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賞味期限1年の恋  作者: AM
第2章 揺れる前期神戸修学旅行
17/22

沙月編:4話 救いたい

バスから見える、青い海と街。

私は今、修学旅行で神戸にいる。

凪音くんとはあの後、少し喋れるようになった。

今、私たちは南京町で食べ歩きをしていた。

うーん、ちょっと食べすぎちゃったな。でも手元には肉まんがあるし…

あ!そうだ!凪音くんと半分こしよ!そうしたら、もっと仲良くなれるかも。

「ねえねえ、凪音くん!これ、私、こんなに食べられないから半分こしよ!」

「いいよ。」

凪音くんと肉まんを半分こした。

これで凪音くんも少しは、私と仲良くしてくれるかな?

あれ…?凪音くん、ちょっと様子がおかしいかも。ま、気のせいか。

それから私たちは、ポートタワーに向かうために、タクシー乗り場でタクシーを待っていた。

凪音くんは私の横にいた。


ドタッ…


え………


凪音くん?…


「凪音!しっかりしろ!凪音!」

伊崎くんが必死に凪音くんを揺さぶってる。


落ち着け…

ママに教わったことを今、やるしかない。


「伊崎くん!凪音くんを揺さぶらないで!」

「え…でも…」

「とりあえず、伊崎くんは、ガラケーで大山先生に連絡して。」

「あ、あぁ…」

伊崎くんが大山先生に電話をかけた。

「もしもし!?大山先生か?」

「伊崎か。どうした?なんかあったのか?」

「凪音が…凪音が倒れた!」

「なんだって!?今、どこにいる?」

「南京町のタクシー乗り場!」

「なんてこった!今、別の生徒の付き添いで、動物園にいる!今すぐ、そっちに向かう!タクシーに乗るが、見たところ道が大渋滞してて30分はかかるぞ!」

「くそ!」

「とりあえず、近くの大人に助けてもらえ!」

「わかった!」


伊崎くんが大山先生に電話をしている間、私は凪音くんの脈を測った。


脈が早い。


汗も大量に出ている。


熱は?


これは……


「朝倉さん、すぐに近くにいる先生か大人の人呼んで!琴葉ちゃんは、どっかでホース借りてきて!早く!」

「わかった!」

2人は急いで行った。

「三森さん!大山、こっちに着くの30分くらいかかるってよ!」

「とりあえず、朝倉さんと琴葉ちゃんに頼んで、大人の人とホースを借りてきてもらうように言ったよ。伊崎くん、近くのドラッグストアで氷と経口補水液、買ってきて!」

「わかった!」

伊崎くんは走って向かって行った。さすが陸上部、足が速い。

こんなことを思っている場合じゃない!

あと、私にできることは…

あ、凪音くんを日陰に移動させなきゃ。

ごめんね。凪音くん。ちょっと荒っぽい手で…

私は凪音くんを引きずって日陰にいれた。

「大丈夫ですか!?」

朝倉さんが学年主任の先生を連れてきた。

「沙月ちゃん!ホース持ってきたよ!」

「琴葉ちゃん!そこにトイレあるじゃん?そこの水道にホース繋いで!先生!救急車呼んでください!」

「救急車?なにもそこまでじゃ…」

「今すぐ呼んでください!!!!」

「は、はい!」

先生に救急車を要請してもらった時、ちょうど伊崎くんが氷と経口補水液を持ってきた。

「三森さん!買ってきたよ!」

「ありがとう!氷ちょうだい!」

私は伊崎くんから氷を受け取り、自分が持っていたハンカチに包んで、凪音くんの首筋においた。

「凪音くん!経口補水液飲める?」

だめだ…完全に意識がない!とりあえず、水で体を冷やそう!私は琴葉ちゃんからホースを受け取り、足から順にゆっくり水をかけた。10分くらいで救急車が来た。私の中の体感時間は1時間だった。

「大丈夫ですか!?急患の方はこちらですね?どなたか付き添い、お願いします!」

「私が行きます!」

学年主任の先生が救急車に乗った。

そうして、凪音くんは病院に運ばれた。

そのあと、私たちは大山先生と合流をした。一連の事情を大山先生に話した。

大山先生によると、後のことは先生たちでどうにかするとのことだった。私たちは、とりあえず残りの修学旅行を楽しむことにした。

ただ、私は凪音くんが心配でそこまで楽しめなかった。おそらく、伊崎くんとかもそうだろう……


もっと早くに凪音くんの異変に気づいていれば、ここまでにはならなかったのかもしれない。何度も修学旅行中に後悔をした。


もうあれも、2日前の出来事か…

凪音くんは、あれから意識が戻っていない。

早く元気な凪音くんの顔が見たい。

そう思った。

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