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会いたくて
会えないときも寄り添う気配
人いきれに紛れる声は幻
風に紛れ頬にかかる息も幻
会いたくて
会いたくて
幻化に酔う
影踏むばかり近寄れば
面影に見えてふと消え失せぬ
会う期あると知ればこそ
消え入るさまも惜しみなく
見送ることもできたのに
今は会うこと叶わぬならば
せめて消えぬ影を覚ほゆ
会いたくて
会いたくて
会えなくて
幻さえも至り至らぬ
心許なく
あいな頼みと知りつつも
会いたくて
会いたくて
露のあわれを差し置きて
会いたくて
会いたくて
想いは雲の彼方へと――