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乙女ゲームに転生したようだが、俺には関係ないはずだよね?  作者: 皐月乃 彩月
第2章 俺と攻略対象者と、時々悪役令嬢
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07話 茶会への乱入者

 

俺達は次々ケーキを焼き上げていく。

俺の当初の予想とは違い、兄様が足手まといになるという事はなかった。

最初は不馴れな作業に戸惑うことも多かったが、すぐにコツをつかんでいった。


「初めてやったけど、中々興味深いね」


兄様は出来上がったケーキ達を眺め言う。

かなりご機嫌みたいだ。

ケーキは前々から作ろうと思っていたアップルパイとチョコバナナタルトに、紅茶のシフォンケーキだ。

どれも美味しそうに出来上がった。

これなら母様がいくら食べても量は足りるだろう。


「せっかくだし、カミラさんも呼んで庭で食べようか?」


「いいですね、そうしましょう!」


「それじゃセルバ。準備を頼むよ」


「かしこまりました」


「じゃあ行こうか、リュー」


準備をセルバに任せ、兄様に手を引かれ庭に向かっていった。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 





庭に出ると椅子やテーブルがもう準備され、メイドによって母様が連れられて来るところだッた。


仕事早いな、セルバさんは出来る執事だ。


「レイ君も一緒に作ったんだって? 楽しみだな♪」


「はい。でも僕はあまり上手く出来なくて……リューはまだ6歳なのにすごかったです」


「いえ、そんなことありません。兄様は初めてなのにすぐ出来るようになってました。とっても器用です」


兄様は謙遜したが、初めてであそこまで出来るようになったら上出来だ。

俺と違って本当に9歳児なのだし、俺と比べちゃダメだと思う。


「リュー君は私の天使だからね~ぇ」


「はい僕の天使はすごいです」


あれ?

今度は母様との間に火花が。

最近この火花をよく見る気がする。


「ケーキに合わせて紅茶もどうぞ」


セルバさんがそんなピリピリした空気を裂くように、紅茶を給仕してくれた。

やっぱりセルバさん出来る執事だ!


「せっかくですし冷めない内に飲みましょう!」


「はぁーい! いただきまーす!!」


俺達は食べ始めた。


「おぉー!! 流石リュー君っ! おいしぃ~♪」


「本当だ……すごい美味しい!」


ケーキは中々いい出来で美味しかった。

母様や兄様も喜んでくれたようでよかった。


「母様落ち着いて食べてください、まだ沢山ありますから」


「はーい!」


最初どうなることかとヒヤヒヤしたが、お茶会は穏やかな時間が流れた。


……途中また母様と兄様で俺の取り合いか起こったが。

何だか微妙な気分だ。






「それでリュー君ったら照れちゃってねぇ」


「そうなんですか、可愛いですね」


そして今は意気投合して俺の幼い頃の話で盛り上がっている。

さっきまでの火花は何だったのか。


母様が初恋の人じゃなかったのかよ。

それでいいのか、兄様よ。


「ん? リュー口元が汚れているよ?」


ハンカチで俺の口元をぬぐった。

流石公爵家と言うべきか、肌触りが今まで使ってたものより桁違いにいい。


「ありがとうございます」


子供の口は小さいので、よく口の端につきやすい。


「ふふっ、今日会ったばかりなのに本当の兄弟みたいね」


俺達のそんな様子を見ていた母様がニコニコしながら言った。


確かに最初の印象はあれだったが、大分打ち解けた気が……する。

まぁちょっと……時々あれな人だけど、面倒見はいいしね。

下に妹がいるからなのか、お兄ちゃんって感じするし。


「はい運命ですので!」


そんな風に思っていると兄様がまた残念な発言をする。


でもまあ仲良く出来そうで良かった。

一緒の敷地内に暮らす以上、関わりを完全に絶つことは出来ない。

正直、あの女は腹黒で鬼畜だとか言っていたので、不安しかなかった。

それに、悪役令嬢の兄だし。

だが、相手は9歳、気にしすぎだったかもしれない。

悪役令嬢も確か7歳の筈だし、まだ問題ないだろう。


そう俺が思ったのがいけなかったのか、フラグだったのか。


「お兄様っ!! こんなところで何してますのっ!?」


穏やかな空気を切り裂く、甲高い声がお茶会に響いた。


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