魔王探しの旅。1
四百六十五年続いた旅。
今日は晴天に恵まれ、比較的穏やかな日だ。
隣にいる仲間、ヒスイものびのびと魔法の鍛錬をしながら歩いている。
五百年近く生きてきた私に仲間はいなかった。
必要ないと思っていた。
だが、先日の都での戦、ヴィーアンの戦で私は彼の存在の大きさを知った。
ヒスイは私が私でいるために必要な存在だったのだ。
魔王ヒース。
それはこの世界に大きな混乱を招く存在。
そしてこの私、ライラを不老不死にして心さえも自分のものにしようと企んでいる。
私が心から魔王ヒースを求めない限り、ヒースの思惑は続くだろう。
その魔王ヒースを討ち滅ぼすために私は再び旅に出た。
魔王ヒースに遅れを取らない魔法使いヒスイと共に。
緩やかな山道をゆっくりと時間をかけながら進むこと三日。
早くも私たちは挫折しそうだった。
「お腹すいた……」
私はついに本音をこぼし、前を歩いていたヒスイに励まされる。
「あと少しですよライラさん。もうすぐで近くの国に入るはずです」
都、ヴィーアンを出て三日。
私たちはろくに食べ物を食べていなかった。
ヴィーアンは戦があったばかりで復興すらしていない。
そんな土地に食べ物の恵みがあるわけもなく、旅に出るというのに食糧をほとんど手に入れられなかったのだ。
おかげで昨日一日はたまに見かける果実を二人で半分にして食べていたくらいだ。
その果実だって三つほどしかない。
つまりは一人二つも食べていない。
「確かこの先に文化の違う国があったはずなんだけど……」
「もしかして国境越えるのにお金かかる国だったりしませんよね?」
「何それ」
私が意識を手放しそうになっているところにヒスイが肩をガッと掴んで揺さぶってくる。
「今の世界では国境を越えるのに資金を集める国もあるんですよ! もしそうなったら僕たち、国に入れるかも怪しいです!」
時代が変化していく中で、全ての国を把握するのは難しい。
私がここを通ったのだって百年は前に違いない。
その頃は国境に門番が立っているだけだったはずだが、ヒスイの言う通り時代が変わって資金が必要だとしたら、私たちは門前払いかあるいは、払えても国境を越えるためだけの資金だけ。食糧を集めるお金はない。
路銀は片手に数える程度。
大きな国だったら果物を籠一つも買えない。
「確かなかったと思うんだけどな。それにそんなに大きな国でもなかった気がするし」
「それっていつの知識ですか」
「わかんない」
ヒスイの肩が見るからに落ちたところで、思考を放棄した。
そして国境の門に着いた私たちは、絶望するのだった。




