第3章 熱の行方
「清掃工場って、ゴミを燃やすだけじゃないんだぜ」
陽翔が言った。
「廃熱を使って、温水プールを温めてる。つまり、ゴミが風呂になる」
「それ、言い方が雑すぎ」
結菜が笑う。
「でも、エネルギーの再利用ってことだよね」
「そう!都市の熱循環!俺たちの汗も、科学になる!」
科学部の4人は、自転車で清掃工場の外周をぐるりと回っていた。
大翔は、施設の構造図をスマホで見ながらつぶやく。
「焼却炉の温度は約900℃。その熱で水を温めて、プールに送ってる」
「つまり、ゴミ→熱→水→人間ってこと?」
「そう。エネルギーのリレー」
「俺、バトン受け取って泳ぐわ」
陽翔がポーズを決める。
「それ、ただの水泳部」
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SNS投稿:@nerima_science_club
動画:清掃工場の外観+陽翔の“エネルギーリレー”解説
「ゴミが熱になり、熱が水になり、水がプールになる。都市のエネルギーリレー」
コメント:
・「なんかすごいけど、陽翔のテンションが気になる」
・「#清掃工場 #科学部の熱量」
・「エネルギーって、身近なんだな」
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「温水プール、入ってみたいな」
結菜が言った。
「でも、今日は見学だけか」
「水温は約30℃。快適温度。熱源は、さっきの廃熱」
大翔が言う。
「熱伝導率の高い銅管で、効率よく熱を移してる」
「それ、俺の心にも使えないかな」
陽翔が言う。
「誰かの熱意を、俺に伝える装置」
「それ、ただの恋愛相談」
湊斗は、プールの水面をじっと見ていた。
「水って、熱を蓄えるんだよね。比熱が高いから」
「つまり、温まりにくくて冷めにくい」
「そう。だから、都市の“熱の貯金箱”になる」
「それ、いい表現」
結菜が微笑む。
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SNS投稿:@nerima_science_club
写真:温水プールの水面+湊斗のコメント
「水は、都市の熱の貯金箱。静かに、でも確かに、エネルギーを抱えている」
コメント:
・「湊斗の言葉、刺さる」
・「#熱の貯金箱 #科学部の詩」
・「プール行きたくなった」
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「ゴミって、ただの不要物じゃないんだよ」
大翔が言う。
「紙1枚でも、燃やせば熱になる。つまり、情報がエネルギーになる」
「それ、俺の通知も燃やしてくれ」
陽翔がスマホを掲げる。
「未読100件。全部、部活のグループLINE」
「それは…燃やしていいかも」
「都市って、熱の迷路だよね」
湊斗がつぶやく。
「人が動いて、機械が動いて、熱が生まれて、どこかに流れていく」
「それを、科学で追いかける」
結菜が言う。
「私たち、都市の探偵みたい」
「“熱の行方”を追う科学部」
陽翔がポーズを決める。
「それ、タイトルにしようぜ!」
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動画:4人が清掃工場前で“熱の行方”を語る
「都市の熱は、どこへ行く?科学部、エネルギーの迷路を探る」
コメント:
・「このシリーズ、地味に面白い」
・「#熱の行方 #科学部の探偵」
・「次はどこ行くの?」
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「次は、撮影所だね」
結菜が言った。
「虚構と現実の境界を、科学で探る」
「特撮の裏側、俺、めっちゃ興味ある!」
陽翔が叫ぶ。
「俺も!爆発の物理とか!」
「それ、また炎上しそう」
「でも、科学でバズりたい!」
「その承認欲求、熱すぎ」
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こうして、科学部の“熱の行方”は、都市の中に記録された。
次の目的地は、撮影所。
虚構と真実の境界が、彼らを待っている。




