表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

迷子のどら焼き ~ボクはチビ?猫のミーコと、お母さんのひみつのおやつ~

掲載日:2026/04/01

今日のおやつは、どら焼きです。

お母さんがお店で3つ買ってきてくれました。


でも、あらあらあら?

1つだけ、どう見ても少し小さいのです。


お兄ちゃんが言いました。

「オレはお兄ちゃんだから大きいのを食べる。おまえはチビだから小さいのを食べろ」


弟が文句を言います。

「ずるい!お兄ちゃんが大きいのを食べるなら、ボクだって大きいのを食べる!」


兄弟ゲンカがはじまりました。

お母さんは、台所でお茶の支度をしているので、気づいていません。


兄弟のケンカを聞いていたのは、3つのどら焼きたち。


「おまえが小さいからケンカになったぞ」

「やぁい、チビ、チビ」


小さいどら焼きは、なんだか悲しくなって、コロコロコロとお皿の上から飛び出しました。


コロコロ、コロコロ。


小さいどら焼きは、転がり続けました。

テレビのリモコンの横を通り、雑誌の上を乗り越え、お母さんの編みかけの編み物の脇を抜けて。

転がって、転がって、この家の飼い猫のミーコの鼻先へコロンと転がりました。


「なによ、あんた」

「ボク・・ボク・・どら焼き」

「こんなところで何してるの?」

「小さいから食べたくないって言われた・・」


小さいどら焼きは、シクシクと泣きはじめました。


「ちょっと泣かないでよ。ふうん。小さいから食べたくない、ねぇ?」

ミーコは、ピンと伸びたヒゲをひっぱって、首をかしげました。

「私から見れば、十分大きいと思うけど?」


小さいどら焼きは、ちょっぴり涙をひっこめました。

「ボク、小さくない?」


ミーコは、「ニャァ」とあくびをして言いました。

「小さくはないわね。人間はぜいたくだわ」


小さいどら焼きはすっかり泣き止んで、うれしくなって聞きました。

「じゃあ、猫さん、ボクを食べる?」


ミーコは、「ニャァァ」と伸びをしました。

長い尻尾がふるふるふると揺れました。

そして、ツンとした鼻で、小さいどら焼きの匂いをクンクンとかぎました。

「あら、いいにおい」


ミーコが、「ニャァ」と大きな口を開けかけた、その時です。


「あらあら、ダメよ、ミーコ。テーブルから降りなさい!めっ!」

お茶を乗せたお盆を手にお母さんが台所から戻ってきて、ミーコを叱りました。


ミーコは、何も言わずにぷいっとテーブルから飛び降りて、どこかへ行ってしまいました。


「さぁ、おやつにしましょう。あら、どら焼きが1つお皿から転げ落ちちゃってるわ」


お母さんは小さいどら焼きをテーブルの上から拾いあげました。

そして、そのままパクリ。

少し塩気があって、とてもおいしいです。

お母さんはほっぺに手をあてて、ニコニコしました。


お母さんはダイエット中なので、ちょっと小さいぐらいのどら焼きが、ちょうど良いのです。


「明日から、また甘いものはおあずけね」


お母さんは、ペロリと舌を出しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ