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13話 父様は愛妻家

遅れてすいませんm(__)m

 

治癒魔法の魔導具についてある程度話をまとめた後、父様に許可を貰うために屋敷へと戻った。

勿論、母様にお土産を用意して。

しかしその話に入る前に、只今絶賛お説教中である。

父様達に無断で出てきたので、仕方がないことではある。


「……レイアス、いくらお前が付いているとはいえ、いささか不用心だったのではないか? 護衛も連れず街に行くとは、何かあったらどうするつもりだ?」


「……申し訳ありません。確かに不用意な行動でした」


「ごめんなさい父様。どうしても街を見てみたかったんです……」


兄様に続き、俺も謝罪する。

今回の件は非は俺達にある。

不用心だとは分かっていたが、どうしても外を見てみたかったのだ。

後悔はしていない。

屋敷の狭い世界だけでは、触れる事の出来ない経験が出来た。


「ヴィンセント様、あまり怒らないであげて下さい。リュー君にはずっと家の中で過ごすよう、不自由を強いたのは私です。外に出てみたいと思うのは当然のことです。レイ君もそうです。そんなリュー君に王都の街を見せてあげたかったんだと思います」


そんな俺の心情に気付いたのか、母様が父様に取り成そうとしてくれた。

普段は天然だが、こうした瞬間に母親としての強さを感じる。


「……そうだな、私も配慮が足りなかった。この屋敷で過ごして二ヶ月近く経つのに、王宮以外の場所に連れ出さなかった。まだ6歳児の子供にそれを強要するのは、確かに酷だ」


母様の取り成しに、父様は溜め息をつくとしょうがないとばかりに苦笑いを浮かべた。


「母様……父様……本当に心配かけてしまってごめんなさい」


母様と父様にもう一度頭を下げた。

沢山心配をかけてしまっただろう。

本当に申し訳ない。


「……もうよい。カミラも心配していた、勿論私やセルバもな。次回からは事前に知らせてくれ。私達はお前を閉じ込めたいわけではない」


「そうだよ、リュー君。すっごく心配したんだからね!」


そこはちゃんと反省してねと、母様が俺の額をピンと指ではねた。


「はいっ!」


「僕も今後は気を付けます」


どうやら許して頂けたようだ。

次からは気を付けよう。


「でもどうせ行くなら、私も一緒に行きたかったなぁー。リュー君の王都デビュー、レイ君に取られちゃった」


「……カミラ、君まで一緒になって屋敷を出るようでは困る。せめて勝手に行くのは本当にやめてくれ」


ぷくっと頬を少し膨らませる母様に、父様は困ったように眉尻を下げた。


母様……その発言は母様らしいです。父様が本気で心配してしまってますよ。


「今度護衛も連れて一緒に、行きましょう母様」


「ふふっ、今度はヴィンセント様も一緒に4人で行きたいわねっ!」


「はいっ!」


はいと返事はしたものの、それは厳しいだろうと思った。

父様は宰相職を賜っている。


「……近い内に休みを取ろう。何処に行きたい?」


「まぁっ! 本当ですか!?」


父様が予想外な事を言い出した。

しかも、目が本気である。

母様の望みを叶える為か、薄々気付いていたが父様はとても愛妻家だ。


……本当に仕事休めるのかな?

王様に皺寄せがいきそうだ。

ドンマイ、王様。

母様も喜んでいるようだし、父様の分も仕事頑張って!


俺はこの場に居ない王様に、心の中で激励をいれた。


「義父上は本当にカミラさんの事を溺愛なさっているね」


そして、そんな父様に兄様も苦笑いである。


「何言ってるの?! レイ君も一緒に行くんだからね!!」


「……僕も、ですか?」


「当然だよっ! レイ君はリュー君のお兄ちゃんで、私の息子も同然なんだから!!」


「は、はい……」


兄様は自分が行くことを予想していなかったのか、母様の言葉に少し照れて返事をしていた。


おぉー、何時ものダークな面が鳴りを潜めて年相応だ。

兄様の中で母様や父様と血の繋がりが無いことを、気にしていたのかも知れない。

故に、自分の事を家族という枠から除外していた。

だから余計に兄様は、母様の言葉が嬉しいのだろう。


やぱり……兄様は前世の……俺に少し似ている。

本当の家族に恵まれないとことか特に。

だから兄様が母様の言葉にどれだけ喜んでいるのかが、俺には分かる。


「僕、また兄様に王都を案内して欲しいです!」


「リュー……うん、まだまだ見せたいところが沢山あるんだ!」


兄様は嬉しそうに笑った。

俺も本当の家族になれたようで嬉しい。


「あらそれは楽しそうね? 今日はレイ君と何処に行ってきたの、リュー君?」


「はい、今日は――――」


俺は嬉々として今日の出来事を話し始めた。

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