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番外編 広がる世界 sideユーリ

割り込み投稿です。

何気にユーリ視点はお初な気がします。

書きにくくて、時間がかかってしまいました(-_-;)

 

「はっ初めまして、リュート・ウェルザックです」


初めて会った少年は目を瞬かせて、僕を見て驚いていた。

綺麗な子供だった。

きっと、今まで見たどんな人よりも。

まるで、教会に飾られている天使のようだった。


「魔眼持ちは数少ないから、同年代の友人としてユーリとは仲良くして欲しい」


父様はそう少年に頼んでいた。

柔らかい笑顔をたたえて。


……僕と同じ位の魔眼持ちに会うのは、この子で2人目。


ずっと前、魔眼持ちである1つ年上の王女様には行事で会った事がある。

最強と称される固有魔法を持つ少女。

けど、仲良くはならなかった。

王女様は僕を怖がっていたから。


たぶん、僕だけじゃなくて……全部を。


王女様は何もかもを怖がって、拒絶していた。

今は部屋からも滅多に出ないと、噂で聞いたことがある程だ。


「勿論です! 僕も同年代の友人は少ないので、仲良くしてくれると嬉しいです」


だから、そう言って手を差し出されたのは予想外だったけれど嬉しかった。

同年代の子は周りにいないし、大人は僕を特別扱いする。

初めての経験だった。


「……ん…」


握った手は小さかったのに、何故かとても力強く感じた。


そうしてリュートはユニに続いて、僕の2番目の友達になったのであった。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「…おとう、さま………これ……」


リュートを見送った後、先程一緒に作った魔導具を取り出してお父様に差し出す。


心臓がどきどきする……喜んでくれたら、いいな。


「これは魔導具……確か似たものを以前リュート君から貰っていたね……もしかして、これはユーリから私へのプレゼントかな?」


「んっ! ぼく、が…つくっ…た!」


リュートに魔導具を貰った時、とても驚いた。

そして、とても嬉しかった。

僕より年下なのに、リュートは凄い。

色々な事を知っているし、何でも出来る。

僕には魔導具なんて作れないし、作ろうと思った事もなかった。


キラキラのお星様。

夜のあお。

瞬きの光。


夜空があんなに綺麗だなんて知らなかった。

リュートの見る夜空は、こんなに綺麗なんだって驚いた。


……僕も……僕も、いつか見てみたいな。


殆どの時間を教会の中だけで過ごす僕は、外の世界を見たことがなかった。


「ありがとう、ユーリ。それにしても、驚いたな。もうこんな魔導具が作れるようになるなんて」


嬉しそうに、感心したように僕の頭を撫でて父様が言った。

僕も父様が喜んでくれて嬉しい。

撫でる手が気持ちよくて、頭をすりすりと掌に擦り付ける。


「りゅー、との…おかげ…、りゅーと…おしえる、の…じょうず」


リュートから貰った物には劣ってしまうけど、何とか形にはなったと思う。

ちゃんとリュートからのお墨付きを貰えた。

本当に自分で作れるなんて思っていなかった。

リュートは教えるのも上手だった。


「……そうか、凄いな」


「ん! りゅーと、すごい…っ!」


お父様の言葉に僕は勢いよく頷いた。

けれど、お父様の意図とは違ったみたいで、少し困ったように微笑まれた。


「勿論、彼もだが……ユーリ、君もだよ。ユーリの成長には驚かされるばかりだよ……あんなに小さかったのに、いつの間にかこんなに強くなったんだね……忙しくてちゃんと言えていなかったけれど、あの時私を助けてくれてありがとう、ユーリ。親として危ない事はして欲しくはないけれど、私はあの時リュート君とユーリ、2人に救われたんだよ」


「……ぼ、く?」


僕の頭を撫でながら優しく微笑むお父様に、首を傾げる。

僕は大した事なんて何もしてない。

皆を助けたのはリュートだ。

僕じゃ皆を、お父様を助けられなかった。


「あぁ、もしあの時、ユーリが私を助けようと前に飛び出さなかったら、私は此処に今居なかったかも知れないし、悪魔を倒す事も出来なかったかもしれない。ルーベンスの民達もそうだよ。ユーリが居たからこそ、助かった者もいる。だから私はリュート君とユーリ、2人に助けられたんだよ」


「ん……でも」


あの時、お父様が死んでしまうと思って、自然と体が動いた。

お父様(家族)が居なくなってしまうのが恐ろしかった。

でも──


「でも、…ぼく、1人、だったら…とびこめ…なかった、…りゅー、とがいっしょだったから……」


弱虫の僕でも頑張れたんだ。


「そうか……良い友達を得たね、ユーリ」


「んっ!」


お父様の言葉に笑顔で頷いた。


リュートは僕の大切な友達だ。

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