疑似餌扱いを受け見逃され、贄とされた哀れなプレイヤーは死に戻ってキャラクリやり直す手伝いをしてもらってwin-winという訳だ。もはや美少女が姿を現してくれないことにはこの慈善事業も立ち行きそうに無い。

そう、またしても餓死なのだ。その辺に毒キノコとか落ちてたらリセマラも捗るのだがな。まずい草、吐き気を催す木ノ実、イチゴに擬態した蜘蛛とか食えるかな?まともな飯が食いたい……

最期は狼の餌にされそうな少女を身を呈して庇います。ふとももが眩しかったです……。



ミーは死んだデース。




とかやってるうちに、ようやく運営が重い腰あげて動いてくれた。キャラクリの自由度は減るがプリセットメニューから選んで好みのキャラクターを選択することが出来るようになった模様。なかにはいつぞや作ったケモ耳娘や助けた娘とかに似たキャラクターが、他にも何体か選べるようになってた。うーん、見れば見るほど見覚えが。もしかしなくても、使い回し。これって手抜きじゃね?


釈然としないものを感じるが、まあ良い。次行ってみよー。




オッスメッスキース、おらリンコ。気軽にリンコちゃんって呼んでくれ。


あの美しいおみ脚を見て思ったのよね。やっぱおら足フェチなのかなって。だからって訳じゃ無いけど足を増やす的なアレで蟻んこになってロースタイルでスカートの奥へ往こうかなって。


でもよくよく考えたらこの世界、スカートどころか女の子すらまともな数見てなかったなって。だからこの案は寝かせとこうかと思ったけど、神アップデートでおにゃのこ爆増の予感したのでやるなら今しかねぇずらと思った次第。


御御足じゃぁー、脚線が見たいんじゃあ。


「おら、そこの新入り!サボってないでさっさと働かんか!」

「アイアイ、サーッ!」


しかしそこは真社会動物としての悲しいサガが働いてね。気がつけば見知らぬ隣人に囲われて古代文明もびっくりな巨大建築やってますっつー。

かたや今日食べるものでヒーヒー言ってるプレイヤーどもをよそに思わぬ文明社会の構築を目の当たりにしてしまってね、人間とやらのちっぽけさにから笑いしながら、やっぱ女の素足見てぇなって。これはちょっとしたスペスタクルですよ。


「た、たいへんだぁ!ケアリの大群がぁ、大群が攻めてきたでぇ!」


「なに?それは大変だ。ところでこの中に裏切り者がいる」


「は?裏切り者?」


「そう、裏切り者だ。お前だよ、お前」


ブチン。そうして斥候に出ていたアントの首がリーダーの顎によって食いちぎられた。ホワイ?!


「間抜けのせいで我々の作戦区域の情報が外部に漏れた。だがここでプレゼントを棄てて通常ルートにて撤退を図るとする。するとそこが我々にとってのアラモ砦となるだろう。だが敵も馬鹿じゃ無い。我々が情報を読んだと推測して更に策を張り巡らしていることだろう。すると我々が取るべき行動は、こうだ」


パン

ツー

パン

ツー

パンパカパーン!

パンパカパカパカx2

パッパカパーン

パーンツパンツーパンツ見せろ〜♪

ところで、デススパイラルというものをご存知だろうか?軍隊アリが同じ場所をグルグル回って集団自殺を始めるっていうアレだ。

蟻は仲間のフェロモンを追って餌を探す。かなりのド近眼で視界はほぼ無い。つまりオラがスーパーローアングルを期待して蟻に擬態したのは完全なる選択ミスというわけであり策士策に溺れるというやつはまさにそのことだ。



奴らは我々がこう出る事を予想しているはずだから我々は逆に打って出るべきだと考えるがそれも奴らには多分読まれてるからあえてこう出るのが手だろうがそれなら最初と同じだと思うことだろうが敢えてそれをした事を奴らへ分からせる必要がありだからこうして歩きながら考えたら堂々巡りで偶に餓死するのがチャームポイントとゆうわけだ。


ところでおらは割と早い段階でフェロモンの匂いが違うなる理不尽な理由から首チョンパされており、気門を使って呼吸ができる以上今や餓死を待つだけの考える葦にも劣るというわけだ。ああ、御御足を眺めながら逝きたい。

蟻は今度から無しだな。




てな訳で次、モフられに参りますわよ。


あちし、ウルフちゃん8歳。何処にでもいる普通の肉食獣なの。此度は大量発生中のケモ耳娘さん達に膝枕して貰うためにテイムを試みるの。


「きゃー。アッシュウルフよー。誰か火を、火を焚いてぇ!」



どうやらあちしが蟻んこ生活してる間に一応の進展はあったらしく、無残に食い殺されるだけだった外宇宙生命体が現地に適応、進化してまともに人間っぽい見た目を手に入れて知恵を駆使して生き残りを図ってるっぽい。

成る程、あの狼もどきにはアッシュウルフなる名前がつけられて火が苦手らしいことが分かっていると。更に言えば人類の歴史の原点とは即ち火を扱えるようになった瞬間、その時であるとも言える訳であるからして、ようやくこれでゲームスタートという訳だ。


……人類?の歴史、と言えるのだろうか?

謎のケモ耳娘とそれを見守る妖精さんことスレンダーマンの群れと腹ペコなオーガさんを飼いならす女っぽい少年とか、お嬢さんっぽいのとか、何処からか現れる似たような外見の、なんか見覚えのあるキャラクターが多すぎるんだが。


……まあ良い。この中で好みなのはお嬢さんっぽい娘だろう。彼女?にゲットされる為にナウ鹿プレイするには今シカない。


ここで新登場!なにか寄生虫みたいなのまとわりついた巨大猪をけしかけて人類?の集まる村っぽい集落に突撃開始ィ!


そしてそれを操るのもこのあちし。VRワールドで織りなす影分身の術もとい多重起動は狂気の沙汰である。つかマジでしんどい。

両手でギター弾きながら足でピアノ弾いてロックとクラシックの二重奏を演奏中にオペラ座の台詞を口ずさむ的なチグハグ感で開いてはいけない扉が開けそうな感じを覚えながら突撃した猪で大暴れ。マジモンのモンスター相手に棍棒で応戦するオーガくん。オラ豚野郎な餌が現れたぜヒャッハーするあちしを食い止める為に力を貸すもう一人のあちしがここで登場。


「けっ、なんだって今日はこんなにアクティブモンスターがわんさか湧きやがる」

「こんな時にアッシュウルフまでもか!」


ウルフちゃんは敵ではありませんよと果敢にも小柄な体躯で巨大猪相手に応戦。予定調和でギャンって弾き返される茶番劇。それを見て一先ずの敵では無いと人類達の油断を誘い、そしてほくそ笑むのだ。

猪くんの突進攻撃。人類種お手製の槍は脆く根元から折れて使い物にならず悲鳴をあげる原始人的な戦士達。


「どわぁ!やめッグゴゴ」


オーガくんを丸呑みで豚の餌にした後、さらなる進化を遂げた猪くん。油断してるとあちしの制御を離れそうだ。

ブンブンと頑張って作った牙をぶん回して闘うあちし。蹴散らされる。てかキャラクリの自由度高すぎて難易度のバランスがおかしくなりすぎィ。この事件を機に人類プレイヤーが居なくなるような悲しい結末にならなければ良いが。


でもウルフちゃんだって負けてないんだから。

原生生物であるアッシュウルフ先輩をつぶさに観察してその姿を忠実に再建したクローンウルフちゃん。その姿はちょっぴりお茶目心働かせて毛並みを少しキューティクルな感じで少し小柄でチャーミングな感じの目元にしてみたのだな。結果として群れではアイドル扱いされて可愛がられてます。蟻の時とは違い狼さん達チョロすぎて不安になるね。


ペシペシと爪や牙で攻撃しても我関せずといった感じで猪くんの気にも止められないウルフちゃん。我ながら固すぎて萎える。つか操作が限界迎えそうなんだよ、さっさとお前くたばれや。

とかやってるうちにオーガくんをもう一人丸呑みして更にパワーアップしてしまった猪くん。あ、なんか今完全にコントロール失ったって分かったんだよね。


まるで友達から貰ったパチモンのレベルが上がり過ぎてバッヂのないトレーナーの言うこと聞いてくれなくなったみたいに可愛げのない野生猪くんに進化してしまった。これはヤバイか?


どうにかして操作権を取り戻せないかとエクトプラズム吐きそうな勢いで操作に集中してたら、なんかマジで出た。


村一番のかわい子ちゃんに迫る猪くん。

そうはさせるか!

ウルフちゃん必殺の、口からビーム。

チギューン。目ん玉撃ち抜いて大ダメージ。悪魔玉の威力は絶大か?


だがしかし、対価は決して安くなく、全身から力が抜けてヘロヘロになるウルフちゃん。腹ペコなのに食欲なくてグッタリ。それでも懸命に立ち向かうウルフちゃんに村のかわい子ちゃんは心打たれてメロメロだ。


ふふふ、計画通り。



かくしてあちしはこの絶望的な状況から人類?の未来を救った立役者として受け入れられて、何やかんやでお嬢さんっぽいカワイコチャソのお気に入りのペット的な立ち位置に潜り込むことに成功したのであった。


「クレアー、ブラッシングの時間よ〜!」

「あぉーん!」


そこで得られたのが、モフモフの毒牙にかけられたお嬢さんの無防備な膝の上を枕にして寛ぐ日々って訳ですよ。

脱ぐと凄いんですよ的なほんわかゆるふわ系ジョスィ〜が碌にお洒落もできないような環境で自室に寛いでたらそりゃ、脱ぐと凄い奴がそのままな状態を部屋着な感じで、ありのままの自分になるの〜って感じに裸のお付き合いを始めるとですよ。


オーイエス

オーイエス!


犬って何で左脇腹の右斜め下あたりにあるクリティカルゾーンに頭から突撃してくるんですかね?兼ねてからずっとそんな疑問があったりなかったりしたのですがつまりこういう時のための面長な顔パーツのレイアウトだったんですね。おまけにロースタイルで見上げる大自然がありのままの絶景ですよ。マジ最高かよ。



まあそんな日々も長くは続きませんでしたけどね。


誰か感づいたのか動物レシピが徐々にレパートリーに加えられるにつれてあちしにも着ぐるみ疑惑が浮上したんですよね。

ご主人は最後まで信じてくださいましたが、まあそれでも疑念はあったのでしょう。


家犬だったあちしは外に追い出され柵に囲われて隔離される日々。それでも、それでもお嬢さんは信じてくれている筈……と思いながら衰弱死してしまいましたとさ。ちゃんちゃん。





まあぶっちゃけ充分堪能し尽くしたし、少しチラリズムに飢えてきたと言うのもある。開き直られるよりはこう、羞恥心と無自覚の境界線を行ったり来たりする時の複雑な表情の変化を楽しむ侘び寂びのココロにもの淋しさを感じていてね。

つまり何が言いたいかと言うと、パンツ見たいのにパンツ無いとか、それなんて糞ゲー?


あのシルクの滑らかな光沢に包まれていない殿部に価値はあるのか?いや、無い。

なんて事だ、私は今までとんだ勘違いを。ああ、哀しい。世界はなんて残酷なんだ。私は、貝になりたい。


貝になってヌーディストビーチにやってきた綺麗なチャンネーの水着として生まれ変わって眩しい太陽の下で真珠のような肌が健康的な小麦色になる瞬間まで付き添いたい。



そんで、蚕になって糸を吐いてるわけな。子供の健やかな成長を応援する少年誌のオトナの階段的作品に登場する主人公っぽいやつを目指してな。

替えのパンツに俺はなる!


成れませんでしたァ……。


あのぉ、自分、ひたすら糸吐き続けてるだけなんすけど、こいつの終着点は一体何処にあるんですかね?俺はこれからどうすれば健康的でデリケートな素肌を守る優しいヤツになれるんでしょうか?みなさん此処に糸を吐き出す便利そうなヤツが生息していますよ?何かに使えそうだとは思えませんか?



「へへ、本当にこの森の奥に猫娘ちゃんが居るんだな?」

「間違いねぇですぜ、旦那ァ。ブッカの野郎が確かに見たってすげえ鼻息荒くして話してましたァ」


あらぁ?何やらモンスターぽいのが森へ迷い込んで来ましたわぁ。しかもオスよ、野郎は帰って、どうぞ。



俺の糸は明日を切り裂く!

野郎どもは死んだ。俺の意図した通りに自分から糸に絡まりに行き、ハムみたいにキツく締め上げられて血が止まった的な。


なんて事もなく、誰にも気づかれぬまま糸を吐くこと暫く、謎の塊のまま疲れて死んだのでーす。




ええい!次じゃ。



こうなったら、自分で履くしかねぇな、靴下を。

スク水にニーソはなぜ似合う?

分からないがそこにパーカーを組み合わせることでさらなる進化を遂げると妾は信じておる。

故に糸を紡ぐのじゃ。地道を重ねたその先にある小宇宙を信じて……ッ!


「ロリ神様ダァ!」

「有難や、有難や!」


野郎は消えて、どうぞ。

しかしじゃ、妾はとんでもないミスに気がついたのじゃ。


あ、なんか虫って生理的にムリー☆彡


だってうじゃうじゃ湧いててなんかウネウネしてるやん?何で妾はこんな物産んでしまったん?

じゃあ野郎ども、よろしくどうぞ。

……ドウゾ。

あ、どうぞどうぞ。

どうどうどう……。




それで、化学繊維に逃げちゃったのじゃ。石油王を目指し始めたのな。

で、なんか温泉当てちゃった、みたいな?


そこで妾は掘るのに疲れたのでゆっくりと浸かることにしたのじゃ。

したら、ああなんかこれ良いなって。


湯煙の

朧にきゆる

後れ毛を

僅かに濡らす

艶な撫子


ああ、其れは正にチラリズム。

普段は隠れた奥ゆかしさの底に眠るもう一人の自分を惜しげも無くさらけ出してしまうある種の理想郷のような環境じゃった。まったく、けしからんな。惜しむべくは自分の後ろ姿が確認できず面白味もクソも無いのが残念なところじゃな。


ところで聡明な皆様なら元気なカエルと火にかけられた40℃ちょっとのまだ良い感じでぬるま湯を入れた鍋の話をされたら何となくお察しくださる事だと思うが果たして温泉とは何℃くらいを境に地獄へと名前を変えてしまうのじゃ?



気がつけば妾はグツグツ煮えたぎる湯の中で出汁をとりながら温泉卵状態で死亡する憂き目に遭っていたんじゃな。あ"〜〜。



お風呂、覗かずにはいられない。

と言うわけで先ずはその湯船を作りましょうって事で生まれ変わりましたオーくんです。力仕事なら任せてください。おまけに耐熱仕様の凄い奴です。口からビームも出せます。


怪獣映画の敵と勘違いされてみんなにボコられてお亡くなりになりました。



チキショー、その湯はオイラが掘ったのにぃ!


人類種達に存在を知られてしまった温泉ちゃんを守る為の壁として転生したオイラは、岩肌に触れるおにゃにょこ達の柔らかい感触を息荒くして満喫していた。

嘘だ。オイラのスベスベな岩肌では何も感じることが出来なかったぜ、チキショー!


せめてうなじを見せろ

スレンダーマン、出番だ!

野郎は消えろ?何故だ!


仕方ねぇ。今度は水となり、可愛いあの子を潤すオアシスとなるしかねぇなぁ。

野郎は飲まなくていいです。

よっしゃ、次行くぞー。



スライムじゃん。

Sneg?

さあ、野郎は溶ける温泉を始めよう。

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