才能開花。3
それから私はヴィーアンの戦の件や、魔王誕生の話、魔物や魔族が創り出されている話をした。
スイは時々驚きながらも口を挟むことなく、最後まで聞いた。
そして魔法具と地面を睨み合いながら、ようやく言葉を紡いだ。
「創られた存在。創られた魔力。それなら合点がいくな」
到底信じたくない話であり、困惑、混乱する話を彼は冷静に解析していった。
「創られた魔力なら反応が区別できない。つまり魔力自体も反応してもしきれない。だから黒なんだ。魔力に黒は本来存在しない。だが、魔王ヒースが創り上げたなら最初からそうなる運命になっていたのかもしれない」
「そういえば、ヴィーアンの戦の時、私は創られた魔物である大蛇竜を倒した。その魔粒子か魔力が短剣についていたりしないかな」
「見せてみろ」
私はスカートの中から短剣を取り出し、スイに見せた。
スイは近くの葉っぱを短剣に触れさせ魔法具に入れた。
その魔法具は黒く光ったのだった。
「正解だな。推測は正しそうだ」
「つまり、今回も創られた魔物を倒すことで収束するということだね」
「ああ。おそらくだが、夜になると父親に憑依する。つまりは憑依する寸前に叩けば父親を殺さず魔物も叩ける」
実際はそんなに簡単なものではない。
憑依する魔物は実態を持たないことも多々ある。
ヒースがどこまでの代物を創っているかわからないが、可能性はある。
そうなれば憑依した後を倒すしか無くなってしまう。
だが、人を倒すのは響きも後味も悪い。
ましてや町の評判というものもあるだろう。
もし町長が憑依されていたと町の人間が知ったら、ケイやスイはここでは生きていけないだろう。
そうなれば何か方法を考えるしかなかった。
「とりあえず、今日は様子見だ。どうやって憑依するのかを知りたい。それに実態を持たないのならそれ相応の覚悟も必要になるからな」
「やっぱり知識はすごくあるようだね」
「その話は終わりだ。俺はケイと合流してこのことを伝える。お前はヒスイにこのことを伝えろ」
スイはそう言い残して去っていった。
地面に書かれた式や数字は古い年式から新しい年式までそれぞれだった。
こんなに博識な研究者はそうそういないだろう。
「さあ、どうするか。町長もスイも」




