誰が真実(仮)2
誰が真実の2作目の続きとなっています。
今回は前話から、買い物に付き合っていずはと商店街に来ています。
どうぞ、宜しくお願いいたします。
いずは「えーと、目当ての商品は…」
この商品もほしいからなー、でも身体はひとつだしな、と呟きながら、赤丸がついたチラシを拓海にも見せている。せっかく人手がいるからなー、とチラチラとこちらを、明らかにこちらを見ている。
赤丸がついたチラシを片手に目を輝かせながら。
俺に行けということだろう。
はいっと、いずははチラシと財布を拓海の手を握り預ける。
だが、拓海「ことわ…」
いずは「じゃ、終わったらここら辺に集合だから!」
いずはは意気揚々と、目当ての商品が置いてある店の方向に走り出した。
拓海(……まあいいや、付き合うって言ったの俺だし、荷物持ちぐらいはするつもりだったなー)
拓海は手の上にあるチラシを広げた。
拓海(俺が買うのは…えーっと)
見慣れていないチラシと店舗を目で追いながら、赤丸がついた店舗へとやってきた。
拓海(えー、………と、おっ、あった、トイレットペーパーでいいのね)
(それと、ほかに買うものは…)
(これどこに置いてあるんだ?)拓海はチラシを片手ににらめっこをしていると、
???「あの」
???「すみません」
拓海は商品棚の前でチラシを見ることに集中していたため、後ろから通っていく人の進行の妨げになっていたらしい。
拓海「あっ、ごめんなさい、ぼーっとしていました」
???「大丈夫です、って…」
???「なんだ、君か」
声が自分に向けられたものであると分かって拓海は、改めて声の主を確かめる。
拓海「え、先生」
先生「君がチラシをもって商店街にきてるなんて思わなかった」
声の主が誰かと思い、しっかりと顔を見て確かめると、つい先ほどまで学校で会っていた先生だった。
拓海「先生」
先生「さっきぶりね」
先生は学校のままの格好と変わらず、スーツ姿でスーパーの袋を手に持っていた。
拓海(…これはこれで!いい!)
(…けどそれはそうと…)
拓海「先生」
先生「ん?」
拓海「声、若作りしてましたね」
先生「…」
商品棚にあった商品を見て、拓海のカゴの中に入れようとする。寸前のところで拓海はカゴを自分のほうに引き寄せ事なきを得る。
先生「…若作りじゃなくて、実際に若いし」
先生「それに知らない人と話すときは話し方変わるでしょ」
先生はそう言うと手に取った、商品を棚に戻す。
拓海「はあ、まあ確かに。
「んー…?」
先生「どうかしたの?」
店舗の匂いだと思ったが、明らかに店に入店した時と違った香りがすることに気づく。
拓海「今、気づいたんですけど先生なんかいつもと違う匂いするような」
先生「あぁ、なんかあっちにあったから試してみたの」
そう言って化粧品コーナーのほうを指さした。
拓海「そんなん付けるんすね、興味ないかと思ってました」
先生「あるわよ」
拓海「へー」
拓海「なんかよさげなのありました?」
先生「ええ、いいのあったわよ」
拓海「マジっすか」
店内の時計に目をやる、それほど時間は立ってなくいずはとの集合時間も決まってないし、割と余裕がありそうだった。
先生「そんなことより、世間話してていいの?」ほかに用事でもないの、と先生は続けた。
拓海「あ、いず、東条を待たせてるんでした」
チラシを思い出すと、ほかにも複数店舗に赤丸がついていた。
先生「東条さんか、まあ誰かと一緒だと思ったわ、あなたがチラシ片手に買い物するわけないから」
拓海「はは…デスヨネ、では、失礼します」
先生「ええ、気をつけて帰って」
そういって先生に分かれを告げ振り返ったが、商品の場所がわからなかったのを思い出して、再び振り返って先生に場所を訪ねた。そうして店での会計を済ませ、店舗を後にした。
集合場所につく。
あの後ほかの店でも買い物も済ませて、集合場所につく。集合場所には買い物袋を持ったいずはが見受けられた。こちらに気づいて、トテトテと駆け寄ってきた。
いずは「遅いよー」
拓海「わるいるい」
いずは「まあ、いいけど。あ、ありがとー!」いずはは拓海の買い物袋を見ていった。
拓海「ちょっと買い物に手間取ったし、それに先生に会ったんだ」
買い物付き合ってくれたお礼にと、目の前のお店で買った、コロッケを半分ちぎって渡す。お礼を言いつつ、コロッケを受け取って、広場にあるベンチに腰を下ろす。
いずは「へー、先生に、めずらしいねー」
コロッケは夕方時だったこともあり、思ったより出来たであったみたいで、いずはは口をハフハフとさせている。
いずは「ほれで、なんか話したの」
拓海「あー、特にー」
思ったより熱々で拓海もハフハフしながら頬張っていた。
拓海「なんか、俺が商品の前にぼーと立ってたから声かけてくれたんだよ」
いずは「ふーん」
いずは「そんでー?」
拓海「そんだけ」
拓海「そっちはなんかあった?」
いずは「特になかったよー」
お互い出来立てのコロッケを頬張りながら、拓海自身も他に特に話せることもないなー、といずはに言う。
思ったよりコロッケはボリュームもあったこともあって、なかなかに食べ応えがある。
拓海「はふはふ、あつっ」
拓海「あ、そーいえば」
いずは「あふっ、ほーいえば?」
拓海「若作りしてますねって」
いずは「…」
いずは「誰に?」
拓海「先生」
いずはから冷ややかな目が向けられる。
いずは「デリカシー」
続けてジーっとした目でこちらを見てくる、先ほどまでとは違って、今度は若干軽蔑してるような感じがしたが、気のせいだろう。
と都合よく考えたが、あっているのだろう。
拓海「いやだなー、いずはさん、コミュニケーションですよ!」
いずは「そうなんだー」
拓海「…」
拓海「スミマセンでした」
いずは「先生に変わって許しましょう」
何様だと突っ込みたかったが、突っ込まないでおいた。
拓海「まあ、ほら、親しさ故だから」
いずは「なーにをいってるべ、ちみは」
そうして改めてしっかりと反省をしつつ、ここ最近の学校での出来事とか、些細なくだらない話をしていた。
拓海「…でさ、」
拓海「あ、先生だ」
たまたま後ろを確認すると、ちょうど先生を見かけた。
いずは「んー」
そういうといずはは拓海の背中に手を置いて、遠くのほうにいる先生を探す。
先生のいる方向へ手で指をさして教える。
拓海「重い」
いずは「反省してないな」
拓海「ほらっ、あれ、立花先生じゃね?」
用事を思い出したんだろうか、先ほど店舗であったときと違って急いでいるように見えた。
いずは「んー、どれだー、ちょうど帰るとこかな」
ウーム、見当たらないと拓海から手をどかして手に持っていたゴミを片付ける。
一言挨拶をかけようと遠くにいる先生に声をかけようとしたが、少し目を離したスキに見失ってしまった。
拓海「あれどこいったんだ」
いずは「なんか用事かなー?」ゴミを片付け終わったいずはも先生に声をかけようと、いたであろう方向を覗く。
拓海「まあ、そっか」
いずは「挨拶したかったなー」
いずは「なんか商店街に用事かな」
拓海「まあ、スーパーとか色々あるからなー」
あっそういえば、
いずは「スーパー」そう言って買い物袋をゴソゴソとあさる。
スーパーで卵買ったら、レトルトの商品が一個ついてきたんだーと嬉しそうに商品を見せた。パッケージを見ると食欲をそそる美味しそうな見た目だった。
美味しかったらまた拓海君にも教えるね、楽しみだなーと目をルンルンに輝かせながら言っていた。
拓海「あ、てか俺たちも、帰るかー」
いずは「ん、だねー」
そういって立ち上がる、お互いに手に買い物袋を掲げ、岐路へと向かった。
少しずつではありますが、物語が動くよう、筆を動かしました。
継続して遅筆ではありますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。宜しくお願いします。