第5章 牧場の微生物
「牛って、胃が4つあるんだよ」
大翔が言った。
「第一胃、ルーメン。ここで微生物が働いて、草を分解する」
「つまり、牛の中に“発酵工場”があるってこと?」
陽翔が目を輝かせる。
「そう。しかも、メタンガスも出る。地球温暖化の原因のひとつ」
「牛、すごいな…いろんな意味で」
牧場は、練馬区にあるとは思えないほどのどかだった。
牛の鳴き声、干し草の匂い、土の感触。
結菜は、柵の外から牛を見つめていた。
「この子たち、微生物と共生してるんだね」
「人間もそうだよ。腸内細菌、100兆個以上」
大翔が言う。
「つまり、俺たちも“微生物の惑星”」
「それ、ちょっとSFっぽい」
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写真:牛の横顔+干し草
「牛の胃の中には、微生物の世界がある。発酵と分解の、静かな営み」
コメント:
・「牛って、科学的にすごいんだ…」
・「#微生物の惑星 #科学部の牧場」
・「癒されるけど、ちょっと考えさせられる」
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「メタンって、CO₂の25倍の温室効果があるんだよ」
陽翔が言う。
「牛1頭で、1日約300リットルのメタンを出す」
「それ、ペットボトル600本分?」
「そう。でも、微生物がいなかったら、草は消化できない」
「つまり、環境と生命のバランスか」
湊斗がつぶやく。
「微生物って、目に見えないけど、世界を動かしてるよね」
結菜が言う。
「発酵食品も、腸内環境も、土壌も」
「俺、微生物に感謝する日を作りたい」
陽翔が叫ぶ。
「“菌感謝祭”!」
「それ、文化祭でやる?」
「やろう!納豆とヨーグルト配る!」
「それ、ただの試食会」
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動画:陽翔が“菌感謝祭”を提案する様子
「微生物に感謝を。科学部、菌と共に文化祭へ!」
コメント:
・「菌感謝祭、ちょっと行きたい」
・「#菌と暮らす #科学部の挑戦」
・「納豆配るの草」
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「牛って、草しか食べないのに、あんなに大きくなるんだよね」
結菜が言う。
「それ、微生物のおかげ。セルロースを分解して、栄養に変える」
「つまり、草→微生物→牛→人間ってこと?」
「そう。命のリレー」
湊斗が言う。
「でも、途中でメタンが出る。だから、科学で工夫が必要」
「最近、メタンを減らす飼料が開発されてるんだよ」
大翔が言う。
「海藻を混ぜると、メタン生成が抑えられるらしい」
「それ、牛が磯の香りになる?」
陽翔が笑う。
「いや、たぶんならない」
「でも、科学で環境を守るって、かっこいいよね」
結菜が言う。
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写真:牛の飼料+大翔の解説
「海藻でメタンを減らす。科学は、環境と命の橋になる」
コメント:
・「牛と海藻、意外な組み合わせ」
・「#環境科学 #科学部の橋」
・「大翔の解説、わかりやすい!」
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「科学って、見えないものを見ようとする力だよね」
湊斗が言う。
「微生物も、熱も、光も。全部、目には見えないけど、確かにある」
「それを、記録するのが科学部」
結菜が言う。
「そして、伝えるのが私たちの役目」
「文化祭、楽しみだな」
陽翔が笑う。
「俺、菌の着ぐるみ着る!」
「それ、誰得?」
こうして、科学部の“牧場の微生物”は、命の裏側に記録された。
次は、文化祭とエピローグ。
4人の記録が、ひとつの物語になる。




