アリスはどこへ。1
日が昇り始めた頃、私たちは宿を出て城下町へと向かった。
城下町は朝晩関係ないほど人で賑わっている。
店の明かり、街灯の灯りが人たちを照らす。
ホワイト王国はカラフルな街並みが特徴の一つだ。
それに見立てて、売られているものもカラフルに彩られている。
「ライラさん、なんだか普通じゃありませんか?」
ヒスイの言う通り、城下町はごく普通の風景だ。
何にも変わったところはない。
外郭で起こっていた噂話がまるで城下町の中には届いていないようにも見える。
「平和そうだね、これなら昼間には国境を越えられるかも……」
その瞬間、肩に重い衝撃が加わり、体制を崩しかける。
それは私だけではなかったようで、衝撃の先にいた相手は思いっきり倒れていた。
「ごめん、大丈夫?」
私が手を差し出すとその手をキラキラとした瞳が見つめるのがわかった。
明らかに服装は怪しげだ。
だが、そのフードの下に隠された顔は可愛らしく、華奢な体だった。
「匿ってください!」
私の手をぎゅっと握り締め、顔を近づける。
少女だと思われる子は私の顔をうるうると滲ませた目で見ている。
すると後ろから騒がしい足音がし始めた。
その瞬間に外郭で流れていた噂が頭をよぎる。
若い人間を連れ去ると。
「後で事情聞かせてね」
そう言いながら横にある路地に私は彼女を隠した。
そのまま手を握り締め、路地とは逆の大通りを見つめヒスイと話しているように見せかける予定だった。
だが、振り向いた時には衛兵が私たちの前に立ちはだかっていた。
「そのお方をどうされるおつもりですか?」
「え?」
私が丁寧な言葉に気を取られる間に少女は手を離した。
そして路地を曲がって姿を消した。
その瞬間、血の気が引くように最悪な事態を察した。
「この二人を連行しろ」
「はっ」
「え、ちょっと待って」
有無も言わさず、私たちは城下町からホワイト王国の城に連行されていった。
彼女が何者かも何も知らされないまま。




