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乙女ゲームに転生したようだが、俺には関係ないはずだよね?  作者: 皐月乃 彩月
第2章 俺と攻略対象者と、時々悪役令嬢
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03話 義兄は腹黒鬼畜攻略キャラ?

やっと乙女ゲームっぽくなってきたかな?

 

俺達は馬車に10日ほど揺られ王都に到着した。

10日も密室で一緒に過ごせば打ち解けるもので、大分距離が縮まりはしたと思う。

どんな甲斐性なしかと思ったら流石攻略対象者。

母様を連れ戻した時に守れるよう、年若く宰相にまで登り詰めたチート野郎だった。

母様以外との間に子供もいないようだし、誠実さもある。

父親として認めてもいい……かも、と思い始めた。


この世界はチートが多いから、母様達も俺の異常性があんま目につかないのか?

ゲームのキャラなんて基本、チート壊れ性能ってのがテンプレだもんな。



何て事を考えているうちに、馬車が止まった。

どうやら、屋敷に着いたようだ。

父様が先に降り、次に母様が降りようとすると駆けてくる足音が聞こえた。


「義父上っ! カミラさんが見つかったって本当ですか!?」


窓から様子を伺うと、艶やかな黒髪にアイスブルーの瞳の美少年がいた。

急いで走ってきたのか、頬を少し上気させている。


この子供って、やっぱり例の……


「落ち着けレイアス。カミラは無事だ、共に馬車に乗ってきたのだから」


やっぱりだっ!?

やっぱりこの子供が、攻略対象者レイアス・ウェルザックかっ!!

確かレイアスは……常に完璧な微笑みを浮かべているか腹の中真っ黒の鬼畜眼鏡キャラ。

ゲームでも1、2を争う人気キャラ……とか言ってたはず。

……まだ眼鏡じゃないみたいだけど。


「本当ですか義父上っ!!」


うわー、まだ純粋そう。

こっからお腹真っ黒になるのか……怖いな。


俺が遠い目でふざけた思考にひたっていると、母様が馬車から降りるところだった。


「レイ君、お久し振りね。元気だった?」


「はいっ!カミラさんが無事で良かった!」


レイアス少年は母様を見て嬉しそうに頬を染めた。


あー、設定だと初恋の人が母様だったんだっけ?

母親と妹が悪役でその影響で心優しい母様やヒロインに惹かれるんだよなー。

まぁ、母様を好きになるのは見る目あるな。


「ほら、リュー君も出ておいで。お兄さんになる人だよ」


母様が俺を手招きした。


「……え? お兄さんって?」


「私これでも一児の母親になったのよっ!」


母様がそう言うと、レイアスは嬉しそうな顔から一転、表情が抜け落ちた。


「子供? ……そうなんですか……」


レイアスは何を考えているのか分からない顔で、母様を見ていた。

きっと本当の家族に恵まれなかった分、母様になついていたんだろう。

俺にとられたみたいで、ショックを受けているのかもしれない。


「そう、世界一可愛いんだから! ヴィンセント様もそう思いましたよね?」


そんなレイアスに気付かず今日も母様の親バカは絶好調だ。


「あぁ、そうだな」


父様も真顔で頷く。

否定されるのも複雑だが、真顔で肯定されるのは滅茶苦茶恥ずかしい。


「……っ、そう、なんです、か」


あっ、何だか本当に泣きそう。

俺は急いで馬車から飛び出た。


「ぼっ僕、リュートって言います! 初めまして兄様っ!!」


俺はレイアスもとい、兄様に満面の笑みで挨拶をした。


「あっ、その」


兄様の涙は引っ込み、今度は顔が真っ赤に染まる。

良かった、涙止まった。

子供が泣くのを見るのは好きじゃない。


「うぅ、」


「れっレイ君っ!? 鼻血がっ!」


と、思っていたら、兄様は盛大に鼻血を流し始めた。


あれ?





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