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File:2

それにしても遅いなぁ、と思ってから約3分後。あいつは現れた。

空色の髪の毛を弾ませながら、駆け寄ってくる。


「いやー。遅れてごめんっ。」


自分の非を認め、素直に謝れるところはこいつの長所といえよう。

逆に言えばオレはまったくもって素直じゃないのであった。


「……いつものことだろ」


ぶっちゃけた話、これはオレ流の照れ隠しであった。


エリィは、客観的に見れば

恐らく『綺麗』の部類に属するだろう


実際オレも幾度となく「今のは反則だろ」と、顔には出さないが心の底で叫び、のたうち回ったことがある。


そんな、彼女に話しかけられて普通でいられる方が異常だと思う。





しかし、いざ戦いになるとこれががらりと変わるする。


エリィは『女の子』から『凶戦死』へと変貌するのだ!


いや、オレもひとのこと言える立場じゃないんだけどな。


つまるところ、オレもエリィもギリギリの戦闘が大好きな戦闘狂なのだ。


素直で、社交的で、綺麗。

こんなにも完璧なやつがこの世に存在するものだろうか。


答えは、否だ。


今の彼女は仮の姿、というやつである。

幻視魔法に、[使用者の姿を任意のモノに変える]という戦闘に役立たないお遊び魔法がある

エリィはそれを常に発動させているのだ。


そもそも、魔法を発動するにはそれなりの集中力が必要とされる。

効果の大きいモノほど要求される集中力が高くなったりするが、それはおいおい、話すとしよう。

ここで、重要なのは発動させ『続け』ているという事実だ。

集中し続ける。

簡単に聞こえるが、案外そうでもない。


命の奪い合いをしている最中に「今日の晩飯何にしようかな」と考えているくらい危ないことを平然とやってのけているのである。


さすがは、『凶戦士』といったところか。


では、性格の方はどうなっているかといえば、エリィ曰く「姿が変われば性格も変わる」そうだ。


さらに暴露すると、本来の彼女は

コミュ障。良く言えば寡黙、悪く言えば、無口。


ーーーーーーーーそして、かわいい。


どちらかというと、オレは元の姿のエリィの方が好きだ。


一度でもその事をこいつに伝えたことがあったか、そう自問する。


頑張って記憶の海を探って見たが、こいつのほほえましい行動がいくつか思い浮かんだものの、言った記憶がない。

まぁ、いつか、そのうち言えばいいだろう。



昔は(胡散くさ……)と思ってなるべく遠ざけていた気もするが、今となっては、むしろ、こいつが隣にいなかった時のオレを理解できん。


まぁ、こいつ以外に背中を預けられる奴なんていないだろうな。






やがて、時は進み、なんて言うと数年が一瞬で過ぎ去ったように聞こえるがそんなことは一切なく

単にイベント開始まで1分を切ったというだけのことである。



「あれれ?バンくんご機嫌だねぇ。なんかいいことあったの?」

「…………何も」

とだけ答えておく。

それもそうだろう。


なぜなら、このダンジョンボスのドロップアイテムにエリィの欲しがっていた、『夢の指輪』があるのだ。


オレはエリィの誕生日プレゼントに

それを贈ろうと思っている。


ちなみに、誕生日は明日。


………べ、別に忘れてたってわけじゃないぞ!





こいつ、これでいて勘があり得ないくらい鋭い。どうせなら驚かせたいので手に入れても黙っていよう。







騒がしくなってきたこの部屋の中で

大袈裟に決意して、ひっそりと次の行動に移った。


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