仲間と旅へ。1
翌朝、私は宿から都の姿を眺めていた。
全ての記録を消された都は無惨な姿だった。
でも、そこに希望がないわけではない。
これが新しい都の始まりなのだと、そう思うようになれた。
水の都でなくなったとしても、新しい都としてアリアを中心にいい都を築いていくだろう。
本来ならば、この都の様子を少しでも見ていくのが筋なのだろうが、ヒースの言っていた次のヒントが気に掛かる。
それに気づいていたヒスイは今日、ここを出ていくことを皆に伝えてくれたのだ。
ヒスイはこのまま都に残ってもいいのではとも考えた。
でも今の私にとってヒスイは自分を保つのに必要な存在だった。
だから私は彼と共にこの都を出る。
その話を聞きつけ、ラビンは朝から宿に訪れていた。
「本当にすぐ発つのか」
「うん。ここでの目的は終えたしね。旅を続けないと」
「なあ、お前らの旅の目的は何なんだ」
不老不死の女と、ヒースに匹敵するたった一人の魔法使いの男。
その二人が旅をする理由はただ一つ。
「魔王ヒースを討ち滅ぼすこと」
私がいる限り、ヒースは次々に犠牲を生んでいくだろう。
それでも私が存在を消すことはできない。
私がヒースを心から求めてしまったらそれはこの世の終わりとも言える。
私がヒースに抗うことがこの世の存続だ。
そしてその鍵を握るのが今ではヒスイになってしまっている。
ヒスイがいなければヒースに打ち勝つことも、私が抗うこともできない。
「随分と大きな目標だな」
大きな目標かもしれない。
でもヒスイが生きていられるあと数十年の間に片付けなければいけない。
もうヒスイの代わりはいないのだから。
「そうだね。でもやり遂げてみせるよ」
「お前らなら本当にやってきそうだ」
ラビンは笑って私とヒスイの肩に手を回した。
「いつか、最強の戦士が助けに行くかもしれないからな。その時まで踏ん張れよ」
ラビンが結局この都で何を得たのかはわからない。
でも戦士になるという覚悟は得たのだろう。
戦士になると決めた彼は最初に出会った頃よりもずっと逞しくなっているような気がした。
そうして私たちは都、ヴィーアンを出た。
ラビンやアリア、都の民達に見送られながら。
旅人ライラは不老不死を読んでくださりありがとうございます。
〜始まりの章〜完結です。
次回からは〜魔王を探して〜が始まります。
ここまで読んでくださり感謝します。
引き続きお楽しみいただけるよう精進いたします。




