兄弟の勘。1
私とヒスイが荷物を下ろして部屋を出ると、そこには二人の男がいた。
ヒスイより少し年上だろうか。
金髪の髪の方はにこやかで和ノ国にふさわしい和装服と呼ばれるものをきていた。
一方、黒髪の方はどちらかというと無愛想で、町長と同じ洋服を着ていた。
顔は似ているところからおそらく町長の息子二人なのだろうと理解する。
「今回は父の依頼を引き受けていただきありがとうございます。私はケイ。こちらは弟のスイです」
兄のケイが挨拶をすると、スイも軽く頭を下げては見せた。
だが、一向にこちらを見ようとはしなかった。
「依頼をして早々にいなくなる父もどうかと思いますが、とりあえず私とスイで町を案内しましょう。それから依頼の件も詳しくお話し致します」
「ありがとうございます」
弟のスイに気を取られていた私に代わり、ヒスイがケイの言葉にお辞儀を返す。
スイの表情は明らかに私たちを煙たがっている。
だが、その裏に隠された感情に気づかないほど、私は鈍感ではなかった。
「では、町へ出ましょう。何か気になることがあればいつでも聞いてください」
ケイの後に続いて私、ヒスイ、そしてスイが家を出た。
そこに広がるのは、やはり活気のない街並みだった。
「最近は幽霊騒ぎで店もろくにやっていないのです。そのせいか人も減りましてね。騒ぎの前までは戦から逃げてくる人も多かったのですが」
「どっちも自分の脅威となるから、人は好んで来ないだろうね」
「本当は平和な町なのです。争いからも免れ、貿易も進んでいる。ですが、目覚めの悪い怯えた生活になるのは皆嫌なのでしょう」
「本当に人がいないですね。これじゃあ話を聞くにも聞けませんね」
ヒスイも心配そうに町を眺めている。
特におかしな点はなさそうだ。
客観的には。
「ケイ、幽霊騒ぎについて詳しく教えて」
私の様子に気づいたかのようにケイは表情を変えて、私たちが来た方向とは逆の山を指した。
ケイはきっと気づいている。
そしてスイも。
私が只者ではないことに。
私がこの町の幽霊騒ぎに少しの手掛かりを掴んでいることに。
「幽霊と呼ばれるものを見た者はあの山の麓に集中しています。そのため出入り禁止となっています。私とスイ、他の数名で討伐隊を組み、麓に足を踏み入れましたが……」
「そこには魔力の痕跡があった」
その時、初めてスイが口を開いた。
私のことをじっと見つめながら。
「その魔力に見覚えがあるんだね」
私の一言に二人は口を閉ざした。
おそらく二人は気づいている。
確実ではない真実に。




