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宴の影。3
「流石に立てないかもしれない……」
「わかりました。背負います」
ヒスイはゆっくりと自分の背中に私を背負い、歩き始めた。
何を聞き出すわけでもなく、ただ寄り添ってくれた。
私とは何百年もかけ離れているのに、彼は寄り添ってくれる。
本来、交わることのなかった私と彼は今こうして温もりを分かち合っている。
「ヒスイ」
「どうしました?」
「ありがとう」
たった一言。
それしか出てこなかった。
それでもその言葉に全てを詰めた。
それを受け取ってくれた彼はこの世で私のたった一人の仲間だった。




