魔王探しの旅。2
国境の門で告げられた資金は私の手持ちの倍の金額だった。
このままでは魔王ヒースを倒すどころか、このまま野垂れ死ぬ。
「さーて。どうしようか。依頼か何か引き受けないと仕事をしている時間はないし」
「依頼ってどうやってわかるんですか?」
「昔は掲示板とかがあったんだけど。あ、でもそれは国の中に入らないとか……」
「依頼を受け付けているんですか?」
私とヒスイの間に割って入ってきた声が、妙に嬉しそうに聞こえた。
振り返って声のした方を見ると、そこには五十代くらいの男性が目を輝かせて立っていた。
「えっと?」
突然すぎた会話の割り込みに対応できない私たちは二人同時に首を傾げた。
その様子に気付いたのか、男性は「失礼」と咳払いをして、佇まいを直した。
その身なりはこれから入る国の文化とは程遠いもので、綺麗な洋装だった。
「私は、この先の和ノ国の街、白日町の町長をしております。シイナ・ジンと申します」
ゆっくりとお辞儀をして私たちに好機の目を見せる彼は純粋そうでとても町を治める町長には思えなかった。
「もし、依頼を受け付けているならぜひ、頼まれて欲しいことがありまして」
この機会を待っていたかのように話す彼にあまり好感が持てず、目をそらす。
だが、横にいるヒスイは目を輝かせて話を聞いていた。
ヒスイは和ノ国自体を知らない。
だから依頼というものがどんな内容でくるかすら検討もついていないはずだ。
私は和ノ国の特色を知っている。
だからあまり期待ができなかった。
「報酬は宿代とここに滞在する間の食事。もし依頼が達成されれば追加で路銀を差し上げましょう」
「本当ですか!?」
ヒスイは食いつくのが早く、身が前のめりになっている。
ここまで飢える機会もなかったのだろう。
私は食べなくても死なないが、ヒスイは違う。
仲間を連れて歩くということはこういうことなのだと痛感して町長の方に向き直った。
「それで依頼は?」
正直な話、依頼が無理難題の場合は他をあたった方が身のためだ。
和ノ国は昔から無理難題や証明不可な事例が多く、依頼を達成するのに時間がかかったり、依頼をこなせない場合もある。
ヒスイには悪いが、依頼の内容次第で私たちの旅の目的が変わりそうだ。
なかなか、町長が言い出さないところも引っかかって聞いてみたが、町長の口から出たのはやはり後悔する内容だった。
「幽霊退治をお願いしたいのです」




