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微睡みの底に
そこには君がいた
かつてと変わらぬ君がいた
目覚めれば君と見つめ合い
眠りに落ちるまで君と寄り添う
あの頃の世界は
君で満ちていたのに
浮上していく意識をごまかしながら
わたしはどうにかして
そこに留まろうとする
かすかな足音をたて駆け寄る君
わたしを呼ぶ声
名残惜しそうに見つめる瞳
君の思いが錨となって
意識の底に繋ぎ止めてくれたらいいのに
それでも時が来れば
微睡みの海は遠ざかってゆく
君にも
わたしにも
抗うすべはなく
ただ
釣り上げられていく
君のもとに
わたしの欠片を残したままに