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君の”神推し“になりたくて  作者: 茉莉鵶
第一章.三年前
15/18

015.初キス相手の二人はハジメテしたい・後編 〜夢那〜


五月十四日、夕方────


 「で、夢那。金あんのか?俺が…買ってやろうか?」


 「ううん、大丈夫。ママが離婚した翌日、私の姉がね?インスカのコーリーチップス機能でポイントくれたから…。」


 何故かあの後、雅幸が今日家に泊まっていくように、私に迫ってきたのだ。

 仕方ないので、私の着替えを揃えるため、二人は少し路線バスに乗り、地元の複合商業施設まできていた。


 「いや。下着代くらい…俺に払わせてくれ。俺が…汚したり壊すかもしれないし…さ?」


 絶対…そういうこと、私とするつもりなんだ。

 でも、雅幸だったら良いかな…。

 お互い…さっきの話の興奮冷めやらぬうちに、出てきてしまっているのだ。


 「なら…。雅幸に買って貰おうかな…。じゃあ…私と一緒に雅幸も選んでくれる?」


 「マジかよ…。まぁ…良いけどな?恋人同士だしな…俺達。」


 ──ムギュッ…


 そういうこと雅幸が言うから、私もついつい調子に乗ってしまい、腕に胸を押し付けるように抱きついた。

 ジッと雅幸の方を見上げているが、耳まで赤くしていて、目線を合わせてくれない。


 ──ゴーン…ゴーン…ゴーン…ゴーン…


 十七時を知らせる鐘の音が館内に響いた。

 使用人の方とは、買い物中によく聞いていたけれど、彼氏と一緒に聞くのは初めての経験だった。


 「なんか…チャペルに居るみたいだよね?」


 「そ、そうだな…。いつかチャペルで…ホンモノ一緒に聞こうな?」


 催促したみたいになってしまったが、雅幸が私の方を見て言ってくれたので、凄く嬉しくてたまらなかった。


 ──ギュウウウウッ…


 「うんっ…。雅幸っ…!!大【好き】だよっ…!!」


 「俺は夢那と初キスしたあの日から…ずっと大【好き】だから安心しろ。」


 私だってって言おうとしたが、笠森くん違いを今日までしていたので、流石に言うのはやめておいた。



三十分後───


 あの後は、私が行きつけだった女性下着メーカー直営のテナントへ、二人で立ち寄った。

 事情など知らない馴染みの店員さんは、普段通り高級ラインの下着を薦めてきた。

 話題を変えようと雅幸のことを紹介すると、風貌を見て何か思うところがあったのか、では多少でも耐久性があった方が…と、大人っぽい通常ラインを勧めてくれた。

 まぁ、きっと…そういう事だろう。

 そこでは、宣言通り…雅幸が財布を出して買ってくれた。


 それから、商業施設内を少しだけまわって制服デートを楽しんだ。

 そして帰り際、私服を探しに…ロゴが一切ないシンプルデザインな衣類からインテリア、食品等の自社製品のみ取り揃えるブランドのフロアへと寄った。

 すると、私に着せたい服を雅幸が選び始め、試着室ではファッションショーみたいで、楽しかった。

 結局、上下で数着選び私達はレジの列へと並んだの。

 数分後、ようやくレジの番が来て、店員さんが商品をスキャンし始めた。

 また雅幸が財布を取り出そうとしたが、みるみるレジの金額が上がっていき、雅幸はそっと財布をしまった。

 さっき、私の下着を買ってくれたのだから、仕方ない。

 だから、私は夢薫ちゃんから貰ったポイントを、買う金額分だけコード決済に使えるポイントに交換して、支払ったのだ。

 本当に夢薫ちゃんには感謝しなければ。


 ──ガチャッ…

 ──ギィィッ…


 「ただいま!!母さん、ちょっと遅くなっちまった!!」


 実はもう…私達は、雅幸のアパートの部屋の前に居て、まさに今…玄関のドアを開けたところだった。


 「もーっ!!夢那ちゃんとゆーっくり話せると思って、急いで帰ってきたのにー!!」


 玄関を入ると、綺麗な女性がキッチンで料理をしていて、少し怒った表情で雅幸の方を見ている。


 「わぁ!?ほんっと、夢美の若い頃にそっくりー!!本当にあの夢美の娘さんなのねー!!」


 何で…雅幸のお母様が、私のママのことを知ってるの?

 急に、ママの名前が…私と初対面の女性の口から出てきて、びっくりしてしまった。


 「急にビックリしたよな?夢那、ゴメンな?実は…俺、母さんに夢那と、夢美さんのこと話したんだよ…昨日。」

 

 「私も雅幸から聞いてビックリしたわよ?だって…息子の彼女が、私の親友の杉崎夢美の娘さんなんだものー!!」


 また…ママの親友、登場みたいだ。

 しかも、彼氏のお母様が…ママの親友だなんて。


 「ああああっ!!」


 それであることを私は思い出した。

 すっかり…雅幸との制服デートで浮かれていた。


 「どうした!?」


 「ま、ママに…今日は雅幸の家で夕飯ご馳走になるって…連絡するの忘れてたのぉ!!」


 「フッフッフッフッ…!!夢那ちゃん?今から、夢美に電話してもらっても良いかしら?」


 「はいっ!!」


 ──タン…タンタン…タン…

 ──ヴヴヴヴッ…ヴヴヴヴッ…


 慌ててスマホを通学バッグから取り出すと、ママへと電話を掛けた。


 「どうぞ…!!」


 「夢那ちゃん、ありがとー!!」


 発信状態にして、雅幸のお母様へとスマホを手渡すと、丁度いいタイミングで通話状態に画面が変わった。


 ──「もしもーし?夢那?帰り、遅いけど…大丈夫?」


 悪戯っぽい顔をした雅幸のお母様が、スピーカーモードへと通話を切り替えた。


 「うーん…。ごめーん、ママぁ!!彼氏とぉー?ハメ外しちゃってまーす!!」

 ──「えっ?!夢那…ふざけてないで…って?!えっ!?」

 「はぁーい!!海野(うんの)茉由華(まゆか)十五歳でぇーす!!」

 ──「やっぱり!!マユなの?!でも、何で…?」

 「はーいっ!!夢美に問題でーすっ!!大ヒント問題だからねー?夢那ちゃんの彼氏のー苗字は何?」

 ──「雅幸くんでしょ?う…海野。ええええっ!?そう言うことなの?!嘘でしょ!?」

 「正解っ!!てなわけでー?ユミのー可愛い娘はー?今日はーあたしの息子が預かるからねー?」

 ──「マユ!!ちょっ…とまだ、電話切らないでて?待ってて!!」


 ママはそう言うと、部屋を出ていくような音が聞こえた。


 ──ドンドンドンドン!!

 ──ガチャッ…


 どこかの部屋のドアを叩く音と、ドアが開く音が聞こえてきた。

 この時点で、ママがどこへと向かったのか、私は理解した。

 電話の向こうでは、ママが小さな声で何か言っている。


 ──「マーユっ?」

 「えっ…!?サキ?!」

 ──「当たり!!今さー?ユミ親子の面倒、私が見てるといっても過言じゃないわけよ?」

 ──「もー良いからさー?マユも早くこっち来なよー?住んでる場所の位置情報、リンクで送るからさー?」

 「うん!!いくいくー!!早く送ってー?」


 この会話の内容から、ママ、幸さん、茉由華さんが中学時代の親友同士という事が理解できた。

 電話を切ると、茉由華さんは先程途中になっていた料理の続きを、黙々とし始めた。


 そして、夕飯の支度を終えた茉由華さんは、私達に夕食は食べられる量で、無理しないでいいからと伝えると、ママ達のいるアパートへと向かうため、慌てて部屋から出掛けて行ってしまった。



一時間後───


 騒がしかった部屋には、夕食を終えた…雅幸と私の二人きりになった。


 「それじゃあ…夢那?ハジメテしても…良いか?」


 「うん…っ。雅幸なら…良いよ?」


 ──ドサッ…


 「きゃっ?!いっ…いきなり…!?」


 「これでも…な?今日…一緒に買い物してる時から…。ずっと…夢那とシたいの、我慢してたんだぜ?」


 ──ジジジジィィィィッ…


 「それで…。夢那がさ…?思い描くハジメテは…どんな感じ…なんだ?」


 ──グイッ…


 「い、いきなり…されるの…い、嫌だよ…っ。」


 「そうか?俺は…いきなりが…っ!!良いんだけどな!!」


 「ダメダメダメダメダメダメダメダメ…。」


 「夢那…?大丈夫だから…さ?俺と…ハジメテしようぜ…っ!!」

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