17話 お見合いのセッティング
更新遅れました(ToT)
「昼食?」
「えぇ、是非お願いします────婚約者殿も、是非ご一緒に」
腐王女と何やかんやで友達を確保する約束をした俺は、次の日早速行動に移した。
即ち、アシュレイ経由でロゼアンナ・ディールを昼食会へ招き、腐王女と自然に引き合わせる事にしたのだ。
食事を共にすると、距離が縮まるとも言うしね。
本当……何で俺がこんなお見合いを、セッティングするような真似を………。
「……ロゼアンナを? 何故だ?」
アシュレイは俺が婚約者も一緒にと言うと、当然訝しんで理由を聞いてきた。
「実はここだけの話……ユーリア王女殿下の話相手になって下さる方を探していまして。その点、ロゼアンナ・ディール嬢なら身分も人柄も安心かと思ったんです」
あの腐王女は俺を頼りにしていたが、本来俺が面識のほぼない令嬢を食事やお茶会に誘うのは無理がある。
直接コンタクトを取った訳ではないにしろ、アシュレイの疑問は当然だ。
というか、俺が直接そうしていたら十中八九悪い噂がたつし、ロゼアンナ・ディールもアシュレイの事がなければ以前のような真似はしなかっただろう。
向こうに断られるのは目に見えている。
腐王女がコンタクトをとるのが、本来1番確実で自然なんだけどな……。
本当に、面倒だ……手紙を書けって言っても嫌がるし……2人きりは無理とか言うし……。
前世でのオープンに腐を撒き散らす度胸があれば、そんなこと全然問題ないと思うんだけどね。
むしろ、一般的には腐な趣味を公言する方が、抵抗がある事だろう。
そんなわけで、腐王女は全く役に立たなかった。
故に俺はアシュレイにも、協力を仰ぐ事にしたのだ。
「そうか……王女殿下が……それは、断るわけにはいかないな」
「何分、人見知りなもので……お手数をおかけします」
アシュレイの了承に、俺は苦笑いを浮かべながらも感謝を述べる。
腐王女の名前を出すと強制になってしまうが、正直に理由を話すのがこの場合は1番だろう。
「分かった。俺からロゼアンナに伝えておこう。日程は明日でいいか?」
「えぇ、助かります」
俺は頷いた。
これで腐王女も満足するだろう。
先程から、背後に期待の眼差しをガンガン感じてるんだよな。
本当、自分で誘えよ……。
「そう言えば……あに、……レイアス・ウェルザックも居るのか?」
それじゃあ、と席に戻ろうとした俺に、アシュレイがボソボソと問い掛けた。
そんなアシュレイの様子に、俺は思わず吹き出しそうになる。
「えぇ、兄様やオズワルド王子殿下も同席する予定です」
腐王女と同意見なのは不本意だけど、アシュレイって本当に――
「そう、か……別に興味はなかったけどな……明日、ロゼアンナと同席させて貰うと、王女殿下に伝えてくれ」
アシュレイは一瞬笑みを浮かべると、すぐに表情を消して自分の席へと戻っていった。
「うーん、本当に…………ツンデレだ」
最初の印象はアレだったけど、案外扱いやすいよなアシュレイ……。
隠せていないアシュレイの表情の変化に、思わずクスリと笑みが溢れる。
「リュート君リュート君っ! どうだった!? アシュレイ様、OK? OKって?」
アシュレイが去った途端、先程まで様子を窺っていた腐王女が鼻息荒く結果を聞いてきた。
「……一応、了承は得ましたけど」
「本当!? やったー! 念願の女友達!! えへ、えへへっ!」
「……まだ、昼食に誘っただけなんですけど?」
もう友人が出来た気でいる腐王女の満面の表情を見ると、イラっとした。
当日のフォロー……したくなくったな。
ここまで御膳立てはしてやったんだ、少しは自分で努力した方がいいだろう。
「そこはリュート君のお力で!!」
しかしそんな俺の気持ちとは裏腹に、グッと親指を立てていい顔で笑う腐王女。
最後まで他力本願で、いくつもりのようだ。
……コイツ、本当に殴りたい!
俺はロゼアンナ・ディールには、是非とも腐王女の面倒を見てもらいたいと思っている。
けれど、腐王女の他力本願っぷりを見ていると、失敗すればいいのにと密かに思ってしまったのであった。
前々から話していた、るーと・あーるの連載始めました!
ダークでもOKな方は、是非覗いてみてくださいm(__)m




