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12話 サインは慎重に

ちょっと、間が空いてしまいました(ToT)

ブクマ&評価ありがとうございますm(__)m

明日も更新します。

後半、視点変わります。


悪夢からここ数日、俺の機嫌は非常に悪かった。

最悪と言ってもいい。


「ねぇ、ねぇ、リュート君」


その上、謝罪と再戦を申し入れようとしたアシュレイも、ここ数日会えていない。

どうやら、父親である将軍の元で、軍の演習に参加しているらしい。

とことんアシュレイとは、巡り合わせが悪いようだ。


「うぅ、私が悪かったってば……無視しないでよぅ」


だが、不幸中の幸いでリオナの進行は止められそうな事だけはよかった。

やり方が汚いとは思ったが、兄様の名前を出せばある程度正気に戻せた。

やはり、あの時味わった恐怖を、リオナもまだ忘れていないようだ。


有り難う、兄様。

もしこれで駄目だったら……考えるだけでも恐ろしいな。

腐の蔓延か……ブリザードか……どちらにしても地獄絵図と化しそうだ。


「そろそろ、許してよぉー」


「五月蝿いですよ、ユーリア王女殿下」


ぐいっと腕にヘバリついてきたので、冷たい声で引き剥がした。


「だって……もう、5日だよ? そろそろ、機嫌を直してくれたって」


「ぁあん?」


俺は腐王女の全く反省を見せない態度に、思わず不良顔負けのメンチを切った。


「す。すいません! 私が悪いです! 何でもするので、許してください!!」


そんな俺に腐王女はビビって涙目になった。


「それは当たり前です」


どっからどう考えても、腐王女が100%悪い。

泣いたからって、俺が絆されると思うなよ?


「……でも、そうですね。僕も職務上不便ですし、許して差し上げても構いませんよ? ──ここに、サインして下されば」


俺はニコリと愛想笑いを浮かべながら、空間魔法である書類を取り出した。


「っ! 本当っ!? 書く書くー!!」


腐王女は俺から書類を渡されると、特に内容を確認することなく書類に直筆でサインをした。


俺は腐王女の単純さに、内心ほくそ笑んだ────









◆◆◆◆◆◆◆◆









「ふぇっ!!?」


リュート君から渡された書類にサインした瞬間、私の手の甲に魔法陣らしきものが一瞬浮かんだ。


「うん、ちゃんと発動したみたいだな。徹夜した甲斐があった」


リュート君はその光景を見て、満足そうに微笑む。

嫌な笑みだ。


「え? え? リュート君? これ何?」


や、ヤバい。

嫌な予感が!


私は背中からダラダラと汗を流しながら、リュートに尋ねた。


「くっクククっ! これからは、サインは内容をよく確認してからした方がいいですよ?」


「え!?」


私はすぐにサインしてしまった書類に目を通した。


「えーぇと、同性愛に関する布教活動を……全面的に禁止? ……破った場合は……直ちに電気ショック!? リュート君、私を殺す気!?」


私はあんまりな内容に、思わず叫んでしまった。


「死にませんよ。ただ……気絶する程度です。体調の事も考えて、痛みもなく意識を刈り取れるように設定しました」


「何その無駄な気遣い! そう思うなら止めてよ!! スペックの無駄遣いだよ!」


しまった……もっとよく確認すべきだった。


けれど後悔しても、もう遅い。

魔法は、既に発動してしまった。


「今回の事で、僕は反省したんです……僕の今までの対応は、大変甘かったと……ですから、僕の監視がなくても、蔓延しないようなシステムを構築しました。……勿論、認めたくはないですが、個人で楽しむ分には書けますよ? 僕も鬼じゃありませんから」


リュート君は全く笑ってない目で、血も涙もないことを告げてきた。


いや、十分鬼だよ?

血も涙もないよ!?

ぅうー、私の腐レンドが……

……いや? でも書けるなら、ついうっかりその辺に置き忘れて、それを誰かが読んだだけなら……


「因みに、腐関連の物は全てこの魔導具に収納してもらいます。勿論破れば……ね? ……ついうっかりとか、ねぇからな?」


しかし私の浅はかな策略など読まれていたようで、先に潰されてしまっていた。

最後のドスの聞いた声での警告が、怖過ぎる。

ひ弱な私には最早打つ手はなかった。


「最初は古代で使われていた奴隷化魔法を使って、行動そのものを制限しようと思ったんです。……でも、残念ながら腐王女殿下も高い魔力を持つ上に、光属性への強い適性があるので、無理矢理破られてしまう可能性が高かったんですよね……なので、意識を刈り取って、強制的に腐教活動を停止させる方法へと応用してシフトチェンジしました……奴隷化魔法よりもマシでしょう?」


「そ、そうですね」


よ、よかったぁ、魔力高くてよかったぁ。

怖い、発想が怖すぎるよ((((;゜Д゜))))


大量の汗を背中から流しながら、最悪の未来を何とか回避していた事に安堵した。


それにしても、いきなり奴隷化魔法までブッ飛ぶなんて……。


リュート君は本気で怒らせてはいけない部類の人だ。


もう……腐教は諦めよう。

一瞬、何とか裏をかいてとか考えたけれど、これは駄目だ。

その次のリュート君の行動を考えただけで……お、恐ろしい。


私はこの日、王家の血と高い魔力で生んでくれた両親に生まれて初めて感謝したのであった。





次回は遂に再戦です。

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