27話 イベント発生
前に間違って上げちゃったものの、再更新です。
内容は大きく変わってませんが、ちょいと足してる感じです。
宜しくお願い致しますm(_ _)m
「わっ!? とっ、とっ!」
着地にぐらつきそうになるユリアを腕で支えながら、俺は周囲に目を向ける。
転移陣により移動した俺達は、兄様達とは離れ別空間へと飛ばされていた。
白い壁に白い床、何だか薄気味が悪い。
「おぉー、これはボス戦の展開かなー」
ユリアは辺りを見回すと、のほほんと頬を緩めた。
「ユーリア……お前、自分の取った行動がどういうことか分かってるのか?」
我ながら、平坦な声色だったと思う。
けれど、ユリアは別に怖がる事なく、笑みを浮かべたままだった。
「うーんと、さっきまで、ハッキリと思い出したわけじゃなかったんだけど……というか今も思い出した訳じゃないんだけどね。リュート君、これはイベントなんだよ。ゲームにある」
隠し部屋に入るまでは、漠然と調べた方がいいくらいにしか思わなかったんだけどねーと、ユリアはあっけらかんと答えた。
「は? イベント?」
今度は俺が困惑する番だ。
ユリアはいつでもどこでも、唐突過ぎる。
「そうそう、このイベントで手に入るアイテムが超重要……だった筈!」
「筈かよ……」
俺はため息をついた。
「……と言うか、お前ヒロインになりたかったの?」
違う筈だ。
何せ、俺に攻略を進めてくるくらいだから。
なのに、何故ゲームのアイテムなんかを欲しがるのか?
「こんな勝手な行動をして……もう、俺達じゃ庇いきれないぞ。行動が制限されてもよかったのか?」
ユリアは俺が傍にいて守りを固めているからこそ、ある程度自由に行動する事が出来るようになったのだ。
本来なら、この実習もユリアは不参加の予定だった。
「……よくはないけど。絶対、必要なの。分かんないけど、必要なんだよ……必要なの」
ユリアは少し戸惑いを見せながらも、俺にそう訴えた。
ユリア自身も理解している訳ではないのだろう。
それでも、本能が手に入れるべきだと訴えかけるのだろう。
「それは、ヒロインに任せる訳にはいかないのか? 今、手にする事で、俺達が後々有利になるってこと?」
俺は呆れたように、問いかける。
そんなに重要なものなら、俺が後で1人で取りに来たのに。
余程焦っていたのか、考えなしで突っ走るのはいい加減止めて欲しいものだ。
「……今すぐ、必要な訳じゃない気がするんだけど……誰かに渡すわけにはいかない気がするの」
「はぁー……もう、起きてしまった事はしょうがない。後で説教だ。王様達がぶちギレても、俺は今回フォローしないからな」
必要じゃないのかよ、と心の中でツッコミながらも一先ずこの話は後回しにした。
別れた兄様達の事も心配だ。
早く合流した方がいいだろう。
「うん……ありがとう」
「そうだ、さっきみたいに俺より前に出るなよ。お前の闘い方って、危なっかしいんだよ」
俺は出口を探しながら、ユリアに釘をさした。
これ以上、手間をかけられる訳にはいかない。
「うん……」
ユリアも自分の非を多少は理解したのか、しゅんとしながら頷いた。
いつも五月蝿いやつが静かだと、違和感しか感じないな……寧ろ、ちょっと気持ち悪い………。
まぁ、いつもこれくらい素直だと、俺もやりやすいんだけれど。
俺達は奥へと進んだのであった。




