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旅人ライラは不老不死  作者: 飛鳥ソラ
魔王を探して
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計画実行。2

実体、憑依した体。

それが動き出して攻撃を始めるのに数秒しかなかった。

人間の形をしているというのに、動きは素早かった。

魔法を使いこなす姿が異常だった。


「これは厄介だね」


魔法を避けながら、ヒスイと息を合わせるのは困難だった。

会話もままならない状態で、攻撃を避けていく。

その攻撃はまるでヒースが戦っているようにも見えてくる。


正体が掴めない以上、ヒースが何を元に作ったかまではわからない。

だが、ヒースが魔法で生成した造られし魔物であることには違いなさそうだ。

スイからもらった小さな魔法具も黒色を宿している。


「ライラさん! このままだと攻防戦で押されます!」


「じゃあ早く決着をつけようか」


スイの研究時間の確保もしようと思ったが、どうやらそれは叶わないらしい。

私はヒスイが一発光魔法を放った瞬間に地面を蹴り込んだ。

人間の短所である心臓ではなく、足を狙って。

理由はただ一つ。

弱点が同じだと限らない以上、動きをさせなくするのが最優先だからだ。


実体は声も上げずに姿を崩す。

ヒスイの魔法が切れた証拠だ。

ヒスイは魔力を使いきっていない。

つまりは実体の消滅が正しい。

だが、戦いはここで終わらなかった。


「ライラ! 後ろ!」


隠れていたスイが身を乗り出して忠告をしてくれたにも関わらず、反応は遅かったようだ。

実体とは違う、おそらく本体の魔物が姿を現し、私の体を掴んでいた。


「ライラさん!」


「憑依するしかないと思っていたけど、間違いだったか」


その本体と思われる魔物はやはり混合されてできた造り物のようだ。

夢魔のような角に人間の体。

大きな手と羽。

今回は人間と悪魔を合わせたのだろう。


「目標物発見」


やはり辿々しい言葉しか発さないその造物はヒスイを見て目標物と言った。

おそらくヴィーアンでヒスイの姿を捉えたからだろう。

ヒースの狙いはヒスイに向いてしまったということだ。


「悪趣味にも程がある」


人間の体をどこで手に入れたかわからず、悪魔の体まで使ってしまうとなると吐き気がする。

そして私の周りから人を消そうとするところが実にヒースらしく気味が悪い。


「目標物消す」


「そうはいかないよ」


私は握りしめていた短剣を手放し、運よく使えた右手で洋服のポケットから針を出す。

それは睡眠剤とスイ特製の魔物に効く毒が入った毒針だ。

その毒針を刺すと、造物はよろめいた。

だが、対人戦とほぼ変わらない状況だ。

ヒスイがここでトドメを刺すには躊躇が出る。

元は人間。それを利用されただけなのだから。


人を刺すのは流石の私でも後味が悪い。

だが、もう既に人ではない。

魔物にされてしまった。

そう強く思って地面に足をつけた際、もう一つの短剣を構えた時だった。

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