才能開花。2
「綺麗事だな」
スイは一瞬目を開いたようにも見えたが、すぐに鼻で笑って魔法具に目を戻した。
「その綺麗事が物事を変える時だってある」
負けじと反論している私は一体何に期待しているのだろう。
スイの人生だ。
好きにすればいい。
それなのに、私はスイを説得しようとしていた。
普通の寿命を持つ人間と共に生活していて感化されているのだろうか。
ヒスイやギルのようなお人好しさ。
ラビンのような強引さ。
ここまで生きていて、こんなに人の印象が残っているのは初めてだ。
今回もその一例なのかもしれない。
そう思うと、見逃せない自分がいた。
スイが持っている魔法具は魔力と呼ばれる全般を分解して解明する魔法具だった。
魔粒子も一般的に魔力に含まれるので、分解ができるらしい。
「間違いないな。俺の父親のものだ。しかもこの魔物は俺は知らない」
「魔物にまで知識があるのか」
「国を出る時があるからな。魔物の知識は頭に入れてる。だが、これは初めての反応だ」
魔粒子を含んだ空気を入れた魔法具はいろんな色に光った。
そして最後に黒く点滅しているのだった。
「黒く点滅するのは有り得る反応なのか?」
「いや、俺は見たことがない。魔法で作られているから何か魔力に似たものに反応しているのは間違いない」
この魔法具は点滅の数や速さで人を特定できる。
そして色で魔力の種類を区別すると説明してくれた。
数字や文字を地面に書いていき、町長と全く同じになった結果、人の特定はできた。
だが、色の問題は解決されなかった。
「魔法は幸福度や、呪いの限度で色が決まるとも言われている。魔物だと暗い色になることが多いが、黒は現れたことがない」
スイの驚く表情を見ていると彼は嘘を言っていない。
ましてや研究に力を入れている人間だ。
見たことがないとなれば、解明するのはこれからの難題になっていくだろう。
そこで考えられる原因は私の中では一つだった。
「魔王の魔力」
「え?」
スイは初めて自分の心を表した顔をした。
私が何を言っているかわからないと言っているように。
「待て、魔王だと? でも魔王は存在しないはずじゃ……」
「そう、存在するはずなかった。ついこないだまでは」
そこから沈黙が訪れる。
スイも考えるところがあるのだろう。
私が嘘をつかないともわかっているのか真剣に悩んでいた。
「そうか」
やがて納得したように彼は魔法具を地面に置いた。
「誕生したのか魔王が。だから魔力も今まで見せたことがない反応を示した。存在を否定するように」
私は何も言えなかった。
私のせいで、魔王が誕生し犠牲を払っている。
その事実を未だに認めたくない。
「二人は旅をしているのだからその証言が一番信憑性が高いだろうな」
「追求できそう?」
「もう少し話を聞かせてくれ、解明したい」




