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君のまといし衣の糸は
君のまといし衣の糸が
ふいに舞い戻ることがある
おかえりと呟けば
衣の糸は軽やかに
ふわりふわりと空を舞う
君に触れたやわらかが
現よりも鮮やかで
穏やかな陽射しさえも鋭くて
君のいた陽だまりに
降りしきる矢のごとく突き刺さる
君のまといし衣の糸は
時折
君が知るはずもなきところで
ふいに現れたりもして
守るすべなく
景色はゆらゆらと水の中
君のまといし衣の糸は
ふいに舞い戻ることがある
あな愛しと呟けば
衣の糸は軽やかに
ふわりふわりと空を舞う
ふわりふわりと消えてゆく