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君の”神推し“になりたくて  作者: 茉莉鵶
第一章.三年前
18/18

018.二次元オタクな双子兄弟と双子姉妹・後編


五月十四日、夜───

〜夢薫目線〜


 「いやぁ…。夢那さん…まあは本当バカでさ?ゴムも用意してないのに、興奮しちゃって勢いでいけるかと思ったみたいけど、やっぱりそんなハジメテはダメだって気づいて…余興のつもりで近づけただけだってさ?その時、夢那さんにもの凄く抵抗されて突き飛ばされて、靴も履かず出てっちゃって、暫く放心状態だったって。まあは兄貴だけど、僕から叱っといたからさ…?」


 双子ってどこまでシンクロしてるのって、この時のウチは驚きを隠せなかった。

 先程まで公園の入り口辺りで、暫く悠斗達は話し込んでいたが、こんな事を話していたとは。

 しかも、兄の雅幸さんではなく、弟の悠斗が夢那に向かって、言い分を代弁しているところから見て、かなり落ち込んで居るのだろう。


 「あの時、雅幸は凄く…怖い顔してたから…。私のこと、ハジメテだけ奪うような…遊び目的だったのかなって…。でも、違ったのなら…良かった。」


 確かに、悠斗はオタク風だからいいけれど、双子の兄の雅幸さんは見るから不良風だから、ウチから見ても不安になる。

 中身も悠斗と同じなら良いけれど、ウチと夢那でも少しは個性があるので、絶対に同じではないので、余計に不安になるのは分かる。


 「夢那、ごめんなさい。だから…今から、コンビニ寄って…続きしないか?」


 ああ、そうだ!!


 「悠斗、うちらもコンビニ!!」


 「その前にさ…?僕たち…このまま、進んでもいいのか?特に…夢那さんと僕だが…。」


 確かに…。

 ウチと夢那の双子姉妹。

 雅幸さんと悠斗の双子兄弟。

 双子姉妹は悠斗が【好き】。

 双子兄妹は夢那が【好き】。


 気持ちに決着がつかないまま…今夜、ハジメテ捧げ合っても、モヤモヤしたままだ。


 「そうね!!じゃあ…?夢那の双子の姉として、そちらの双子兄弟へ提案するわ!!一度、恋人関係はお互い解消して、友達以上恋人未満は継続。その間、体を重ねるのは一切無し。それ以外はご自由に。それから…今、連絡先を四人で交換。恋人じゃないから、連絡取り合うのも自由だし、会うのも自由。泊まるのも自由。それでどうかしら?」


 意外にも、満場一致だった。

 それからスマホの番号を交換し合い、インスカも友コードを送り合って、友人登録した。


 お互いの家に荷物を置いてきているので、とりあえず今日は雅幸さんと夢那のペア、悠斗とウチのペアのまま泊まりは継続することに。

 明日は、自由行動ということでペアは解消する流れになっている。


 「コンビニで、ゴム…買えなくなっちゃったね?」


 「僕…本気で、夢薫とするつもりでいたんだからな?」


 「じゃあ…さぁ?お互い…味見しよっか?体を重ねることだけダメにしたのは…そういう事だからね?ダメ…?」


 「いいよ。」


 断られるかと思っていたけれど、案外…悠斗は寛容だった。

 明日には、夢那がウチと同じこと…悠斗にするかも知れないから…負けたくなかった。



三十分後───

〜夢那目線〜


 お姉ちゃんの提案で、雅幸との恋人関係は解消した。

 その瞬間、完全にお姉ちゃんは、私にとっての恋敵になった。

 もう、笠森くんの件に関しては、双子の姉だろうと容赦はしない。


 明日になったら、速攻で悠斗くんにアプローチをかけていく。

 悠斗くんだって…私からの連絡を、待ってる筈だから。


 でも…雅幸のお母様は、私のママと親友だ。

 色々と今の環境で生きてく為には、雅幸とも仲良くはしておきたい。

 でも、写真の嘘の件のせいで、凄くモヤモヤしている。

 何故…あの時の悠斗に、雅幸は成り代わろうとしたのだろうかと…。


 ──ガチャッ…

 ──ギィィィィッ…


 先程まで、ゴムを買うはずだったコンビニで、お姉ちゃん達と買い物をしていたのが、お姉ちゃんに私達は奢って貰ってしまった。

 流石、笠森くんを巡る恋敵であっても、お姉ちゃんはお姉ちゃんだった。

 そして、ようやく雅幸の部屋の前まで私達は戻ってきたのだ。


 「今日は…全部、俺が悪かった…。夢那…本当にゴメン…!!」


 玄関のドアを開けた雅幸は、突然私に謝ってきた。


 「もう…雅幸、謝らないで?甘い覚悟でいた私も…悪かったと思うし…ね?あの…ね?聞きたいことがあるんだけど…良いかな?」


 「うん…。何…かな?」


 「なんで…雅幸は、あの頃の笠森くんに、成り代わろうとしたのかな?」


 どうせ…もう、彼氏ではないから。

 モヤモヤしていること、聞いてしまおうと思った。


 「夢那に…俺の方、振り向いて欲しくて。弟じゃなくて、俺を…。」


 「私…雅幸のこと、ちゃんと…見てなかったのかな?」


 「ああ。いつも夢那は…俺の先の方、見てたからな…。それで…あの写真見た時の夢那の反応見て…確信したんだ。夢那は、俺に悠斗を重ねて見てるって…。」


 私は、最悪だ…。

 彼氏と雅幸を認めた筈だったのに…。

 知らぬ間に笠森くんを重ねて見ていたのか…。


 「最低だね…私。雅幸のこと…そこまで追い詰めてしまってたんだよね…。」


 「そう言って…今だって、弟のこと考えてるだろ?」


 確かに…図星だった。

 でも、もう雅幸は…私の彼氏では無いのだから、笠森くんの事を考えていても良いはずだ。

 そんな事考えながら居室へと進むと、夕方に複合商業施設へと二人でデートした時、雅幸に買って貰った、下着メーカーのショップバッグが私の目に飛び込んできた。


 「うぅぅぅっ…。」


 確かに、あの時…二人の間には誰も邪魔する事の出来ない、愛が存在したのだ。

 そう思ったら、何故だか…胸が急に苦しくなって、目から涙が溢れ出てきて、ポタポタと零れ落ち始めた。

 どうしたんだろう…私。

 こんな気持ちになるのは、生まれて初めてだった。


 「うぅっ…。涙が止まらない…。胸がキュゥって…苦しい…。うぅぅぅっ…。」


 ──ギュッ…


 突然、無言で後ろから誰かが私に抱きついてきた。

 この部屋で、私の他に居るのは…雅幸だけだと知っているのに…。

 認めたくなかった…。

 本当に…私は、漫画とかアニメとかで良く見かける…ズルい女だと思う…。


 「俺…。夢那の事…今でも、大【好き】だ…。だから…。夢那の事…大【好き】なままで居たいから…。俺から…サヨウナラ…するぜ。本当に…僅かな時間だったけど…幸せだった…。ありがとう。」


 ──スッ…


 急に…今まで背後にあった、雅幸の温かい感触が無くなった…。

 すると…先程よりも増して、胸がギュウッと締め付けられる感覚と共に、涙がとめどなく溢れ出てきている。


 「さてと…。これで、俺と夢那は終わった訳だが、今夜はどうする?家、帰るなら友達として送ってくぞ?」


 「い、嫌だ…よっ。」


 自分でも何を言っているのか分からなかった。

 頭の中では笠森くんのこと考えているのに…心の中は違っているみたいだった。



三十分後───

〜夢薫目線〜


 「あ、明日…どうしようか?」


 「明日起きたら…さっきの続き、またしない?」


 先程、ウチが悠斗に提案したことを…コンビニから帰ってきてすぐ、有言実行していた。

 紀江さんから得た知識で、ウチの方は問題無かった。

 悠斗の方は、多少手こずっていたが…何とか及第点まではいけた気がする。

 でも、恋人同士でもないのに…そんなことしても良かったのかなとは思ったが、済んだことは仕方ない。


 「ちょっと…夢薫の負担のこと考えると、僕ばっかり良い思いして、不公平かなって思っちゃってさ?」


 絶対、悠斗は良い旦那さんになると思う。

 気配りが出来すぎて…。

 だから、夢那の方から告白してくるの、悠斗はずっと待ってたのかな…とか思った。

 でも、悠斗の件に関しては、夢那は恋敵だから、妹だからって容赦なくいくからね?


 「ううん?全然、不公平じゃないから!!じゃあ、明日起きたら続きしようねー?」

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