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賞味期限1年の恋  作者: AM
第2章 揺れる前期神戸修学旅行
20/22

沙月編:5話 幼馴染!?

凪音くんが倒れて2日目…

つまり、修学旅行が終わって次の日の土曜日、私はリビングで紅茶を飲みながら、ママに修学旅行の話をしていた。

「沙月、修学旅行はどうだった?」

「……うん、よかったよ…」

「あら?表情が暗いわね。何かあったの?」

「うん……ちょっとね……」

「何があったか話してくれる?」

「それが…うちのね班メンバーの子が倒れたの。」

「それは大変!原因は何かわかったの?」

「多分、熱中症だと思う。」

「そう…」

「それでね、私、ママに教わった方法で冷却処置をしたの。でも…意識が戻らなかった…」

「とりあえず冷却処置はできたんだね。沙月、頑張ったわね。」

「うん…だけど…私…」

「それで、その子はまだ意識が回復してないの?」

「うん…多分…」

「そう…」

「私、あの子の異変に気づいていたのに…声をかけてあげられなかった…。わたし…私は、凪音くんを…助けることができなかった…」

私は泣きながら言った。

「でも、沙月が冷却処置をしなかったら、もっと酷い結果になってたかもよ?」

「でも…でも…」

「沙月、自分の行動に自信を持ちなさい。」

「うん…」

「それと、凪音くんって言ったわよね?」

「うん…」

「沙月、あなた、覚えてないの?」

「何が…?」

「だから、凪音くんのこと。」

「……?」

私は、ママの言っていることが理解できなかった。

「沙月、凪音くんは、あなたの幼馴染よ。」

!!!!!!

どういうこと…?凪音くんが、私の幼馴染?

「幼馴染…?」

「そう、幼馴染。あなたは覚えてないかもしれないけど…」

「ちょっと待って、詳しく聞かせて欲しいかも。」

「そう。幼稚園の最後の年に引っ越したのは覚える?」

「うん。」

「引っ越す前に通っていた幼稚園で、よく、あなたたちは一緒に遊んでいたのよ。」

「え…?」

「懐かしいわね。凪音くん。あなた、大きくなったら凪音くんと結婚するんだ〜とか言ってたじゃない?」

っ…!

その約束……思い出したかも。


「僕、大きくなったら、さっちゃんと結婚するんだ!」

「うん!約束だよ!」


あ…

「思い出した。」

「そう。ならよかった。」

だから、私は凪音くんのことを知りたかったんだ。

初めて会ったはずなのに、知りたかった。

その理由は…

過去に会ってたからだ。

「今から凪音くんのお母さんに電話するわ。」

ママが言った。

「うん。」


「もしもし。凪音くんのお母さんですか?…」


ママが電話をしている間、私は凪音くんとの過去の記憶を思い起こしていた。

一緒に遊んだこと

一緒に喧嘩したこと

そして、約束したこと

凪音くんは覚えていないかもしれない。それでもいい。

私は、また、凪音くんと仲良くしたい。

「沙月、凪音くん、意識を取り戻したって。明後日、退院らしいよ。」

「良かった…本当に…」


私は大粒の涙で泣いた。


「ねえ、ママ?私、凪音くん迎えに行ってもいい?」

「もちろん。凪音くんのお母さんに聞いてみるわね。」

「ありがとう。」


2日後、私はもう一度、神戸に向かった。

玄関から凪音くんが出てきた。

おどかしてみよう。

私は凪音くんの後ろから声をかけた。


「凪音くん♪」


「うわ!って、三森さん!?なんで…」

凪音くんはすごく驚いていた。幼馴染だってことを聞いたら、どうなるんだろう?

「えへへ、凪音くんの、パパとママと一緒に来ちゃった!」

あとは凪音くんのお母さんが説明してくれた。

案の定、凪音くんは、開いた口が塞がらないような表情をしていた。

「三森さんは、僕が幼馴染って覚えてたの?」

凪音くんが聞いてきた。

「ううん、この間、ママから言われるまでは、気づかなかった。」

あ!そうだ!凪音くんをからかってみよ!

「てか、凪音くん。昔みたいに、さっちゃんって呼んでよ〜」

でも…本当にそう呼んで欲しいかも…

「さっ…!?」

あれ?凪音くん、本当に、昔、私と幼馴染だったこと忘れてる?まあ、私も覚えてなかったし…

「てか、あんた。沙月ちゃんにお礼言いなさいよ。」

凪音くんのお母さんが言った。

「あ、三森さん。その、色々と助けてくれてありがとう。」

「ふふ、どういたしまして!それと、三森さんって呼ばなくていいよ。」

私は、「三森さん」と呼ばれると距離感があるようで嫌だった。

「え?」

「学校の時は沙月さん、2人でいる時は、さっちゃんって呼んでくれると嬉しいかな!」

あ…私、今勢いでとんでもないことを、言ってしまった気がする。あ、恥ずかしい…

「わ、わかった。さ、さっちゃん…」

私は今、どんな顔をしているのだろうか…?

わからない。

けど、嬉しい。

「さ!凪音くん!帰ろっか!クラスに!」

私は照れを隠すように言った。

「あ、あぁ!」

凪音くん…元気になって良かった!

私はこれから、凪音くんと仲良くできるのだろうか?

いや。これは疑問じゃないな。

私は、凪音くんと仲良くする!

凪音くんも、そう思ってくれると信じている。

私は、もう一度、中学最後の学校生活が始まった気がした。

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