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10話 腐れ王女の腐った妄想

 

「…………はぁー、私今大事な何かを失っちゃった気がするよ」


王女は酷く疲れた顔で溜め息を溢した。

先程までの元気は何処にいったのやら。


「気のせいですよ」


俺はニコリと笑った。


だって、互いにメリットがあるクリーンな取り引きだもん。

皆幸せだもの。


「……そうだ。さっきは聞かなかったけど、リュート君って、あのウェルザックなの? てことは、ヴインセント様の子供で、レイアス様の義弟?」


王女はそれ以上何か言うのを諦め、話題を変えてきた。

ゲームを知っている者からすると気になる所なのだろう。


「はい。ついでに不本意ながら、悪役令嬢リリス・ウェルザックの義弟でもあります」


「マジでっ!? リリスが姉って……うわぁー」


俺が更に情報を付け足してやると、王女がガチで憐れみの目を向けてきた。

リリスの事は覚えているようだ。

前世散々煮え湯を飲まされたので、その性格の悪さは覚えているらしい。


「安心してください。ユーリア王女殿下も今日から此方側ですから。一応、スペックの高い美少女(笑)設定なんですから、きっとお会いすればすぐに妬まれることでしょう」


今までは他に擦り付ける奴がいなかったが、これからは存分に盾になって貰うとしよう。


……勿論約束通り、命に関わるようなのは俺がちゃんと助けるよ?


「いやーぁっっ!! これ以上変なフラグ立てたくないよっ!! それに(笑)は余計だよ!」


王女は絶叫しながらも、俺にそう文句を言ってきた。

元気が戻ってきたようだ。


「失礼しました。美少女(腐)でしたね」


自分で言ったのだが、(腐)だと腐女子って言うよりは、何かゾンビみたいな響きだ。


「…………うぅ、私王女なのに」


シクシクと王女は泣き真似をしながらも、俺を恨ましげな眼で見やる。


「言われたくなければ、殿下も此方の世界では自重なさってくださいね? 王女が腐ってるなんて、とてもじゃないけど笑えませんから」


前世の発言を此方でもやったら、国の恥でしかない。

結婚相手も、まともなのはまず近寄ってこない。

自分の将来を真面目に考えるのであれば避けるべきだ。


「外に出れるのはいいけど……憂鬱だなぁ。攻略対象者には、ヤンデレもいるのに」


「……ヤンデレって、ユーリの事ですよね? それなら大丈夫ですよ。一応、そのフラグはボキッと折ってますから」


「え? どういうこと?」


俺は安心させる為に、これまでの事を話した。








◆□◆□説明中□◆□◆









「お、うぉおー!!?! キタコレ! キタ━(゜∀゜)━!(゜∀゜ 三 ゜∀゜)」


そして、俺の話を聞き終えた王女は唐突に叫びだした。


「煩いですよ! 外に聞こえます!」


俺は叫ぶ王女を慌てて止めた。


「これが叫ばずにいられるか! だって、リュート君それ攻略しちゃってない?? ヒロインのポジ完全に喰ってるでしょ!?」


俺の制止をものともせず、王女の興奮は止まらない。


「いや、ヤンデレフラグ折っただけだし、ポジションまでは喰ってないし!! 友情だからっ!」


仲はいいが、あくまで友人の範囲内だ。

セーフだ、セーフ!!


しかし、俺の動揺とは関係なしに、王女の話はここでは終わらなかった。


「ふふフフ腐腐腐腐っ!! まさか、悪役令嬢の乙ゲー転生ものだと思ってたけど、BL小説によくある“お、俺がいつの間にかヒロインのポジに!?”なパターンだったとはっ!! 」


「…………………」


「腐腐腐っ! ありがとう神様!! これは私に、是非間近で生BLを観察しろって言う神様からの啓示ね! ぐ腐腐腐っ!! 最高だわ! 美少年の総────ぎゃっ!!? い、いひゃい゛っ!!」


「…………………………」


腐王女がまた腐ったあり得ない妄想(・・)を垂れ流しにしていたので、聞くに堪えなくて止めた。


──アイアンクロー(実力行使)で。


「王女殿下……引き篭もり過ぎて頭おかしくなったんですか? あぁ、前世からでしたね。…………でも悪役令嬢転生ものですか……とても良い案ですね。殿下がお望みなら、再現して差し上げましょうか?」


俺は今自分で自覚出来る程のドス黒いオーラを纏って、腐王女に捲し立てて言った。


王女相手に、不敬だなんて知るか。

絶対、絞める。


「いっしゅ、しゅみません!! いひゃひゃぃ゛はじゅしてください!!」


メリメリと食い込む俺の指に、王女が悲鳴を上げる。


……暫く、このままでもいいかな?

……うん、許されると思うんだ。


すぐに俺の指から力が抜ける事はなかったのであった。

次回、仁義なき戦い(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] 一応腐も嗜んでいた身として一言。 「好きだからこそ、周囲への配慮を怠ってはいけない」 そう言う意味では彼女は完全なマナー違反。コミケや同人の敵ですな。 ぶっちゃけかつてこの辺の配慮がなかった…
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