複雑な関係。1
町長たちの家に帰り、スイはケイに私が気づいたこととして情報を伝えた。
ヒスイもそれを聞いていて私に輝く目を向けていた。
ほとんどがスイの推測だというのに。
それから私とヒスイの情報交換が行われ、ケイとスイは町長と共に仕事に向かった。
一種の人払いだ。
「ライラさんすごいですね」
「言っておくけど、あれほとんどスイの推測とスイの研究で分かったことだから」
「へ?」
ヒスイは何が起こったか知らない上に、スイの実態に気づいていないだろう。
私はヒスイにスイとの会話を聴かせた。
ヒスイも驚いてはいたが、納得も早かった。
「じゃあ町長さんや幽霊騒ぎにヒースが少しでも絡んでいる可能性は高いわけですね」
「うん、それにこれは二人には言えないけど、町長を倒す以外の方法はあまり期待しない方がいい」
憑依するタイプの魔物はやはり姿を現すとは思えない。
実体を持って戦うことを苦手とするから憑依を選ぶ。
魔物は卑怯な手を使うから当然とも言えるが、人間に憑依してしまえば人間同士が殺し合いになる。
実に気分が悪い。
「本当はヒスイの魔法の方が傷を残さないで済むからいいんだけど、ヒスイは対人間をしたことがないからね。きっと躊躇する。だから皆には悪いけど、私の短剣で……」
「要するに体を持てばいいんですよね、魔物が」
ヒスイは何か思いついたように、手を見ている。
その光景がやけに恐怖を感じさせる。
ヴィーアンの件がそうさせるのだろう。
もう失いたくないと思わせる何かを感じ、魔法を使わせたくないと思わせる。
「そうだけど、どうする気?」
「憑依する体を作るんですよ!」
唖然とする私はもう既にヒスイの思考についていけなかった。
体を作るというのは高度な技術が必要になるのだろう。
想像することしかできない。
実際にやり遂げたのはおそらくヒースくらいだろう。
その実験をヒスイは簡単に言う。
「体を作るって、人間の体を作るのはほぼ不可能だよ」
「確かに人間の体は作れませんし、今では法に違反します。ですが、魔物の体を作ることはできます。要するに魔物の器です」
ヒスイは紙とペンを用意すると、図を描き始めた。
「人間の体に憑依する魔物は実体を欲しがります。ですが、実際は体があればいいんです。攻撃できる体があれば。物に憑依しないのは動きが取れないからですから、動きが取れる体を用意して、そこに憑依させればあとは二人で攻撃できます。多少反抗も考えられますから僕たちも無傷かどうかわかりませんが、人を殺める心配はないかと」
ヒスイの言うことは正しさが勝つ。
ヒスイの魔力があれば十分だし、最近は細かい魔力の制限や動きもできるようになった。
けれども、憑依する器がなんの条件を満たしていないといけないのか想像でしか語れない。
「あ、そうか。条件は……」
考えている間に思い出す。
ここにはもう一人、天才がいることを。
「そうです。器の分析や細かいことはスイさんがいます!」




