01話 そして、再びの春
修正が終わらないので、とりあえず先に1度更新を。
割り込みだと、更新扱いにはならないので(-_-;)
5章までの修正結果は、活動報告にあげてます。
10話位、割り込みしてますので是非見てみて下さいm(_ _)m
特に5章番外編はゲームでユーリアの騎士であったジュナンが絡んできます。(ほぼほぼ本編みたいなもの)
時が過ぎ、再びの春。
俺達は小等部2年生へと進級した。
「おはよう、リュート君。今日からいよいよ私達も2年生だね!」
「えぇ、今日からエド様やユーリもこの学園に通います。昼を一緒にしようとお誘いがありました」
これで、3年生にオズ様と兄様、2年生にはアシュレイと隣国の皇子達を除いた、この国の攻略対象者が一同に揃う事になる。
「それは楽しそう、だけど……周りの注目をとても浴びそうだね」
「注目なら既に集めてますよ」
少し不安そうな顔をするユリアに、そう声をかけた。
平和な日々に穏やかな日常。
変わった事と言えば──
「……これが、学園、というものなのですね」
俺達の傍には、長い黒い髪に二房だけ白い髪が混じった少女。
1年前には居なかった少女。
「アテナちゃんは学園に来るのは初めてだもんね。リュート君に付いて、王宮では何度か会った事はあったけれど」
「はい、こんなに大勢の子供が1ヶ所に集まるのですね」
”アテナ“と呼ばれた少女は、星降る夜に俺達の前に突然現れた。
何処から来たのかも分からない。
まるで星共に降ってきたかのように、空から現れた正体不明の少女。
彼女は何一つ覚えていなかった、自らの名前すらも。
"アテナ“というのは、母様が付けた名前だ。
星と共に月から落ちる様が、まるで気紛れに地上へ降り立った女神のようだと、女神アテナリアからあやかって付けられた。
「君は僕の侍女としての入学だから、父様に頼んで2年生への編入にして貰ったよ。何か分からない事があったら、頼って下さい。勿論、僕だけでなくリオナさん達も」
彼女は母様からの強い要望で、家で保護する事になった。
学園に通うのも、良い経験になるからという母様の願い。
シュトロベルンからの手先かとも父様は疑っていたが、そう言った形跡はない。
この少女が居たという形跡すらも。
黒い肌に黒い髪、二房だけ白い髪というのもよく目立つ筈なのに。
同学年への編入は、彼女を監視する意味もある。
「ええ、勿論です。私とアテナさんは女性同士ですし、困った事があったらいつでも言って下さい」
「はい。……それにしても、魔導具というのもは面白いですね。肌の色、全然分からないです」
俺の言葉にリオナとスールが頷く。
3人の仲は悪くない。
魔導具というのは、彼女の首にさげられたネックレスだ。
効果は俺の眼鏡と少し似ている。
彼女の場合は、目立つ肌の色を誤魔化す効果がある。
母様が言うように、悪い人間には見えない…………でも、兄様の反応も気になるし油断は出来ない。
兄様はこの正体不明の少女を保護する事にひどく反対した。
こうして、学園に通う事になった今でも。
「はい、ありがとう、ございます」
そう言って微笑む様子に嘘は見えない。
少なくともこれまでの間、彼女に不審な行動は見られなかった。
大人しい普通の少女だ。
眼鏡を通して彼女を見ても、おかしな所はない。
それでも────
『リュー、決してアレを信用してはいけない。常に行動には気を配るんだ』
母様の説得に父様は渋々ながらも受け入れたが、兄様は決して受け入れる事はなかった。
今でも屋敷で兄様と彼女が気安く話しているのを見た事がない。
……兄様も父様や俺と同様に、母様には甘いのに。
兄様は俺に忠告をした。
それが今でも頭から離れない。
──アレは災いを呼ぶモノだ、と。
束の間の黄金時間です。