誰が真実9
こんにちは。誰が真実9話目です。
それぞれの思惑?がまじりあっていく9話目です。
誰が真実なのか、それは何なのか、何を目的としているのか。
どうかお楽しみください。
先生「家は道なりに進めばよかったかしら」
いずは「はい、案内します」
先生「わかったわ」
いずは「…」
先生「…」
いずは「初めてですか」
先生「そうね」
先生との会話を終える、いずはは手の中にあったスマホの画面へと視線を落とし、車は自宅へと走り続けた。
先生「…」
いずは「…」
先生「ここまっすぐかしら」
いずは「まっすぐです、ナビします」
助かるわ、と先生といずはは沈黙とエアコンの音だけを連れいずはの自宅へと向かった。
先生「…」
いずは「…」
いずは「先生」
先生「何かしら」
いすは「私、あなたが何をしようとしてるかわかっていません」
先生「…」
いずは「そのことについて、私は無理に知りたいはと思いません」
先生「…」
だけど、
いずは「私やますみちゃんと似た考えで、拓海君に不利なことをしようって考えを持ってませんよね」
先生「…」
いずは「…」
先生「…」
先生はいずはの話が済むまで黙って聞いていた。
先生「…饒舌ね」
先生はふっと微かに笑みを浮かべ言った。
先生「東条さん、あなたが考えている私は何なのかしら?あなたが言った味方とは違っていたらこの状況はどうするの?」
いずは「…」
先生「私が何者か具体的にわかってないっていったわよね」
先生「それなら私を信じて、その質問はするべきかしら?」
先生は後部座席に座っているいずはをバックミラー越しにちらっと見る。
いずは「…」
先生「…」
先生「…今から話す話は誰も知らない、拓海君には言ってないし、話すつもりもないわ」
いずは「…」
先生「…私は拓海くんを知ってるのよ」
いずは「…」
先生「だから私は関わってるってわけ」
それだけよ、と先生は付け足した。
先生「東条さん」
いずは「なんですか」
先生「あなた、私があなたやここのは君と似た考えって言ったわよね」
いずは「…言いましたね」
先生「その考えはどうなのかしらね」
先生はそう言うと、車内では、道案内をするいずはと先生の会話だけがポツポツと発せられるのみだった。
拓海「じゃあいってきます」
はーい、リビングから母の声が聞こえてくる。拓海はいつもの通学靴を履いて玄関を出た。家の門の前にはいずはの顔と、もう一人、拓海の家にはあまり見慣れない顔が拓海を出迎えた。
拓海「おはよ、いずは」
拓海「それとますみ?」
めずらしいな、と拓海は玄関を離れ二人が待つ場所へと歩みを進める。
いずは「おはよー」
ますみ「よっ」
おはよ、軽く手を挙げて挨拶をするますみ。
拓海「おーす、どうしたー?」
ますみ「いや、たまたま来ただけ」
ますみ「やっぱりお前たちに迷惑だったか?」
拓海「いや、全然」
いずは「…」
いずは「まあ歩きながら話しよっか」
そうして拓海たちは、慣れ親しんだ通学路を歩き出す。程なくしてますみがそれまで談笑していた雰囲気とは違った、少し落ち着いたような声色で話し始めた。
ますみ「今日尋ねた理由はな」
拓海「ん?たまたまだろ?さっき聞いたよ」
ますみ「…」
ますみ「いや、そうじゃないさ」
拓海「こわ、なんだよ」拓海は軽い笑みを作りながら言った。
ますみ「拓海」
ますみ「昨日先生が車の中で言っていたが、生徒会長に体質の事とかについて聞いたらしいな」
拓海「…ああ、…うん、まあ」
ますみ「よかったな、何かなくて」
拓海「わざわざそれを?」
ますみ「あぁ、お前が風邪でも引いて、学校休みだったら家に直接上がってでも早めに伝えておこうと思ったからな」
拓海「え」
ますみ「冗談だよ」そういってますみは笑っている。
拓海「いや、そう、ありがとな、なんか気を?使ってくれて」
ますみ「それとな」
拓海「ん?」
拓海の少し前を歩いていた、ますみは歩を止めクルリと拓海の方へと向き直る。
ますみ「拓海、お前が誰をどう思っているか知らないが、周りはこれから形を変えていく、それがお前にとってどうかは俺もいずはもわからない」
ますみはそう言うとまっすぐな瞳で拓海を数秒見つめる。
拓海「…え…っと」
拓海は声に詰まった。何を言うべきかの思考も出てかかってはいるが形を成さない。何が答えに適しているかわからなかった。
いずは「話し終わった?学校行こうか」
学校に着くと、またしてもスピーカーから呼び出しがかかる。
スピーカー「…お越しください、繰り返し…」
拓海「ちょっといってくるわ」
拓海はカバンを机の上に置くと、いずはとますみに声をかけ席を立ちあがる。
いずは&ますみ「りょーかーい、おー」
ガララ、「失礼しました」
職員室に行くと、放送の内容の通り、昨日の持ち物検査で返し忘れたものがあったというだけだった。
拓海は自分の教室に帰ろうと廊下を歩いていると、見知った顔が廊下の向こうから歩いてくる。
先生「おはよう、拓海君」
拓海「先生、おはようございます」
先生「呼び出されてたけど、何かあったの」
拓海「いえあれです、昨日持ち物検査で」
拓海はそういいながらつい先ほどしまった返してもらったばかりの私物をポケットから出そうとする。
拓海「あれ」
先生「どうしたの?」
拓海「…」
入れたはずのポケットを探してみるが見つからなかった。反対のポケットも探してみるものの見つからなかった。
拓海「いや、さっき忘れ物を返してもらってきたんですけど、ポケットに見当たらなくて」
先生「…」
先生「裏側とかに入っちゃったんじゃない?」
拓海「ですかねー」
先生「まあ、入れたつもりで職員室にでも置きっぱなしにでもしたんじゃない?それよりももうすぐ始業の時間でしょ、私が一応見てみるから、早く戻っておいたら」
うわ、もうそんな時間か、と拓海は言う。
拓海「じゃあお言葉に甘えて!ありがとうございます、では」
拓海は先生の横を通り抜け教室へ向かった。
拓海「あ、そういえば、黒色の、音楽とか聞くやつなんでー」
拓海は先生の背中に語り掛ける。先生は、わかった、と片手をあげ答える、そして先生も廊下を歩いて行った。
教室に戻ると、始業の時間がもう間もなく始まりそうだった。拓海は自分の席に腰を下ろすと、残っていたカバンの中の教科書やらノートを机の中に押し込む。
いずは「なんだったー?」
拓海「昨日の手荷物検査の渡し忘れ」
いずは「エロ本?」
拓海「うん、そう、返してもらったはずなんだけど、どっかいっちゃったんだよなー」
いずは「…」
いずは「え」
拓海「いや、ポケットに入れたはずなんだけど、見つからなくてさー」
おかしいよなー、まあ職員室に置きっぱなしとかなんだろーなー、と拓海は笑いながらいった。
いずは「…」
ますみ「…」
そうだ、といつものように何かをひらめいたいずはが口を開く。
拓海「ん?」
こりゃ参った、と自分の額をわざとらしくぺちぺちと叩いている。
拓海
いずは「あのー、今日の1時間目宿題出てるじゃないですか」
拓海「?」
いずは「いやー、拓海さん、何となくお察しがついてるのにお人が悪い!ウヘヘヘヘ」
拓海「ウヘヘヘヘ」
いずは「ウハハ」
拓海「ハハ」
いずは「宿題見せてください、お願いします!」
椅子から立ち上がり拓海の横へ近づくと腰を90度に曲げ懇願してくる。
拓海「最初から見せてもらうつもりだっただろ」
いずは「ふへ、ふふへ」
拓海「…なんか奢りな」
そういうと拓海はいずはに自分のプリントを見せるのだった。
正午になり、お昼休み、最近生徒会室によく呼ばれている気がするが、今日も拓海は生徒会室に呼び出されていた。
お昼休みのお弁当の最中、再び生徒会長は拓海たちのクラスを訪れ生徒会室に来るよう言われた。
どうやら先に生徒会室に戻っていたみたいで、生徒会長の声ともう一人誰かの声が聞こえてきた。
コンコンコン
生徒会室のドアをノックする、
拓海「失礼します」
拓海がドアを開けると、ソファの座席にはよく見知った姿があった。
拓海「あれ先生」
生徒会長「じゃあ、小清水君も座って」
昨日も夜も同じ光景を見た。これは既視感とかデジャヴとかではなく紛れもなくつい最近も経験した光景だ。
生徒会長「何か飲む?」
拓海「…あ、お構いなく」
そう、一応適当に入れるわね。
生徒会長は入れてあった紅茶を容器につぐと、ソファのところまで持ってくる。
生徒会長「ちょっと時間たったから、濃いと思うけどごめんね」と机の上にティーカップを置いた。
拓海「いただきます」
ソファに座りながら軽く会釈をする。
さて、と生徒会長は拓海と先生の対面の席へ腰を下ろす。そうして生徒会長は自分の飲みかけの紅茶に口をつけた。
生徒会長「早速本題に入るのだけど」
拓海「本題?僕たちにですか?」
生徒会長「ええ、あなたたちと話がしたくて呼んだもの」
拓海「はあ」
生徒会長も先生も心なしか、いつもより落ち着きがないように見えた。
生徒会長「小清水君、偉そうなこと言って、高をくくっていたわ」
座るや否や、そのことについてごめんなさい、と生徒会長だけではなく、それまで考え事をしていたような先生も生徒会長の謝罪と声と並ぶようにして頭を少し拓海へさげた。
拓海「?…状況が読めないんですが」
生徒会長「…私は小清水君に考えを見つけてほしいっていったこと覚えてる?」
拓海「はあ、昨日の夜言ってましたね」
生徒会長「その気持ちも、言ったことについても嘘偽りはない、それは先生も同じ考えだったかも」
そういうと生徒会長は拓海から一瞬視線を外し先生の方を見た。
先生「…」
生徒会長「でもね」
生徒会長「私たちが想定していたより早くあなたの周りは動き出したの」
拓海「…どういうことですか?」
生徒会長「…えっと」
そうね、と生徒会長は淡々と話す。
生徒会長「小清水君は、今朝職員室に行ったわよね」
拓海「えっと、行きました。なんか昨日の荷物検査のことで」
生徒会長「その時に小清水君は軽く雑談を、偶然会った先生としてたらしいけど、なんか荷物がなくなったとか」
拓海「はあ、まあ…」
(よく知ってるな)
生徒会長はここまで話したことを順序だててまとめた。
はじめに、拓海は職員室に向かった。職員室に向かうと手荷物検査のことについて呼ばれた。
次に話が終わって荷物を返してもらった。
最後に職員室を出て、先生にばったり会った。先生にもらったはずの荷物を見せようとしたが見当たらなかった。
…
生徒会長「こんな感じよね」
拓海「そうですね」
生徒会長「今回のことについて小清水君はどう思った?」
拓海「はあ、ただ職員室に忘れただけじゃないですかね、それかぼーっとしてたとか」
先生「それはないわね」
それまで拓海の横で静かに席に座り、沈黙をしていた会話に割り込むように先生が口を開いた。
生徒会長「…」
先生「人間誰でも、ぼーっとしちゃうこともあるからそれならありえたかもしれないわね、もちろん私や彼女も例外なくだれでも、
だけど拓海君の今の状況的にそれは考えにくい」
先生は続けて話す。
先生「ごめんなさい、完全に私のせい」
拓海「…?話がよくわからないんですが…」
先生「あなたは荷物を忘れたんでもなんでもない、荷物はポケットには入れてなかったのよ」
拓海「…?まだ置いてあったとかですか?」
先生「いいえ」
先生はゆっくりと一呼吸すると、
先生「そうね、荷物を受け取ったように覚えてた、それが拓海君の求めている答えになるわね」
こんにちは。yugilです。
投稿間隔があいてしまっています。
誰が真実の9話目です。9話目に至るまでのお話の中でも、少し会話がおかしかったり、読んでいて疑問に感じるような点も、なるべく、入れてきたつもりです。(筆者の自己満足だったら申し訳ありません。)
ただの自己満足かもしれないので、どうか気楽にお楽しみ下さい。よろしくお願いします。